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不動産取引をめぐる見えないお金の流れ(2)

不動産業界の悪しき慣習、「担当者ボーナス」とは?(1/3ページ)

大友健右大友健右

2015/12/25

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「片手取引」、「両手取引」とは?

最近では大手不動産会社でも、「両手取引」、「囲い込み」といった消費者の利益を損ねるような行為を行なっていることが報道され、少しずつその実態が知られるようになってきています。

不動産の売買取引を仲介する不動産会社は、契約が成立すれば仲介手数料を受け取ります。
少しでも高く売りたい売り主と、少しでも安く買いたい買い主の利益は相反しますから、本来は、売り主、買い主の双方にそれぞれ仲介会社がつくべきでしょう。

これを不動産業界では「片手取引」といいます。
「片手取引」の場合、売り主側の仲介会社は売り主から、買い主側の仲介会社は買い主から、それぞれ仲介手数料を受け取ります。

しかし、不動産仲介会社はこの取引を嫌います。不動産仲介会社が狙うのは、売り主、買い主の双方から仲介手数料を受け取れる「両手取引」なのです(図1)。


「片手取引」と「両手取引」
 

担当者ボーナスは営業マンにとっておいしいウラ金

冒頭でも申し上げたように、こうした取引のあり方は、いまでは広く知れ渡り、批判を浴びるようになってきました。ですが、不動産業界における不透明なお金のやり取りはこれだけではありません。

その代表が「担当者ボーナス」略して「担ボー」と呼ばれるものです。
最近ではかなり減ってきているようですが、いまでも業界の一部では横行しているようです。

ボーナスといっても、サラリーマンが夏冬にもらう、いわゆる「賞与」とはまったく性質の違うものです。
これは、中古住宅などの物件を売りたい人、つまり、売り主が仲介手数料とは別に、その物件の売却を担当する営業マンに渡す「謝礼金」のようなもの。つまり、売り主から営業マンへの「キックバック」です。

仲介手数料は、取引で生じた支払いですから仲介会社に入りますが、担ボーは担当者本人に手渡しで支払われます。
10~20万円くらいの額なら商品券で手渡されることもありますが、100万円単位の金額が現金で支払われる、なんてこともあります。ちょっと意地悪な言い方をすれば、営業マン個人に渡されるウラ金、それが担ボーなのです。

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この記事を書いた人

株式会社ウチコミ 代表取締役 株式会社総研ホールディングス 代表取締役 株式会社プロタイムズ総合研究所 代表取締役 1972年生まれ。大手マンション会社で営業手法のノウハウを学んだのち、大手不動産建設会社に転職。東京エリアにおける統括部門長として多くの不動産関連会社と取引、不動産流通のオモテとウラを深く知る。 現在、株式会社プロタイムズ総合研究所 代表取締役として、住宅リフォームを中心に事業を展開。また、株式会社ウチコミ 代表取締役として、賃貸情報サイト「ウチコミ!」を運営。入居の際の初期費用を削減できることから消費者の支持を集める。テレビ・新聞・雑誌などメディア出演も多数。

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