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小説に学ぶ相続争い『女系家族』②――財産を次の代に引き継ぐ、相続を考えるタイミング(3/4ページ)

谷口 亨谷口 亨

2021/08/20

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生前に相続方法を話し合うことがトラブル回避のカギ

では、どういった相続がいいか。

一番、分かりやすいのは、遺言状にそうした思いも記すことでしょう。しかし、矢島家にとってもっともよい方法はやはり「信託」を使うことでしょう。言い換えれば、誰に何を遺すのかを生前に明確にしておくのです。

そのためには、嘉蔵さんは3人娘としっかり話し合う必要があります。

生前に相続の話をするメリットには、自分の思いを相手に伝えること。そして、それに対する相続人たちのリアクションを見ることができるということがあります。

そうした話をそれぞれとすることで、場合によっては姉妹間で話し合い、3人ともに納得するかたちでの財産の分配方法が決まるかもしれません。なかには嫌々相続する財産があったとしても、あらかじめ決まったことであれば、嘉蔵さんが亡くなった後に不服を言いだすわけにもいきません(実際の相続の現場では、不服を言い出す人がいるのですが……)。

いずれにしても、時間をかけてしっかり話し合って信託契約すること。これが私のおすすめする相続の方法です。

この矢島家のスキームは、「委託者」を嘉蔵さん、それぞれの相続財産ごとの「受託者」を藤代さん、千寿さん、雛子さんのそれぞれにして、「受益者」は嘉蔵さんにする。そして、嘉蔵さんが亡くなったあとはそれぞれの財産を相続するという内容です。

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この記事を書いた人

弁護士

一橋大学法学部卒。1985年に弁護士資格取得。現在は新麹町法律事務所のパートナー弁護士として、家族問題、認知症、相続問題など幅広い分野を担当。2015年12月からNPO終活支援センター千葉の理事として活動を始めるとともに「家族信託」についての案件を多数手がけている。

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