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ゴタつく横浜IR誘致の影で東京・お台場がIR候補地に急浮上の事情(1/3ページ)

浅野 夏紀

2021/07/12

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東京都は五輪終了後、IR誘致に触れた「東京ベイエリアビジョン」計画を発表する予定だ/©︎kuremo・123RF

乾坤一擲のタイミングで入った小池知事の応援

「勝者なき選挙」「自民敗北」……7月4日の東京都議会選挙のとらえ方はさまざまだが、自民党と公明党で過半数が取れなかったわけで、菅義偉首相にとっては厳しい結果になったことは間違いあるまい。

その大きな要因になったのは選挙戦の最終日に“過度の疲労”で静養していた小池百合子東京都知事が特別顧問を務める都民ファーストの会(以下、都民ファ)の候補者の応援に参戦したこと。さらに激戦区の有権者に対しては、小池知事自らが候補者を応援する録音テープによる電話作戦を行うなど、ここしかないまさに乾坤一擲のタイミングでの応援は大きかった。

都民ファの31議席(その後、1人離党)という数字は、勝ちすぎず、負けすぎず。それでいて都議会第2党の立場というのは、小池知事にとっては絶妙な結果で、自民党の二階俊博幹事長との関係においても満点の出来だったはずだ。

一方、菅首相にとっては、これで小池都知事から煮え湯を飲まされたのは何度目になるのだろうか。当初は楽勝と思えたものが一転した結果に終わった。

それでもなんとか自民党が都議会第1党に返り咲けたことが唯一の救い。すぐに責任を問われることはなく、なんとか先の総選挙、自民党総裁選挙に向けた1つ目の大きなハードルは越えた。

負けられない選挙で「勝てる候補」の登場か

そんな菅首相にとっての次のハードルは、横浜市長選挙(8月8日告示、22日投開票)である。

横浜市長選挙では、横浜市西区・南区・港南区の神奈川県2区を選挙区とする菅首相が強力に後押しする横浜市のIR(カジノ)誘致が大きな争点だ。ここはなんとかIR推進の候補を立ててというところ。しかし、お隣の横浜市鶴見区・神奈川区の神奈川県3区を選挙区とし、自民党の総裁選挙では、菅首相の選対本部長を務めた小此木八郎氏が論功行賞の国務相を辞職して「IR反対」を掲げて立候補することを6月25日に明らかにした。

この小此木八郎氏は、菅首相にとって政治家の師でもあり、秘書を務めた小此木彦三郎元建設相の息子であるばかりか、河野太郎ワクチン相、小泉進次郎環境相と並ぶ“神奈川三郎”と頼りにしてきた側近の一人。その小此木八郎氏の突然の市長選出馬は反乱ともいえる。

とはいえ、小此木の出馬が菅首相に対しての反旗なのか、それとも市長選挙で勝てる候補が見当たらないなか、カジノに対しては反対でも菅首相にとっては「負けられない」選挙での「勝てる候補」としての戦略的な出馬なのか、市長選出馬にあたっての菅首相と小此木氏の間でどんなやりとりがあったのかは明確にはなっていない。


横浜のIR予定地 山下ふ頭/©︎dreamnikon・123RF

横浜のIR誘致については、菅首相が小此木彦三郎元建設相の秘書時代からよく知り、菅首相が横浜市議、衆院議員、大臣と政治家としてのキャリアを重ねるなかで後ろ盾でとなってきた、“ハマのドン”といわれる藤木幸夫氏が「山下ふ頭をばくち場にはしない」などと反対姿勢を示している。また、5月には「カジノに頼らぬ横浜」を目指すとした市民団体「横浜未来構想会議」を立ち上げ、菅首相が推すIR誘致に対して徹底抗戦をあらわにしている。

そんななかで大臣を辞してまで立候補する小此木氏は無所属として出馬。会見では「市民から治安が心配、賭けごとをやって負けたお金を街づくりに使うとは何事だという声があった」と話し、このハマのドン・藤木氏との主張と重なる内容で菅首相vsハマのドンとの代理戦争の構図になっているわけだ。

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この記事を書いた人

経済アナリスト・作家・不動産小説家

経済アナリスト・作家・不動産小説家。 1963年生まれ。東京都心在住。オフィス・ホテル・商業施設・公有地・借地等の不動産の分析、株など資産市場の分析に詳しい。住宅業界のカリスマ事業家が主人公で、創業者まで徹底的に切り捨てる政権の歴史的な不良債権処理の暗闘局面などを明かした『創業者追放~あるベンチャー経営者の風雲録』などの作品がある。

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