賃貸・いいことばかりじゃない「駅近」「街中」。夜中の騒音、違法風俗……
2025/03/10

人気のロケーションも運が悪いと……
「駅が近い」「賑やかな街中にある」―――賃貸では人気のロケーションだ。だが、いいことばかりではない。運が悪いと「駅近」「街中」ならではのデメリットに悩まされることもある。
以下に、そんなデメリットに遭遇した入居者からのさまざまな声を挙げていこう。参考にしてほしい。
街は早朝から動き始める
Aさんの暮らす賃貸マンションは、まさに街のど真ん中に建っている。周りにはスーパーやコンビニ、雑居ビル等々がところ狭しと建ち並ぶ。そんな環境で、Aさんを悩ませたのが、早朝から始まる各店舗への商品の搬入だった。トラックの荷台のドアを開け閉めする大きな音や、荷物を下ろす重たい音、台車を押す“ガラガラ”音などが、Aさんの眠る3階の部屋の窓の斜め下から、毎朝響いていたそうだ。そんなある日のこと―――
「たまたま出会った物件のオーナーに、『音でしょっちゅう起こされています』と漏らしたところ、『通りと反対側の部屋なら静かですよ。引っ越しませんか』と。その数日前に退去があったそうです。タイミングに恵まれました。同じ建物内で小さな転居をして、いまは快適に過ごせています」
駅近とはつまり「線路近」のこと
駅近―――すなわち駅に近く、同時に線路にも近いということだ。首都圏の賑やかな街に建つ駅徒歩4分の賃貸マンションに、遠い地方の町から引っ越してきたBさん。かなりのショックを受けたそうだ。
「その部屋は2階で、ベランダの向こうに線路が3本走っていました。そこを電車がひっきりなしに駆け抜けます。僕の田舎の駅では列車は1時間に1本が発着するくらいで、とてものどかでした。ですが、こちらでは数分ごとにやって来ます。しかも、近くの踏切の警報機の音もそのたび『カンカン』と。慣れる人も多いそうですが、僕はすっかり参ってしまい、1年も経たずに引っ越しました」
お隣のビルでは朝までカラオケ
首都圏のある街の繁華街の中心に建つ分譲マンション。そこのひと部屋を借りて入居したCさん。飲食店が多数入る隣の雑居ビルから響いてくる声と音に悩まされたそうだ。
「とにかくすごかったのが、大声で唄うカラオケです。そして、その周りの拍手や大騒ぎ。しょっちゅう明け方まで響いていました。僕の部屋はそのうるさいビルにぴったり面していましたので、休日前の夜など特に大変でした。分譲マンションなので、こんな環境、管理組合が動いてどうにかしないのかと思いましたが、実は、この物件では多くの部屋が賃貸に出されていて、持ち主はあまり住んでいないのだそうです。所有者本人が暮らしている部屋は、うるさいビルとは反対側の比較的静かな辺りに集中していたようです」
ここはトイレじゃありません……
Dさんの暮らしていたアパートは、飲食店の多い歓楽街から駅へ向かう、車通りの少ない歩きやすい道路の途中にあったそうだ。
「なので、当然ですが、夜は酔っぱらった人たちが歩きながら話す声が絶えません。ときにはケンカ騒ぎが起きたりも。そして、それ以上に困ったのが、誰かが吐いたものや立小便の跡がアパートの出入り口付近でたまに見られたことです。朝のゴミ出しの時など、うっかり踏んでしまわないよう、要注意でした。もちろん、ゴミのポイ捨ても多かったです」
客引きを避けて遠回り
女性のEさんが住んでいた賃貸マンションは、瀟洒な造りで、駅徒歩3分。設備も充実し、その点は大満足だったのだが……
「夜の飲食店が多い辺りが近いので、客引きが毎晩物件の近くにたむろするんです。柄の悪そうな路上飲みの人も混じっていたり、路上喫煙も多かったり。そばを通って、顔や住まいを覚えられたらイヤなので、仕事帰りの帰宅時はわざわざ遠回りして、彼らの視界に入らない方向から玄関に向かっていました。おかげで、せっかくの駅近なのに徒歩分数は本来の倍かかっていました」
怪しい店が同じ建物で開業!
駅近、街中の賃貸物件では、居住用として部屋を借りる人、事務所などの事業用として借りる人、両方が建物内に混在することも多い。そうしたうち、特に事業用の借り手の中には、とんだ「招かざる客」が混じっていたりもする。女性のFさんも、以前にそんな経験をしたそうだ。
「駅徒歩2分でオートロック完備。複数の監視カメラも付いたセキュリティのしっかりした賃貸マンションに住んでいました。ところが、ある時期からやたらと建物内で見知らぬ人とすれ違うようになりました。性別は男の人だったり、女の人だったり、色々です。時間も昼間から深夜までの長い間。なんと、原因は違法な風俗店でした。私の部屋とは別の階の一室に、部屋の使用目的を『事務所』と偽って入居し、こっそり営業していたそうです。出入りしていた人のうち、男性は客や経営者、女性は従業員だったらしいです。駅近でセキュリティのよい物件だと商売がしやすいので、そうした人たちが狙って入居したがると、あとで管理会社から聞かされました」
さすがは街中。工事が絶えない……
駅近、街中という環境ならではの特徴のひとつ。それは工事が多いことだ。建物の新築や解体、修繕等に加え、道路工事、ガス管・水道管等のインフラ整備など、タイミングが悪いと、Gさんのようなかなり厳しい経験をすることにもなる。
「首都圏のある街の駅のそばに2年ほど暮らしていました。そのうち、工事の音や振動に悩まされず済んだ期間といえば1/3にも満たなかった気がします。駅前広場の大規模な整備が長く続いていたほか、隣の雑居ビルの解体や、近くのオフィスビルの建て替え、さらにはマンションの新築、修繕と、僕がいたタイミングが悪かったのか、目まぐるしい状況でした。昼間は人や車で街が混むので、駅前の整備や道路を掘り返す工事など、ほとんど夜中に行われていましたね」
―――以上、いかがだろうか。
駅から遠い静かな住宅地などに暮らしている人が、通勤の際など、「便利そう」とうらやましく眺めている近所にも、悩める住人が意外にたくさんいたりするわけだ。
(文/賃貸幸せラボラトリー)
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この記事を書いた人
編集者・ライター
賃貸住宅に住む人、賃貸住宅を経営するオーナー、どちらの視点にも立ちながら、それぞれの幸せを考える研究室