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家賃は下がるけど……駅から遠い物件を選ぶときの注意点

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すっかり高くなった家賃

家賃が上がっている。昨今、いわゆるコロナ禍の時期も挟みながら、首都圏や大都市部を中心に賃貸住宅の家賃は概ね高くなった。

たとえば、先日公表された、不動産ポータルサイト「at home」を運営するアットホーム株式会社による「全国主要都市の賃貸マンション・アパート募集家賃動向(2024年9月)」を見ると、2015年1月を100とした平均家賃の指数は、東京23区の場合でこうなっている。

2015年1月=100とした指数・アットホーム調べ
広さ賃貸マンションアパート
30 ㎡以下 115.8 105.0
30~50㎡ 129.1 116.4
50~70㎡ 139.0 129.1
70 ㎡超 124.4  

いわゆるファミリー向け、カップル向けの広さ・間取りを中心に、上昇の度合いが著しい。

そこで、こうした状況の中、予算に適う家賃を求めて、相場が下がりがちな駅から遠い物件を部屋探しのターゲットに含める人も、目下増えていることだろう。

この記事では、そんな“駅遠物件”を選ぶ際の注意点を以下に挙げていきたい。

1.広告の「駅徒歩分数」があてにならなくなる

駅遠物件でよく見られる特徴なので覚えておこう。

不動産広告に記されている「駅徒歩分数」が、あてにならなくなりやすい。物件が駅から遠ければ遠いほど、その傾向は増してくる。

理由は、不動産広告のルールにある(不動産の表示に関する公正競争規約)。

これによれば、駅徒歩分数は、道路距離80mを1分として表示することになっている(実測せずとも、少なくとも正確な地図上で計測)。端数は切り上げる決まりなので、たとえば420mならば6分だ。

そのうえで「道路距離」とあるとおり、この距離は実際に人が歩く道筋を辿ったものでなければならない。徒歩での経路を無視して、駅から物件までの直線距離を広告に載せたりしてはいけないことになっている。

ところが、駅遠物件では、ルール上正しい徒歩分数が広告表示されていても、実際には「それよりかなり時間がかかる」との声がよく挙がる。

理由は、さまざまな障害の存在だ。駅と物件との距離が離れるほど、途中でこれらが出現しやすくなる。たとえば、信号、踏切、渡りにくい横断歩道、歩道橋、地下道といったものだ。

すると、想像のとおり、これら障害があると、道路距離とは関係なく、われわれはその場で歩行を止めたり、階段を上り下りしたりすることでそのたび時間を奪われる。

駅に近い物件に比べ、遠い物件の場合はこれらに出会う確率がその分だけ増えるため、「駅遠」がさらに「駅遠」になってしまうことがよくあるのだ。注意したいポイントのひとつだ。

2.坂道に苦労も

1と共通する注意点がもうひとつある。それは「坂道」だ。

不動産広告における徒歩分数の表示において、坂道が考慮されているケースはほとんどない。なぜなら、どれほど急な坂道、長い坂道がそこにあったとしても、地図上はあくまで平面の一部に過ぎない。「道路距離80m=1分」を地図で測る際、モノサシは、必ずこの平面上に置かれるためだ。

そのうえで、坂道も、駅から遠い物件では経路の途中で遭遇しやすくなるもののひとつになる。

たとえば、駅遠物件では、駅や駅前の繁華街などと自宅の間を行き来する手段として、自転車に頼るケースも増えやすい。ところが、その途中に坂道があると、体力的にかなり厳しい道のりになったりする。

3.不安な夜道が現れやすい

賑やかな駅前から離れ、郊外へ向けて15分、20分―――と歩くことが多い駅遠物件では、途中で灯りや人の目が乏しい、寂しい道に出会う確率も上がりやすい。

広い畑や雑木林沿いの道、夜は無人となる工場や倉庫の脇、川の護岸沿いなど、心細い環境が存在しないか、女性は特に注意が必要だ。実際に危険なことが無くとも、通るたび緊張させられることで日常のストレスになる。

4.経路の問題が内見で見逃されやすい

1~3に挙げたような問題が、部屋探しの際に物件を見に行く「内見」で見逃されやすいことも、駅遠物件を検討する場合の注意点のひとつになる。

なぜなら、こうした物件を見に行く場合、不動産仲介会社のスタッフは、通常、客を車に乗せる。その際、徒歩や自転車では経由しない、車で行き来しやすい別の道を使って現地に向かうことも少なくない。もちろん、そのことに悪気はないものの、結果として、入居希望者は、たとえ仲介会社が駅前にあったとしても、自身がそこから物件まで向かう際の環境を満足に把握できないケースが生じやすい。

加えて、車が徒歩で辿るのと同じ道を通ったとしても、長い坂をあっという間に登り切ったり、寂しい道路も一瞬で通り過ぎてしまったり、実際に歩く場合との認識の齟齬はやはり起こりやすい。

そういった状況から、「経路の問題が内見で見逃されやすい」は、駅遠物件では特に言えることとなる。その点も注意したい。

5.郊外に特有の? 騒音源

駅遠物件は、概ね街の郊外に立地している。こうしたエリアでは、郊外特有のさまざまな騒音源が物件に隣接していたり、近くにあったりすることも多いので注意したい。

たとえば、工場、作業場、流通施設、大型の幹線道路といったものだ。ゴルフ練習場など、スポーツ施設が騒音源のケースもある。

「物件の裏手に建つ工場が休業していた日曜日に内見したため、騒音には全く気付けなかった。ところが、実際に入居してみると、朝から晩まで機械や大型トラックの音が響きわたる状態で困っている」

―――駅遠物件では時折聞かれる類の声だ。

もちろん、駅に近い街なかの物件でも、さまざまな工事の音や酔客の声など、外部の騒音に悩まされることは少なくない。だが、これらは時期が来れば収まったり、一過性のものであったりすることも多い。

一方、郊外で出会う騒音は、恒常的なものが大半だ。たとえば、工場の音であれば平日朝から晩まで、幹線道路であれば24時間まったく休みなく、といったかたちになりやすい。

自宅で仕事をする人、家に長い時間居続けることになる主婦や主夫、あるいは高齢者等がいる家庭などは、特に気をつけたい注意点となる。

(文/賃貸幸せラボラトリー)

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この記事を書いた人

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賃貸住宅に住む人、賃貸住宅を経営するオーナー、どちらの視点にも立ちながら、それぞれの幸せを考える研究室

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