人気設備ランキングでは目立たない――賃貸「ここに住んでよかった」物件にあったもの
賃貸幸せラボラトリー
2024/02/05
話題になりにくい、けれども満足度の高い「設備」「仕様」とは
2月になった。賃貸住宅市場が一年で最も忙しくなる、冬の終わりから春にかけてのシーズン、その中心となる頃だ。
その賃貸で、人気の設備といえば、オートロックや宅配ボックス、独立洗面台、モニター付きインターホンなど、いわば「定番」のアイテムが、インターネットの記事等にはずらりと並ぶ。
さらに、正しくは設備ではなく「仕様」や「条件」というべきものだが、部屋の位置が2階以上であったり、ゴミ置き場が24時間使用可能であったり、コンロが2口以上付いていたりといったものも、よく目につく。
さらには、流行りの色のフローリングであったり、ウォークインできる大型のクローゼットであったり、洗浄機能付きの便座であったり……、それらは、もちろん実際に多くの入居者を満足させているのにちがいない。
だが、一方で、
「今の物件に満足している」「ここに住むことにしてよかった」
そんな感想を抱く入居者に聞いてみると、ネット記事などでは目立たない、意外な設備や仕様が、その理由に挙がることも多い。
そこで、この記事では、そんな実例のうち特に感謝の声が大きい(と、われわれが感じているもの)4つを紹介していこう。部屋選びの参考にしてほしい。
温熱環境も音も快適――二重窓と複層ガラス
「以前住んでいた部屋と違って、ここは掃き出し窓が1枚×左右のひと組ではなく、2枚2組の計4枚で二重になっている。しかも、そのうち内窓は厚くてずっしりと重い。サッシも、よくある銀色ではなくプラスチックみたいな白い色の素材。これって一体何なんだろう?」
引っ越して来て以来、その意味に気付けないでいたというAさん。そこに、
「この部屋、多分当たりだよ」
と、教えてくれたのは、住宅や建築に詳しい友人だったそうだ。
「この掃き出し窓、見てのとおり二重窓だ。しかも、内側に入っているのはガラスが2枚重ねになっている複層ガラスだ。なおかつ、サッシは熱を通しにくい樹脂サッシになっている。暖房や冷房がよく効くはずだから、冬は暖かく、夏は涼しいはず。光熱費もきっと下がると思うよ」
その後、1年暮らした結果、まさにそのとおり。
Aさんが以前住んでいた、アルミサッシの1枚窓のみが入った部屋よりも、この部屋は断然暖かく、涼しいとのことだ。さらには――
「この窓、防音性能も優れていて、閉めると外の音がほとんど気にならなくなるんです。ここを選んで本当によかったです」
大切な自転車を汚さずに済む――広い屋内駐輪場
「以前住んでいた物件の駐輪場には、申し訳程度の小さな屋根しか付いていませんでした。そのため、雨風が吹き込み、いつも自転車が汚れてしまっていました。その点、ここは快適です」
そう語るBさんが暮らす賃貸マンションには、広い屋内駐輪場がある。そこには、建物内へ通じるカギ付きのドアもあって、自転車を停めたあとは、雨の日でも濡れずにそのまま部屋へ直行できるかたちだ。
「チェーンロックをかけるための丈夫なバーも設置されています。天井には監視カメラもあります。防犯面でも安心なので、ここに引っ越してから少し高い自転車に買い換えました」
今の時代必須の仕様? コンセントが多い部屋
今住んでいる部屋に引っ越してきた当日、荷物を解き、家具などを据えながら、Cさんはふとそのことに気付いたそうだ。
「あれ? 延長コードの出番がほとんどないぞ。タップも要らない…?」
スマホや複数のモバイルバッテリー、Wi-Fiルーター、ノートPC、さらにはコードレスの掃除機と、充電が必要な機器を色々と所持しているCさん。すぐに、その理由に気付いたそうだ。
「そうか! この部屋はコンセントが多いんだ。1口…2口…、なんと、5カ所10口もある。前の部屋と同じワンルームで、広さも同じくらいなのに、向こうはたったの4口だった。ここはその2.5倍だ!」
充電が必要な機器だけではない。ほかにも、テレビあり、電子レンジあり、電気ポットあり……。そのため、Cさんによれば、コンセントの数が少ない以前の部屋では、床に延長コード付きのタップを何本も這わせながらの“やりくり”が、かなり大変だったそうだ。
「僕の場合、そんな苦労を部屋選びの際はすっかり忘れていて、偶然、今の物件に当たったかたちです。ですが、今賃貸を探している皆さんは、初めから意識しておいた方がいいでしょう。コンセントの数が多いことは、今どきの部屋選びで最も大事な条件のひとつだと思います」
加えて――、
「僕が前の部屋でやっていたような、コンセントに延長コードやタップを繋げてのタコ足配線は、火事の原因にもなりかねずそもそも危険です!」
一番のセキュリティー「設備」かも。マメな大家さんの自宅が同じ建物に
ある賃貸マンションへ引っ越して来たDさん。契約の際、1階が丸ごとオーナー(大家さん)の自宅になっていることを不動産会社の担当者に教えられ、知ったそうだ。ちなみに、こうした大家が同居するかたちの賃貸物件を「賃貸併用住宅」という。
「1階には、仕事をリタイヤされたご主人と奥様が暮らしています。二人とも、玄関まわりの掃除や、洗濯物干し、庭いじり、ワンちゃんの散歩のため、1日中マメに建物を出入りされます。なので、周囲はいつもオーナーさんの目が行き届いている状態です」
ちなみに、入居者用のエントランスにはオートロックや監視カメラも完備。それだけでもある程度安心というが……
「やはり、実際に人の目があるというのはそれ以上に心強いです。ある意味、24時間常駐の管理人さんがここにはいてくれているようなものですから。オーナーが同じ屋根の下に住む環境は“煙たい”という人もいますが、私の場合、ご夫婦ふたりとも明るい性格ということもあって、とても快適です」
(文/賃貸幸せラボラトリー)
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この記事を書いた人
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賃貸住宅に住む人、賃貸住宅を経営するオーナー、どちらの視点にも立ちながら、それぞれの幸せを考える研究室