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広島県庁「ひろしま暮らしサポートセンター」×「一般社団法人 広島空き家流通促進ネットワーク」

移住者の空き家探しは、行政から民間への橋渡しで実現する

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都会から地方への移住を考えるときに、重要なことの1つが“住まい探し”だ。移住者は、まず賃貸物件での暮らしを希望し、やがて定住のために“空き家”を購入するケースも少なくない。しかし、行政が空き家物件の情報を網羅して一般に公開するには限度があり、民間団体や地元の人々の情報によって理想とする空き家に巡り合う人も多いという。行政と民間団体、それぞれの立場での移住者対応と空き家対策を聞く。(取材/佐藤 美月・文/財部 寛子)


ひろしま暮らしサポートセンター 矢ヶ崎 亮氏


一般社団法人広島空き家流通促進ネットワーク 堀江 里香氏


広島県地域政策局 地域創造課 上原 正義氏

ロケーションを大切にする移住

―――広島県地域政策局「ひろしま暮らしサポートセンター」と「一般社団法人広島空き家流通促進ネットワーク」、それぞれ活動の概要について教えてください。

矢ヶ崎 「ひろしま暮らしサポートセンター」は東京都に設置している広島県への移住相談窓口で、住まいや仕事など移住全般に関する相談をお受けしています。相談を受け、その方の移住に必要な情報を得られる民間団体におつなぎし、また就職や不動産など役立つサイトを紹介しています。移住の一次窓口といった感じに捉えていただければ分かりやすいと思います。

堀江 「広島空き家流通促進ネットワーク」は民間の団体で、空き家の活用や処分、移住などについて相談に来られた方に、今後の道筋をご提案しています。家を売買する際に必要な宅地建物取引士や司法書士、行政書士、土地家屋調査士、税理士などといった専門士業のメンバーも在籍しており、お悩みにワンストップで対応しています。

現在の活動拠点は東広島市豊栄町で、実際に豊栄町での空き家の活用事例なども紹介しています。

―――移住を希望する人たちの特徴を教えてください。

矢ヶ崎 基本的には首都圏在住の方からの相談がほとんどです。移住のきっかけはUターンやIターン、転勤、新事業を立ち上げたいなどさまざまですが、ロケーションを大切にして住む場所を希望される方が多い印象です。

堀江 住む場所をはっきりと決めているわけではなく、瀬戸内海沿いに住みたい、山側で農業をしたいなどざっくりとした感覚で来られる方が多いように感じています。そのなかで、まずは広島市や東広島市などの市街地で暮らしてみて、「市街地から少し離れたところにいい家があれば引っ越したいんだけど……」という感じの方も少なくありません。

「関係人口」という言葉もありますが、豊栄町のような拠点を各地に作り、観光などで遊びに来られた方との縁で、「田舎に引っ越すなら、○○町にしようかな」と思ってもらえるような仕組み作りも大切だと考えています。

空き家の多くは表面に出ていない

―――広島県では、空き家の情報はどういったところで入手できるのでしょうか。

上原 「みんと。」という空き家バンクのサイトがあります。しかし、このサイトに載っていない空き家がかなり多いのではないかと思っています。現場で活動する堀江さんから見て、この点についてどう感じていますか。

堀江 おっしゃる通りです。たとえば、東広島市には空き家が約3,000軒あるといわれていますが、空き家バンクに登録されているのは30軒ぐらいです。手続きが面倒、あるいは売れる・貸せると思っていない空き家所有者が多いことがその理由だと考えられます。

そういった背景もあり、豊栄町の自治組織では所有者云々は置いておいて、「ここに空き家があるよ」という情報をとにかく集める「空き家リスト」を作っています。
空き家はあっという間に傷んでしまうこと、持ち主が元気なうちに相続などの準備をしておくことで後々の手続きがスムーズであること、また空き家にはいろいろな活用方法があることなども、多くの方にお話しさせていただいています。

―――空き家を探している移住者には、「ひろしま暮らしサポートセンター」から、堀江さんが活動するような各市町の民間団体などを案内するという流れになるのですね。

矢ヶ崎 そうですね。堀江さんがおっしゃる空き家リストのように、移住者はその土地の住民の方々から「この家、空いてるよ」と耳にして、空き家を購入したというケースも多いようです。巡り合わせや縁、運、タイミングなどが空き家探しの大きな要素にもなっています。

地域との連携で楽しい空き家探しへ

上原 堀江さんから見て、行政の空き家バンクに載っていない空き家が多いということ以外に、移住者に空き家を選択してもらうという点で課題に思うことはありますか。

堀江 移住の際にまとまった資金が必要になりますし、まずは賃貸でその土地に住んでみたいと考える方が多くいます。一方で空き家所有者は売買を検討しています。つまり、移住者と空き家所有者との間に賃貸と売買という差異が生じており、このすり合わせも課題だと考えています。

―――行政側と民間側、それぞれに今後の理想や展望はありますか。

矢ヶ崎 空き家探しや移住は、もっと楽しんでもらうことが大切だと思っています。そのためにも、われわれも地域や民間団体などいろいろな方々ともっとつながり、知見を広げていくことで、本県の多様な魅力と選択肢を紹介していきたいと考えています。

堀江 私たちは、空き家の放置を防ぐための啓蒙セミナーの開催、また空き家に悩んでいる方が相談に来ていただきやすいような仕組み作りもしています。たとえば、豊栄町では店舗を作って、空き家から出てくる古いお皿や家具、建具や建材などを引き取り、再利用してくださる方に販売しています。この店舗を通して、多くの方が空き家について考えるきっかけにつながればいいなと考えています。

また、移住者に、その土地の風土や暮らしぶりを親身にお伝えしていけるのは民間だからこそできる部分だと思います。空き家は個人の持ち物ですが、地域の財産ともいえます。地域のみなさんと一緒に空き家問題を解決していくための活動により一層取り組んでいきたいと思います。

 

<プロフィール>
「ひろしま暮らしサポートセンター」(東京都有楽町)
広島県への移住、転職や起業、ネットワーク作りなどに関する幅広い相談に対応。移住相談員である「ひろしまライフスタイリスト」が一人ひとりに寄り添ったサポートをしてくれる。
東京都千代田区有楽町2-10-1 東京交通会館8階
080-5873 -3296(直通)/03-6273 -4401(代表)
10:00~18:00
https://www.pref.hiroshima.lg.jp/soshiki/246/soudan.html

「一般社団法人広島空き家流通促進ネットワーク」
空き家にまつわるさまざまな問題の解決に取り組む専門家ネットワーク。すでに空き家になった物件への対応だけでなく、将来的に空き家になりそうな物件への事前対策や地域での空き家を活用したまち作りのサポートも行う。
広島県東広島市西条西本町12 -1 播磨ビル102
https://www.akikatu.net/

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この記事を書いた人

賃貸経営・不動産・住まいのWEBマガジン『ウチコミ!タイムズ』では住まいに関する素朴な疑問点や問題点、賃貸経営お役立ち情報や不動産市況、業界情報などを発信。さらには土地や空間にまつわるアカデミックなコンテンツも。また、エンタメ、カルチャー、グルメ、ライフスタイル情報も紹介していきます。

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