ウチコミ!タイムズ

賃貸経営・不動産・住まいのWEBマガジン

事故物件公示サイト運営者、大島てる氏に聞く(2)

【大島てる】事故物件はすべて晒す。気にするかしないかはあなた次第です(1/3ページ)

  • Facebook
  • Twitter
  • LINE
  • Hatebu

『大島てる』と不動産業者は対立しない なぜなら…

——サイトには日本国内はもちろん、海外の事故物件情報も掲載されていますが、どのような人が利用しているのでしょうか?

大島:データを取っているわけではありませんが、まず興味本位の人、それから物件を探しているけれど事故物件は避けたいという人、そして不動産業界の関係者ですね。

ここは重要な点なのですが、実は私たちと不動産業者の間には対立はまったくありません。なぜかというと、ご存知のように不動産業者、仲介業者の場合ですが、貸す人と借りる人、あるいは売る人と買う人をつないで手数料をもらうのです。ですから、お客さんが事故物件は嫌だといえば、事故物件ではないものをすすめればいいだけです。別に事故物件の情報が公開されても、他人事という立場なので、本質的に対立関係にはないのです。

ただし、不動産業者が大家の代理人かのように連絡をしてくることはあります。大家のなかには高齢者が多くいますから、「うちの物件が載っているらしいんだけど、ちょっと調べてくれないか」とか、「苦情を言ってくれないか」とつきあいのある不動産業者に頼むケースがあるのです。

——情報を出されて困るのは大家さんだということですね。

大島:情報を隠したがるのは圧倒的に大家の側です。不動産業者はあくまでも大家の代理人のように連絡してくるだけです。

このサイトをご覧になっている方にとっては、釈迦に説法だと思いますが、大家と不動産業者は一般には別物ですから、その利害は必ずしも一致しないのです。不動産業者は宅建免許がなければ営業できませんし、当然、宅建業法に規制されますが、大家には免許もいりませんし、宅建業法に規制されることもありません。

この免許というものには大きな意義があって、何かルール違反をして宅建免許を取り上げられてしまったら不動産業者は商売上がったりになってしまいます。ですから、はじめは大家と一緒に悪さをしても、役所にチクりを入れれば、終いには必ず 「ここから先はご自分だけでどうぞ」と身を引くのです。ところが、大家業には免許制度がないので、大家のほうは、それこそ警察沙汰にでもならない限り、怖いものなしのやりたい放題なのです。いちいち裁判を起こすのも大変ですからね。

そういう意味では、宅建業法には告知義務が規定されているので、不動産業者のほうが事故物件については敏感で、サイトを熱心に見てくれているように思います。不動産業者自身が、事故物件と知らずに客付けしてしまう可能性も十分にあるわけですから。

次ページ ▶︎ | 大家に嘘をつかれたら、不動産会社はどうしようもない 

  • Facebook
  • Twitter
  • LINE
  • Hatebu

この記事を書いた人

賃貸経営・不動産・住まいのWEBマガジン『ウチコミ!タイムズ』では住まいに関する素朴な疑問点や問題点、賃貸経営お役立ち情報や不動産市況、業界情報などを発信。さらには土地や空間にまつわるアカデミックなコンテンツも。また、エンタメ、カルチャー、グルメ、ライフスタイル情報も紹介していきます。

ページのトップへ

ウチコミ!