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真夜中に笑い続ける隣人…賃貸で発生する「無意識の騒音」とは何か

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イメージ/©︎andreypopov・123RF

多くの管理会社が騒音トラブル増加を実感中

賃貸住宅での入居者間トラブルといえば、その筆頭が「騒音」だ。いまに限らず昔からのことだが、実はその傾向が昨年来、より顕著になっている。不動産業界のみならず、一般の人も少なからずご存知のことだろう。

原因は、新型コロナウイルスだ。いわゆる「コロナ禍」が始まった直後から、テレワークや学校休校、外出の自粛によって、人々が自宅に籠る時間が増えたのと同時に、クレームやトラブルも増え出した。

日本賃貸住宅管理協会がまとめたところによれば、2020年度上期(4月~9月)において、「新型コロナウイルス感染症の感染拡大による影響」によるものとして「クレーム・問い合わせが増加」を挙げた管理会社(全国)は、全体の42.8%にのぼっている。続く下期(10月~21年3月)においても、51.4%と、数字はさらに伸びている。

同協会ではこれにつき、「在宅時間が増えたことにより、(以前は)気づかなかった近隣関係問題、特に騒音によるクレームが増加」等の分析を添えているところだ。

誰もが発しているかもしれない「無意識の騒音」

ところで、賃貸アパート・マンションで、よく聞かれる騒音でのクレームやトラブルについては、「無意識の騒音」も、実は数多い。対応にあたる管理会社などはよく知るところだ。

「無意識」とは、音を出している自覚も、もちろん悪気もないこと。つまり、本人としては、それが周りを悩ませる可能性がある行為だとは想像すらしていない。

こうしたものには、例えば「調理の際に包丁がまな板を叩く音」と、いった、明らかに通常の生活音の範疇であり、仮に周りが気になったとしても、当然受忍すべきと考えられるものもあるが、一方、そうでないものもある。

何かといえば、それはアパートやマンションという、人が密集して生活する環境のなかで、「そうした音は出さないよう、気遣える人は普通に気遣うことができるが、一部にはそれに気付けない人がいる」と、いった類の音だ。

つまり、「よそ様の迷惑」と自覚すれば改善できるのに、本人はそれを自覚できずにいるため、知らないうちに周囲のストレスとなっているケースがこれにあたる。

以下、よく問題になる代表的なものをいくつか挙げてみたい。

読んでいて、もしも「自分のことだ」と気付くようなことがあれば、いまから早速改めることをおススメする。

大きな足音

一歩踏みしめるたびにドカン、ドカン、あるいはハイヒールで廊下や階段をけたたましく連続キック……と、自分の足音のスゴさにまったく気付かずにいる人は案外多い。体格のよい若者や、かかとの高い靴を愛用する女性は特に注意が必要だ。ある日、突然、音に悩まされ続けていた住人がものすごい剣幕で怒鳴りつけるなど、トラブル事例が昔からよく聞かれる。建物の廊下や階段等、共用部分のみならず、室内でももちろん足音には気を配りたい。

乱暴なドアの開け閉め

これも足音と同様、気付けない人は自分の出している音にまったく気がつかない。ドアを開けたあと、ドアノブから手を放し、ホテルのドアよろしく勝手に閉まるのに任せるのが当たり前になっている人など、もちろん要注意だ。知らぬ間に周りのストレスを貯めてしまわぬよう、ぜひ改めたい。

掃除機のヘッドで壁を乱打

掃除機が作動する際のモーター音や、吸排気音自体は、使用する人が抑えられるものではない。なので、真夜中でもない以上、これが聞こえてしまうのはお互い様だ。当然、受忍の範囲内だろう。しかし、中には、掃除機をかけている最中、ヘッド(ノズル・吸い口)を勢いよく壁にぶつけるのがクセになっている人がいて、たとえ隣室との間にある壁であっても、これを何度も繰り返してしまう。木造物件などでは大変な騒音となるが、本人は指摘されるまで迷惑をかけているとは気付けない。「壁をモノでガンガン叩く嫌がらせと結果は同じでしょう」と言われ、やっと深刻さを理解したりする。

郵便受けに恨みでも?

ドアの閉め方と同様、郵便受けの構造にもよるが、フタや扉を閉める際、これを叩きつけるような勢いで行うのが習慣になっている人がいる。かなりの音が響いていても、本人はうるさいとは感じていないので、近くの部屋や近所で悩んでいる人がいる可能性をまったく想像できない。

窓を開けたままの会話・テレビなど

居室の窓のすぐ向こうが隣の建物の壁……と、いった環境が、賃貸集合住宅ではよく見られる。そのうえで、窓を開けたまま室内で音を出すと、漏れた音が壁に反響し、同じ建物のほかの部屋にまで響きわたることが多い。なので、これに気付かずにいると、窓を閉めていれば問題にならない程度の会話やテレビの音などであっても、容易に騒音化してしまう。気候の快適な春や秋によく見られがちなトラブルだ。なお、物件近隣の住民から賃貸住宅へ苦情が寄せられるケースにおいても、この「窓から出て行く騒音」は、原因として多分もっとも多いはずだ。

不気味……! びっくり……! ちょっと変わった実例

さらに、以下、ちょっと変わった無意識の騒音による実例も紹介しておこう。意外に多くの人の参考になるかも?

1.真夜中に笑い続ける隣人

「深夜の2時か3時過ぎ、隣の部屋から笑い声が響く。声の主はひとり。寝ているところをいつも起こされる。決まって小1時間くらい、断続的にケタケタ笑いが続く」……と、不気味な悩みを訴える入居者。

調べると、真相はこうだ。

実は、隣の人は飲食店の従業員。毎日深夜まで働き、帰宅は午前となる。そこで、楽しみはそのあと。酒を飲みながら、録画しておいたテレビのお笑い番組を観ることだった。

もっとも、深夜ということで、気遣いのできるこの人は、番組の音声をイヤホンで聴いていた。ところが、それだけでは「音」は防ぎきれていなかった。

そう。ひときわ甲高い彼の笑い声だけは、酒の酔いもあって、気づかぬうちに寝ている周囲の人を起こしてしまうほど盛大に響き渡っていたのだ。

2.最初は地震だと……

「最近、真夜中に隣室との間の壁がグラグラと激しく揺れ出す。何だろう?」

最初は地震と思い、布団から跳び起きたというその入居者。やがて、事情が判明した。

「隣に住んでいる若い方に、仲のよい人ができたようです。しょっちゅう泊りに来ています。ただし、困ったことに、2人で寝るベッドを多分こちら側の壁に密着させています。なので“ハッスル”するたびに、薄い壁がギシギシグラグラと、音を立てて揺れる状態です。いまに壁にヒビが入るのでは」

その後、隣の若い人は、オーナーから無断での同棲状態は困ると指摘され、退去したという。

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この記事を書いた人

編集者・ライター

賃貸住宅に住む人、賃貸住宅を経営するオーナー、どちらの視点にも立ちながら、それぞれの幸せを考える研究室

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