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契約書をどう読み取るか(2)――家賃滞納と契約書にない家主からの要求(2/2ページ)

大谷 昭二大谷 昭二

2020/05/29

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<家主からの要求>共有部分の掃除を入居者で分担してもうらうと言われた

Q.家主から、「共用部分の清掃を入居者に手分けしてやってもらう」という通告を受けました。契約書にそういうことは明記されていないのですが、家主からの通告には従わざるを得ないのでしょうか?

A.共用部分の清掃や維持管理のために、「共益費」や「管理費」などの名目で、家主が徴収していると思います。一方、「共益費は無料」という場合には、家賃に共益費部分も含んでいると解釈されます。

家主は、家賃や共益費を徴収している以上、入居者に使用収益させる義務がありますので、共用部分の清掃は、家主が行わなければなりません。まして、契約書に記載されていないのに、入居者に清掃を求めるとすれば、家賃や共益費の支払いとの二重負担を求めることになります。従って、家主の言い分は無茶苦茶な要求ですので、従う必要は一切ありません。

しかし、そんな無茶な要求であっても、家主からの要求を受け入れてしまい、共用部分の清掃を行う入居者が出てくると、かえって、入居者間に不協和音を与えてしまうことになり、結果的に、他の入居者も清掃をやる羽目になるかもしれません。

そこで、家主の要求が無茶苦茶であり、家主に従う必要もないので、入居者全員で拒否するように他の入居者に働きかけたほうがよいでしょう。そして、入居者の連名によって家主に対して、「家賃や共益費の負担と合わせて、清掃を求めるのは二重負担になるため、一切拒否する」という通告を行ったほうがよいでしょう。

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この記事を書いた人

NPO法人日本住宅性能検査協会理事長、一般社団法人空き家流通促進機構会長 元仲裁ADR法学会理事

1948年広島県生まれ。住宅をめぐるトラブル解決を図るNPO法人日本住宅性能検査協会を2004年に設立。サブリース契約、敷金・保証金など契約問題や被害者団体からの相談を受け、関係官庁や関連企業との交渉、話し合いなどを行っている。

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