2019年1月、地震保険値上げ 損をしないために進める準備の基本
平野 敦之
2018/06/19
■地震保険の改定(2019年1月)の内容
2019年1月改定のポイントは次の3つです。
・地震保険料率の改定(全国平均で3.8%アップ)
・長期係数の改定
・地震保険の割引に必要な書類の拡大
これら3つの改定内容の詳細について続けてみていきましょう。
【参考】
2019年1月地震保険制度改定の概要(出典:一般社団法人日本損害保険協会)
https://www.jishin-hoken.jp/pdf/jishin_hoken_2019outline.pdf
■地震保険料率の改定
この改定で地震保険は平均3.8%のアップですが、間違えやすいことが2点あります。1つ目が地震保険は火災保険に付帯して契約するため、契約上は支払っている保険料が火災保険料+地震保険料の合計です。この改定は地震保険料部分のみで、契約全体の保険料ではありません。
もう1つが地震保険料は、建物の所在地と建物構造によって異なることです。建物構造は2区分あり、イ構造(主に非木造、マンションや鉄骨造など)とロ構造(主に木造、イ構造以外)があります。構造における改定幅は次のようになります。
・イ構造 最大引上げ率+14.9% 最大引き下げ率-15.8%
・ロ構造 最大引上げ率+14.7% 最大引き下げ率-14.5%
平均3.8%値上げと言われるとそんなに影響がなさそうですが、地域によっては15%近く保険料がアップします。
■長期係数の改定
この改定で覚えておきたいのが、長期係数が変わることです。地震保険は1年契約の他に2年~5年までの長期契約をすることができます。長く契約するほど、また保険料をまとめて支払うほど割引率が大きくなります。
この改定では契約期間2年の長期係数は変わりませんが、3年~5年の契約については長期係数が上の表のように改定されます。
正確な計算ではありませんが、5年契約の場合には次のようなイメージです。
・改定前 1年間の保険料×4.5
・改定後 1年間の保険料×4.65
地震保険の保険料負担を減らす方法の1つが長期一括払いの契約です。単純な保険料アップに加えて長期契約をしている場合はこの分も値上げとなります。
■地震保険の割引適用に関する提出書類の拡大
地震保険には割引制度が4つあります(重複適用は不可)。耐震性や免震性が高いなど地震災害に強い建物に割引を適用するものです。
一番適用しやすい割引は建築年割引です。昭和56年6月以降に新築された建物は建築基準法が改正されているため、地震保険料が10%割引されます。こうした割引を適用する際にそれを証明する書類あるいはそのコピーの提出が必要ですが、この書類が拡大されています。
■地震保険の改定に向けてしておくこと
2019年1月の地震保険の改定では、一部の地域で保険料が値下がりします。これらの人は慌てて何かする必要はありません。
値下げ及び改定幅が0の道府県
・北海道、青森県、新潟県、岐阜県、京都府、兵庫県、奈良県
・大阪府
・愛知県、三重県、和歌山県
・愛媛県(ロ構造)イ構造はプラスマイナス0
上記以外の都県は保険料が値上げです。
現在の契約の満期日がいつなのかによりますが、2018年12月中に一旦解約、改めて同日付で契約し直すことを検討するといいでしょう。秋口以降くらいには損害保険会社もしくは担当の保険代理店で試算ができるようになります。解約した場合には日割り解約にはなりませんが一定の計算で残りの期間分については保険料が返金されます。
資金のやりくりに問題がなければ、5年契約で保険料は一括払いにすると一番お得になります。
■地震保険は2019年6月に満期になる人が多い
2019年1月の改定は3段階の2回目と言いましたが、この3段階の改定の前に地震保険の改定があったのは、2014年7月です。
この改定前に5年の長期契約をした人は、2019年6月に満期を迎えます。改定の半年後になるので、自分で現在の契約を確認して、自分の方から保険会社や保険代理店に声を掛けるようにしてください。
また2018年12月というとまだ先のようで意外と時間がありません。一戸建ての人は自分で決められますが、マンション管理組合などの場合、金額が大きいので影響も大きいのと意思決定の時間がかかるので早めに動いてください。
一括払いにする場合には、一戸建てでもマンションでも一時的な資金負担があるので、その資金捻出の問題もあります。
■3段階の改定の3回目は?
何度も3段階の改定を言っていますが、2019年1月の後にもう一度地震保険は改定されます(3段階3回目)。具体的な改定幅やその詳細、時期などについては公式に明示されていませんが、3回目の改定は2021年1月とも予想されています。
改定の詳細は今後出てくるでしょうが、住まいの保険(火災保険、地震保険とも)については改定の動向について情報取集を心がけてください。
この記事を書いた人
平野FP事務所 代表 CFP ®認定者、1級FP技能士、宅地建物取引士、住宅ローンアドバイザー
東京都出身。証券会社、損害保険会社を経て実務経験を積んだ後に1998年から独立して活動をはじめてFP歴20年以上。また相談業務を受けながら、中小企業の支援にも力を入れている。行政機関や大学での非常勤講師、企業研修などセミナーや講演も多数。メディアでの執筆記事も多く、WEBに公開されているマネー記事は550本以上。2016年にお金の情報メディア「Mylife Money Online」の運営を開始。主な著書に「いまから始める確定拠出年金投資(自由国民社)」がある。誰もが自分らしい人生を安心して豊かに過ごすため、「お金の当たり前を、当たり前に。」をモットーに活動中。「Mylife Money Online」のURLはコチラ→ http://mylifemoney.jp