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FPを上手に選ぶ3つのポイント

マンション購入時の住宅ローンは誰に相談すればいい? いくら借りて、どう返すか不安な人は必読!

横山晴美横山晴美

2017/10/31

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マンション価格の平均は全国平均で約4266万円!


(c) beeboys – Fotolia

住宅金融支援機構の「2016年フラット35利用者調査」によると、マンション価格の平均は全国平均で約4266万円となっています。建売一戸建てや注文住宅と比較して価格は高めとなっており、その分、頭金も多めに出す人が多いです。

価格帯が高額であることから、「頭金をどこまで拠出するのか」「返済計画に無理はないか」など、購入前に専門家に住宅ローンについて相談したいという人も多いようです。しかし、マンション購入や住宅ローンの専門家とは誰で、そうした専門家に相談ですることで、どんなメリットを得られるのでしょうか?

マンション購入の専門家はどんな人?

「マンション購入」に関するプロは意外と多くいます。まずはマンションを販売する販売会社や販売代理会社があります。不動産会社のなかには直接販売を行なわず、売買の仲介を行なっている会社も多くありますが、そうした仲介会社でも相談を行なっているところがあります。

その他、不動産コンサルタントや独立系ファイナンシャル・プランナー (以下FP)などに相談することも可能です。

相談内容に応じた専門家とそのメリット・デメリットは?

意外と多いマンション購入のプロですが、それぞれの特徴が異なります。

どんなことを相談したいのか、相談内容ごとにどの専門家に相談したらいいのかを考えてみましょう。

<1>ほしい物件について聞くなら? 【不動産会社(販売会社・販売代理会社)】
販売会社に相談するメリットとして、「その物件について詳しい」という点があげられるでしょう。施工時の情報や間取りや設備について知りたいときは、いちばん頼りになるでしょう。

また、営業担当であれば内覧・住宅ローン仮審査・本審査…と、つきあいが深くなるので、色々なことを聞きやすいかもしれません。

ですが、販売(代理)会社は売ることが仕事ですので、物件の良い部分ばかりをアピールする可能性があることも忘れてはいけません。また、同じマンションの販売でも、より高い部屋を売ろうとする可能性もあるかもしれません。この点は十分に留意しておきましょう。

<2>物件探しに最適なのは? 【不動産会社(仲介・紹介会社)】
不動産仲介会社では、住宅購入について無料セミナーや無料相談を行なっていることもあります。また、仲介会社ではありませんが、不動産・住宅情報サイトが運営する「SUUMOカウンター」やHOME‘Sの「住まいの窓口」などでは予算や物件探しを対面で相談することが可能です。

無料で不動産関連の相談ができるのは、仲介手数料や広告費などで利益を得ているからです。物件情報が豊富なので、ニーズに合った部屋を短期間で探せるメリットがあります。

第三者的な立場といえる存在なので、販売会社よりも客観的な評価が手に入るのもいいですね。家探しの際には大きな助けになってくれそうです。

ただし、住宅ローンの借入額や返済計画について、個別具体的な相談ができるのかはやや不透明です。

<3>不動産価値をシビアに判断してくれる 【不動産コンサルタント】
不動産コンサルタントといわれる人たちのなかには、不動産投資や土地活用、相続対策を専門とするコンサルタントが多いですが、個人の不動産購入をサポートしてくれるコンサルタントもいます。

ただし、傾向としていえるのは、不動産の物件・市場価値の調査や分析を得意とする人が多いということです。

そのため、住宅ローンの借入額や返済計画について的確なアドバイスが受けたいという人よりは、不動産価値を重視してマンションを購入したいという人に向いているかもしれません。

<4>家計全体から住宅ローンを相談できる 【FP】


(c) polkadot – Fotolia

家計の専門家がFPです。物件情報は不動産会社にはかなわないでしょうし、FP資格のみでは不動産の仲介もできません。ですが、教育費や保険の見直し、老後資金など総合的な視点で、住宅ローンの借入れ額の算出や、返済計画の立案ができます。

なお、FPのなかにも「保険の専門家」「相続の専門家」など得意分野が異なるFPが混在するため、住宅ローン相談専門のFPを選びましょう。

専門家を上手に活用するコツは?

目的ごとに適した相談先があることがおわかりいただけたでしょうか。相談の目的を明確にして、ニーズに合わせて相談先を選びましょう。

もし、住宅ローンについて相談した場合には、FPが適していそうです。住宅ローンや住宅ローンのセミナーや相談会は無料のものも多いのですが、独立FPに相談する場合は有料相談が基本になります(このあたりの料金のしくみについて、詳細は後述します)。

不動産会社の無料相談やセミナーで、基本的な知識を取り入れたうえで、FPに個別具体的な相談をするなど、相談先を使い分けるという方法もあります。

ただし、複数の相談先を利用するときは、各相談先の内容をきちんと理解して、自分なりに消化しながら行ないましょう。せっかく専門家に相談しても、情報が多すぎるとかえって混乱してしまい、結局どうしたらいいのかわからないということになってしまいかねません。

最終的には相談先をひとつに絞ることをおすすめします。

FPの上手な選び方は?

FPの専門分野は「家計」ではありますが、一口に家計といってもその対象は多岐にわたります。FPに相談できる主なものは下記のような内容です。

・家計の見直し

・老後の生活設計

・教育資金の準備

・住宅購入資金準備や住宅ローンの見直し

・資産運用の方法や金融商品の選択ポイント

・保険の見直し

・税制や相続

FPは、家計について総合的な視野でアドバイスをするために、広い知識を必要としている存在と言えます。ですが単なる「広く浅く」では、一般の人と変わりません。よいFPを選択するポイントは3つあります。

<ポイント1> 上記、すべての知識を一定レベルで有していること

<ポイント2> その上で特に専門とする分野があること

<ポイント3> 専門外の分野については、ほかの専門家との連携・紹介が可能であること

幅広い知識を下敷きにした専門性で対応する。それがよいFPだといえます。

ホームページで調べる、実際に問い合わせをしてみるなどして、そのFPが得意とする業務内容を確認して、自分に適したアドバイスを受けられるFPを探しましょう。

FPの相談料金はどの程度が目安?


(c) Y's harmony – Fotolia

無料相談を行なっているFPもいますが、そういった場合は、保険や金融商品の販売手数料で生計を立てているか、初回相談だけ無料としており、本格的な相談は有料になる、というケースがほとんどです。

もちろん、販売手数料を得ているからといって、有効なアドバイスが受けられないと決まったわけではありません。仮に販売手数料で生計を立てていても、すすめる商品が適したものならば問題はないからです。

ただし、手数料目的になってしまっていて、販売優先になってしまっているケースもあるかもしれません。中立性や独立性を重要視するならば、有料相談のFPを探したほうがいいでしょう。

また、初回のみ無料という場合についてはどうでしょう。初回の無料相談は、どんなFPなのか、自分との相性がどうなのかを知るための時間として利用するならば有効です。ただ、満足度の高い相談を行なうためには、最終的に有料相談に移行する必要があると心得ておきましょう。

有料相談では「1時間当たり5000〜1万円」という料金設定が多いです。ただし、時間制の場合は、相談時間が増えれば料金も上がります。また、ライフプランの提案書や家計収支のシミュレーション表などの作成は別料金であるケースもあります。後から話が違うということにならないよう、具体的な金額や料金体系は個別に確認しておきましょう。

いよいよ住宅ローン相談!事前準備や用意しておくといいものは?

FPに住宅ローン相談をする場合、事前にどんな準備をしておけばいいのでしょうか。

住宅ローン相談は、住宅費だけを見ていても、適正な判断はできません。家計全体を見て、そのなかで住宅費をどのくらいにするのかという視点から返済計画を見る必要があります。

当然、収入・支出・貯蓄額の情報は必須です。支出は家計簿があれば理想ですが、家計簿をつけていない場合などは、だいたいの額を確認しておきましょう。

そして、もうひとつ大切なのが、夫婦間でお金に対する意識を共有しておくことです。

返済中はもちろん、返済が終わる20年、30年先の家計状態も確認したうえで、返済計画が適正かどうかを判断しなければなりません。そのためには、家族のライフイベントにどれくらいお金がかけるのか、また、定年後はどんな生活を送りたいのかといった、夫婦の意向を組み込むことも重要だからです。

具体的には、子どもがいる場合はその教育方針、仕事を何歳くらいまで続けるのか、定年後の住まいへの希望などを夫婦で話し合っておくことが必要です。

相談を成功させるために

相談で成功するコツは、「ニーズに合ったFPを選ぶ」ということがあげられます。同時に、早めに相談することも大切です。

実際には、「住宅購入の少し前」というタイミングで相談に来る人が多いのですが、実は、物件探しの段階で相談するのがおすすめです。

物件探しにしても、気に入った物件を見つけてから、「この物件を買うにはどうしたらいいか」と物件に合わせた予算を組もうとするよりも、先に資金計画を考えておいてその予算内で物件を探したほうが失敗することは少ないはずです。

余裕を持って相談することで、より良質なアドバイスが受けられるだけでなく、マンション購入もよりスムーズに進むことが期待できるはずです。

せっかく専門家に相談するならば、最大限メリットを享受することを考えたいですね。

 

 

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この記事を書いた人

ライフプラン応援事務所代表

ファイナンシャルプランナー(AFP)、住宅ローンアドバイザー。企業に属さない独立系FPとして、2013年ライフプラン応援事務所を立ち上げて以降、住宅相談を専門に扱う。マイホーム相談では保険見直し、教育費、退職後プランなど総合的な視点で資金計画、および返済計画を考案。相談業務のほか、セミナー講師、執筆業など情報発信、啓蒙活動にも力を入れている。 「自分の家計は自分で守る」をモットーに、丁寧でわかりやすい面談が好評。 また、給付金や控除など、消費者のための制度を調べるのが得意で、「ここが使いにくい」「誰のための制度なのか」などとケチをつけるのが好き。

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