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将来のリスクが少ない金利タイプはどれ?

「住宅ローンは変動金利型を選んで繰り上げ返済する」というのは金利が高かった時代の常識です

牧野寿和牧野寿和

2016/09/13

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銀行や不動産会社にすすめられるままではダメ

頭金ゼロで住宅ローンを利用する場合、同じ価格の物件を買ったとしても、当然、借入額が大きくなります。そのため、同じ借入期間であれば、頭金を入れた場合と比べると、毎月の返済額は大きくなります。

ですから、借入金額は慎重に検討する必要がありますし、金利タイプについても、銀行や不動産会社にすすめられるままに選んでしまってはいけません。もちろん、これは頭金を入れる、入れないにかかわらず、同じことがいえるのですが、念のためにここで再確認しておきたいと思います。

おすすめは「全期間固定金利型」

住宅ローンの金利タイプには、「全期間固定金利型」「変動金利型」「固定期間選択型」の3つがあります。 このなかで返済計画の立てやすさから考えると、おすすめは全期間固定金利型です。

全期間固定金利型は、返済途中で金利が変わることがありませんから、融資を受けた時点で住宅ローンを完済するまでの毎月の返済額や総返済額が確定します。そのため、先々の見通しを立てやすく、子どもの教育費や老後の生活資金など、将来に向けた貯蓄も堅実に進めていくことができます。

もちろん、変動金利型や固定期間選択型と比較すると、金利は高くなります。全期間固定金利型は金利を多く払う代わりにリスクを回避し、〝安心〟を買う選択といえるでしょう。

とはいえ、頭金ゼロ、借入期間35年で全期間固定金利型を選択した場合でも、金利も1.46%(平成28年9月時点)と十分に低い水準といえますから、金利が高いことを理由に変動金利を選ぶメリットはほとんどないといえるでしょう。

「変動金利型」はリスクが高い

変動金利型についても、ご説明しておきます。このタイプは半年ごとに金利が変わるため、金利上昇によって、毎月の返済額や総返済額が増えてしまうリスクがあります。しかし、金利は全期間固定金利型より低く設定されており、歴史的な低金利が続く現在では、「初期の返済額」をかなり低く抑えることができます。

将来的に金利が上がっていく可能性は十分に考えられますが、それが5年後なのか10年後なのかは誰にもわかりません。積極的な繰り上げ返済をすすめるFPもなかにはいますが、確かに、十分な資金の余裕があって、早めに繰り上げ返済をしていくことができるなら、リスクを取って変動金利型を選ぶということも考えられなくはありません。

ただし、金利がいつ上昇するのかがわからないのと同様に、たとえば病気で働けなくなる、会社が倒産してしまう、予定外の教育費が必要になるといった計画通りの返済が困難になるような事態がいつ起こるか、誰にもわかりません。

かつてのように金利が高かった時代には、できるだけ繰り上げ返済するというのが常識でした。それがいちばんのリスクヘッジだったからです。しかし、これだけの低金利時代であれば、その常識はもう変わっています。手元資金をできるだけ豊富にもっておいてリスクに備えるというのが、いまの時代における、いちばんのリスクヘッジであるといえるでしょう。

「固定金利選択型」はメリットよりもリスクが大きい

もうひとつの金利タイプである固定期間選択型は、5年や10年など一定期間の金利が変わらず、固定期間終了後は多くの商品で変動金利型、もしくは再度固定期間選択型を選ぶことができるタイプです。変動金利より金利は高くなりますが、固定期間中は金利上昇のリスクがないため、数年先までの安定的な返済計画が立てられます。

全期間固定金利型と変動金利型のどちらにするか迷ったときに、両方の性質を併せ持つことから、このタイプの商品を選ぶ人が多いようです。

しかし、当然のことながら、固定期間中は金利が下がっても変動金利よりも高い金利を払い続けなければならず、一方で固定期間終了後はその時点の金利が適用されるため、たとえ再び固定期間選択型を選んでも、変動金利型と同様に金利上昇のリスクは避けられません。

さらにその際、変動金利型のような5年ルールや125%ルール(関連記事リンク入れます) などの上限が設定されていないため、大幅に金利が上昇した場合は、一気に返済額等が跳ね上がることになります。

このように、現時点ではメリットよりもリスクのほうが大きいといえるタイプですから、このタイプを選択することはおすすめしません。

「それでも変動金利型を選びたい」という人は…

頭金を入れる、入れないにかかわらず、住宅ローンを借り入る場合、総返済額が多くなりがちなので、可能な限りリスクは減らしておくに越したことはありません。その点で、金利変動リスクがなく、安定した返済計画が立てられる全期間固定金利型を選ぶことを、私はおすすめします。

それでも、たとえば年収にゆとりがあって、住宅を購入する段階では頭金を準備できないけれど、毎月の支払いには余裕があるような場合で、変動金利型を選びたいという人は、十分にリスクを理解したうえで選択してください。

たしかに、繰り上げ返済は元金の多い初期段階ほど効果的で、元金を減らすことで利息も減り、金利上昇の影響を受けにくくなるという面はあります。ですが、目先の金利負担に気を取られて、手元資金を減らしてまで繰り上げ返済を行なうことには大きなリスクを伴います。

それでも変動金利型を選ぶならば、金利の上昇や、将来のさまざまなリスクに備えて、一定の貯蓄を保つようにしましょう。何らかの事情で返済がむずかしくなったり、金利上昇というリスクが現実のものとなったりしても、貯蓄で賄っていくことができるようにしておくことが必須といえます。

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この記事を書いた人

CFP、一級ファイナンシャル・プランニング技能士

1958年名古屋生まれ、大学卒業後、約20年間旅行会社に勤務。出張先のロサンゼルスでファイナンシャルプランナー(FP)に出会い、その業務に感銘を受け、自らもFP事務所を開業。 その後12年間。どの組織にも属さない「独立系」FPとして、誰でも必要なお金のことを気軽に考えてもらうため「人生を旅に例え、お金とも気楽に付き合う」を信念に、日本で唯一の「人生の添乗員(R)」と名乗り、個別相談業務を行なうとともにセミナー講師として活動している。 また、賃貸不動産の経営もしており、不動産経営や投資の相談にも数多くのアドバイスやプランニングをしている。

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