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総選挙、コロナ経済対策…岸田新内閣への期待と不安を読み解く

望月 純夫望月 純夫

2021/10/06

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イメージ/©︎blueone・123RF

河野太郎首相期待で急上昇も惨敗で外国人萎縮も、ちょうどいい調整局面に

菅政権が立ち往生するなかで8月20日に日経平均は27000円割れを付けた。相場の底値圏や高値圏を示唆する騰落レシオ(25日)は149.03%、騰落レシオ(10日)は237.33%と高値圏入りとなり、そこをピークとして調整に入った。総裁選の動向やコロナ感染数の減少については、その段階で織り込んだと言っていい。

しかしながら、改革派の河野太郎氏が総裁選の出馬、圧勝と見られていたのが一転。党員投票で河野氏に大きな差をつけられた不人気の岸田文夫氏が議員票で勝利、岸田内閣が確定したことで、外国人投資の買い意欲は萎んでしまった。

とはいえ、ここまでの上昇のスピードが早かったこともあり、ちょうどいい調整局面と言えよう。

というのも、8月20日安値26954円から9月14日高値30795円までの上昇幅3841円の半値押しの28875円、3分の2押しの28235円がサポート(支持線)ラインとなるが、すでにその水準を割り込み、10月6日の終値は27528円となっている。

加えて、10月8日がオプションのSQ日であることを考えると今週中には底の確認はできるかもしれない。

岸田新首相は衆院選の解散後議席数については、控え目に与党勢力で過半数(70人減前提)としており、結果40人減程度で収まれば、勝利宣言をするのが見えているだけに、与党勝利とはいえ寂しい感がする。

衆院選挙の日程は10月14日解散、19日公示、31日投票と決まった。

自民党総裁選を通じて、新自由主義の転換、令和版所得倍増、数十兆規模のコロナ経済対策、経済安保などメニューは並ぶが、新政権で選挙を戦う選挙公約についてはもう少し具体的なものを期待したいところ。新政権発足直後の衆院選挙だけに、勝って当たり前といわれるなかで、その勝ち方がどうなのか――長期政権となれるのかが問われる展開となりそうだ。

岸田新政権の経済政策への期待を先読み推奨5銘柄

「医療難民ゼロ」に対する思惑から、医療機器商社で病院の設備及び医療機器調達が注目されるところ。そこでこれらをワンストップで手掛けるレオクラン(7681・東2)。

「電子的ワクチン接種証明の活用」では「GoToトラベル」の活用が改めて話題になると見られ、JR東日本(9020)、JR西日本(9021)、JR東海(9022)をはじめとする鉄道各社や日本航空(9201)、ANAHD(9202)などの鉄道、航空が有力。


ANAHD

「GoToトラベル」関連としては観光関連も、見逃せない。

藤田観光(9722)などのホテル各社や、エイチ・アイ・エス(9603)、KNT-CT(9726)などの旅行会社、アドベンチャー(6030・東M)、エアトリ(6191)などの旅行サイト、そして京都や鎌倉などで着物レンタルを展開する和心(9721・東M)も観光客増の思惑で急騰した経緯もある。加えて「GoToイート」では、ぐるなび(2440)、カカクコム(2371)、Retty(7356)などのグルメサイトにも注目したい。


エアトリ

国土強靱化ではライト工業(1926)、ショーボンドHD(1414)、日特建設(1929)などの特殊土木も注目される。


ライト工業

牧島かれん氏が新しくデジタル担当相になったことで、注目度が急上昇しているのがデジタル田園都市構想だ。そこで自治体向けデジタルトランスフォーメーション(DX)支援に強みを持つITbookHD(1447)、5Gの一角のアンリツ(6754)、ネットワンシステムズ(7518)、中小企業向け助成金診断システムのライトアップ(6580・東M)。

原子力の再稼働では、東京電力(9501)、中部電力(9502)、関西電力(9503)が既に上昇トレンド入り。


中部電力

菅政権から続く脱炭素の再生エネルギーのイーレックス(9517)や、子供庁の新設に伴い、幼児活動協会(2152)、さくらさくプラス(7097)、カラダノート(4014)、ベネッセ(9783)、ポピンズ(7358)も目が離せない。


ベネッセ

20年目を迎えるJ-REIT、次に向けた期待値

2001年9月10日は、米国での「セプテンバー11」、「世界同時多発テロ」の前日に当たる。J-REIT(日本版不動産投資信託)は、なんとその前日に初登場した。

今年が20周年記念となったが、J-REITは厳しいスタートを切り、これまでいばらの道を歩いてきた。

当時、襲撃された米国ビルもREITに組み込まれていたこともあり、REIT市場は大混乱となり、そのあおりを受け、J-REITも暴落のスタートとなった。その後、にリーマン・ショックで再暴落し、日銀によるサポートや安倍晋三政権のアベノミクスに伴う異次元金融緩和により回復してきた。しかし、20年にはコロナショックで3度目の大きな下落が生じたものの、現在は回復に向かっている。

J-REITの市場規模は大幅に拡大し、時価総額は18兆円に達し、私募REITを含めるとその規模は22兆円となり、社債市場のほぼ半分になる。そして、20年代後半には50兆円規模になると展望され、投資家にとっては不可欠なアセットと言える。

日銀は不動産市場を支援すべくREIT買いを続け、コロナショックから早期に立ち直させている。これこそが市場の信頼である。スタートから20年を経過しているだけに、中身の物件のリニューアルも必要な局面である。同時に、物件の入れ替えの対応も必要である。

また制度的には、「売却時の譲渡益課税繰り延べ制度」の導入も検討課題となる。今やJ-REITは金利が付かない時代における「投資家の救世主」となっている。

※本稿は、投資における情報提供を目的としたものです。株式の売買は自己の責任において、ご自身の判断で行うようお願いします。

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この記事を書いた人

コンサルタント、ラジオパーソナリティ

1971年慶應大学法学部卒、同年山一証券入社。1985年新本証券国際部入社、パリ駐在員事務所長を経て企業部にて新規公開企業の実務に携わる。 1998年退職後、コンサルタントとして独立。著書に『株をやさしく教えてくれる本(あさ出版)などがある。フジサンケイビジネスアイ株式初級講座、ラジオ日経の「株式宅配便」のパーソナリティを務める。

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