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値上げ値上げの中で、2年連続で値下げされた自賠責保険、その中身とは?(1/2ページ)

平野 敦之平野 敦之

2021/02/17

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イメージ/©︎chombosan・123RF

すべての自動車や原付を含む二輪車に加入が義務付けられている自賠責保険(および自賠責共済)が2年連続で平均改定率が引き下げられる見込みとなりました。多くの人は新規登録や車検などの際に自賠責保険料もまとめて支払っているので意識しないかもしれませんが、直近3回の改定では全車種平均の保険料は引き下げられています。

自賠責保険とは?

自賠責保険は「自動車損害賠償責任保険」のことで交通事故による被害者救済を目的に、対人賠償事故のみを補償する保険です。法律(自動車損害賠償保障法)によって運用されており、すべての自動車や二輪車に加入が義務付けられています。なお、共済の場合には自賠責共済と言いますが、言い回しの違いだけで内容は同じです。

そのため自賠責保険に入っていなければ運転することはできず、未加入で自動車などを運転した場合、1年以下の懲役または50万円以下の罰金となります。証明書の所持していなくても30万円以下の罰金が科せられます。さらに無保険での運転は交通違反となるため、違反点数6点で即免許停止です。

自賠責保険は対人賠償事故の補償のみのため対物賠償事故の補償はありません。

補償内容は死亡が最高3,000万円、後遺障害が最高4,000万円、傷害は120万円を限度に補償します。損害賠償額がこれを超えた場合については、民間の損害保険会社で加入する任意の自動車保険の対人賠償責任保険から保険金が支払われます。

なお事故を起こして自賠責保険に未加入だった場合、そこから本来支払われるはずの損害賠償金は自分で賠償しなければなりません。

自賠責保険の改定の背景

2021年に自賠責保険が改定されるのは、先進安全技術の普及促進などによる交通事故の減少を主な背景として、新型コロナによる外出自粛等による滞留資金への影響も踏まえて実施されたものです。

滞留資金というのは過去の自賠責保険契約分の収支の差額累計および利息の蓄積を合計した額をいいます。

自賠責保険の保険料は「ノーロス・ノープロフィット」の原則によって、そこに損失や利潤が生じないよう算出しているため、こうした滞留資金についても保険料に反映される仕組みになっています。余談ながら保険料が近年上昇傾向の地震保険もノーロス・ノープロフィットの原則に従って運用されています。

2021年自賠責保険料率の引下げについては、1年前(2020年4月)の料率改定時の見込みよりも支払保険金が減少して収支が改善して、滞留資金の増加が見込まれることです。先進安全技術の普及促進と書きましたが、自動運転に関連するさまざまな技術の恩恵が自賠責保険の保険料に波及してきたということです。

なお、2021年1月15日付にて金融庁長官へ改定の届出が出ていましたが、2021年1月28日付で適合性審査が終了しています。

次ページ ▶︎ | 自賠責保険の過去の改定の状況と2021年の平均改定率 

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この記事を書いた人

平野FP事務所 代表 CFP ®認定者、1級FP技能士、宅地建物取引士、住宅ローンアドバイザー

東京都出身。証券会社、損害保険会社を経て実務経験を積んだ後に1998年から独立して活動をはじめてFP歴20年以上。また相談業務を受けながら、中小企業の支援にも力を入れている。行政機関や大学での非常勤講師、企業研修などセミナーや講演も多数。メディアでの執筆記事も多く、WEBに公開されているマネー記事は550本以上。2016年にお金の情報メディア「Mylife Money Online」の運営を開始。主な著書に「いまから始める確定拠出年金投資(自由国民社)」がある。誰もが自分らしい人生を安心して豊かに過ごすため、「お金の当たり前を、当たり前に。」をモットーに活動中。「Mylife Money Online」のURLはコチラ→ http://mylifemoney.jp

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