住宅ローンの借り換えに必要な手続きと費用は?
牧野寿和
2016/01/04
借り換えに必要な手続きは?
前の項目では借り換えの概要を説明しました。この項目では、借り換えの実行で発生する手続きと、費用の話をします。
30代のSさんは、以前A銀行で住宅ローンを借り、現在返済中です。ある日、SさんがB銀行へ行ったとき、何気なく手にしたパンフレットで低金利のローン商品を見つけました。「借り換え」については知っていましたが、今まで実行を検討したことはありませんでした。Sさんが借り換えをしようと思ったとき、どんな手続きが必要になるのでしょうか。
まず、パンフレットやインターネットで扱っている住宅ローン商品について調べてみましょう。適用される金利は何パーセントか、金利タイプはどれを選ぶことになるか、最初の住宅ローンを組んだときと同じように考える必要があります。
だいたいの見当がついたら、その住宅ローン商品を提供している金融機関の窓口に行きましょう。担当者と相談して、返済期間や毎月の支払い額の変化、必要な手続きなどを調べます。直接窓口に行かなくても、知識や計算に自信があれば、インターネットを使うのもいいでしょう。ネットバンキングを利用すると、金利の優遇がある場合もあります。
借り換えにかかる費用は?
「よし! B銀行で借り換えをしよう!」と決めたSさん。次は必要な書類を揃えて住宅ローンの審査を受けます。この審査でストップがかかれば借り換えを行うことはできないので、しっかり準備しましょう。
無事に借りられるとわかったら、いよいよ借り換えの実行です。新たな住宅ローンで借りた資金を使い、これまで借りていた住宅ローンの残額を全額返済します。これで借り換えは完了です。元の住宅ローンはなくなり、借り換え先で契約した新しい住宅ローンの返済が始まります。
保証料についても費用を確認しておこう
保証料に関しては、借り換えにおいては、あまり大きな金額になりにくいといえます。とはいうものの借り換えを検討している金融機関で、費用を確認しておく必要があります。
一般的に保証料を分割で支払う場合は、借り換え前と後で金額はそれほど変わりません。一括で支払っていた場合は、経過していない期間の保証料が返還されます。分割と一括、どちらの形式で支払っていたとしても、保証料は保証してもらっていた期間の分だけ負担すればよいのです。
ただ、これも例外があります。「保証料の必要ない住宅ローン」から「保証料が必要な住宅ローン」への借り換えをした場合は、前のローンでは必要とされていなかった保証料を新しいローンで払うことになります。またはその逆パターンで「保証料が必要な住宅ローン」から「保証料の必要ない住宅ローン」への借り換えをした場合は、保証料を支払う必要がなくなります。つまり、一括で支払っていた場合は返還された金額を貯蓄などにまわせるということです。
また、購入時に諸費用の大きな割合を占めていた火災保険については、住宅ローンとセットになっているわけではないので、借り換え前に入っていた保険を継続しても問題はありません。
借り換えは、実行すれば絶対に有利になるというものではないのですが、現在のような超低金利時代になる前にローンを借りた人にとっては、総返済額を大きく減らすチャンスであることも確かです。
実行の際は、十分な情報収集と慎重な判断の下に行ないましょう。
この記事を書いた人
CFP、一級ファイナンシャル・プランニング技能士
1958年名古屋生まれ、大学卒業後、約20年間旅行会社に勤務。出張先のロサンゼルスでファイナンシャルプランナー(FP)に出会い、その業務に感銘を受け、自らもFP事務所を開業。 その後12年間。どの組織にも属さない「独立系」FPとして、誰でも必要なお金のことを気軽に考えてもらうため「人生を旅に例え、お金とも気楽に付き合う」を信念に、日本で唯一の「人生の添乗員(R)」と名乗り、個別相談業務を行なうとともにセミナー講師として活動している。 また、賃貸不動産の経営もしており、不動産経営や投資の相談にも数多くのアドバイスやプランニングをしている。