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住宅ローンの賢い返済方法(2)

住宅ローンはボーナス返済に頼ってはいけない

牧野寿和牧野寿和

2016/01/04

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ボーナス返済の仕組みは?

 毎月の返済を少なくして、ボーナスで余裕のある月には多く返済したい。そんな返済ができるのがボーナス返済です。

 ボーナス返済は、元利均等返済でも元金均等返済でも利用できるのが一般的です。正しくはボーナス時増額返済といって、民間住宅ローンなら借入金のうち半分以下、公的融資やフラット35なら40パーセント以下をボーナス払いにまわすことができます。

 年に2回のボーナス時には、毎月の返済分とボーナス返済分を合計した金額を返済することになるため、普段よりも返済額が増えることになります。しかし、ボーナス返済分を多くすればするほど、毎月の返済額を安くすることができるため、ボーナス月以外の家計には余裕ができます。

 勤務先によってボーナス月は異なるため、それぞれの勤務先に合わせてボーナス返済月を決められるのが一般的です。転職した場合も、それに対応して変更できます。

 月々の返済分は年利を12カ月で割った金額で計算されますが、ボーナス返済分は年利を2で割った金額で計算されます。ということは、ボーナス返済を使った場合は、月々の元金(=借入金残高)が減るペースが遅くなるので、利息が少しだけ多くなります。

ボーナス返済を考えるならここに注意

 とても便利そうに見えるボーナス返済ですが、注意点もあります。

 まず、ボーナス支給額は変わる可能性があります。勤務先の業績悪化やリストラの影響、転職などによって支給額がダウンしてしまうと、家計にも大きく響いてきます。

 そのほか、年俸制など給与体系そのものが変更されてボーナスが無くなるケースも考えられます。返済途中で支払い方法を見直して、ボーナス返済から毎月返済に変更することもできますが、初めに立てた返済計画で無理をしすぎていると、最悪の場合はローン破綻してしまうおそれもあります。あまりボーナス返済に偏りすぎることなく、無理のない返済計画を立てることが重要です。

 また、無理のない返済計画を立てるには、数字だけを考えればいいというわけではありません。

 ボーナスというと多くの人は、家族みんなで旅行に出かけて大切な思い出づくりをするだとか、奮発して大きな買い物をしてみるだとか、楽しいことを思い浮かべるのではないでしょうか。ボーナス返済に頼りすぎてしまって、そうした楽しみを我慢してばかり……なんてことになってしまっては、寂しいですよね。

 それに、「車の修理代が必要になった」、「子どもが海外留学を希望するようになった」、「家族の誰かが長期入院することになってしまった」など、いざという時のために使える、ある程度まとまった金額の貯蓄もしておきたいところです。

ボーナス返済には頼らないのが基本

 実は、ボーナス返済をした場合としなかった場合とでは、年間の合計返済額には大きな差はありません。ですから、ボーナス返済には頼らず、あくまでも住宅ローンは毎月返済するものと考えて、無理のない金額で月々支払っていくことをベースに考えましょう。

 それに加えて、家計に負担がかからないのであれば、少しだけボーナス返済に振り分け、ボーナス時にプラス数万円返済するといった方法を取ればいいのです。それだけでも返済期間を短縮できますし、返済期間が短くなれば、結果として利息の総額も減らすことができます。

 次の項目では、ボーナス返済を選択しても問題ない人はどんな人なのかを、事例をあげて見ていきましょう。

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この記事を書いた人

CFP、一級ファイナンシャル・プランニング技能士

1958年名古屋生まれ、大学卒業後、約20年間旅行会社に勤務。出張先のロサンゼルスでファイナンシャルプランナー(FP)に出会い、その業務に感銘を受け、自らもFP事務所を開業。 その後12年間。どの組織にも属さない「独立系」FPとして、誰でも必要なお金のことを気軽に考えてもらうため「人生を旅に例え、お金とも気楽に付き合う」を信念に、日本で唯一の「人生の添乗員(R)」と名乗り、個別相談業務を行なうとともにセミナー講師として活動している。 また、賃貸不動産の経営もしており、不動産経営や投資の相談にも数多くのアドバイスやプランニングをしている。

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