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賢い借入先の選び方

住宅ローンには、どんな借入先があるのか

小島淳一小島淳一

2016/01/04

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借入先を決めるのは誰?

住宅ローンは、多くの金融機関で取り扱っていますが、それぞれの金融機関によって、金利や借り入れできる額といった融資条件はもちろん、事務手数料などの費用も違います。さらには、同じ金融機関でも金利の違うプランがあったり、銀行ごとに独自のキャンペーン金利を設定したりしてします。また、繰り上げ返済に関するルールも違っています。

住宅ローンの借入金額はとても大きな金額になりますから、「どこで借りるか」「どんな商品を選ぶか」で返済額に大きな差が出てきます。当然、幅広く情報収集して、いちばん有利な商品を選びたいところですが、実際には借りる本人ではなくて不動産会社が借入先を決めてしまっているケースが多いということをご存知でしょうか?

物件購入の意思を伝えると、不動産会社は提携している金融機関に融資の審査を依頼します。そして、一般的には、そのまま不動産会社の提携ローンを借りる人が多いのです。

時間に余裕があればよい条件の借入先を探してみよう

提携ローンについては改めて説明しますが、一般に申し込んだ場合よりも低金利で借りられるなどのメリットがあります。ただし、不動産会社はローンの専門家ではありません。本当に任せっぱなしにしてしまっていいのでしょうか。

家は人生で最大の買い物です。何千万円もの大きなお金を、長期間にわたって借りるのですから、住宅ローンについて最低限のことは学んで、自分がどんな条件でお金を借りるのか、しっかりと理解しておきましょう。そして、時間的な余裕があれば、もっとよい条件で融資してくれる金融機関がないか探してみることをおすすめします。

民間住宅ローンと公的ローン

では、どんな金融機関が、どんな商品を扱っているのでしょうか。住宅ローンには大きく分けて、「民間住宅ローン」と「公的ローン」の2つがあります。

民間住宅ローンは、都市銀行や地方銀行、ネット銀行、信用金庫のほか、生命保険会社やノンバンクといった、民間の金融機関が扱うものです。住宅金融支援機構が取り扱う「フラット35」「フラット35S」も、申し込みや手手続きをするのは民間の提携銀行や信用金庫になります。

一方、公的ローンには、「財形住宅融資」や、自治体による融資があります(詳しくは後で説明しますが、自治体によっては「住宅資金利子補給制度」というものもあります)。

また、住宅ローンは金利タイプや返済方法によっても分けられます。

金利タイプには「変動金利型」「固定期間選択型」「全期間固定金利型」の3つがあり、それぞれにメリット、デメリットがあります。また、返済方法には「元利均等返済」と「元金均等返済」の2つがあります。

それぞれの内容や特徴については、後の項目で改めて説明しますが、ここでは住宅ローンにはいろいろなタイプがあるということを頭に入れておいてください。

まずは公的ローンの利用を検討してみよう

現在、最も利用者が多いのは、取り扱い店舗も多く、さまざまな融資条件の商品を選ぶことができる「民間住宅ローン」です。都市圏に住んでいる人なら、大手銀行や信託銀行は、店舗数や金利面の有利さから考えて、有力候補となります。大手銀行の支店が少ない地方に住んでいるのであれば、地方銀行や労働金庫の金利を確認しましょう。

JAバンクは、会員になれば一般の人も借りることができますし、信金や信組は、よく探せばお得な金利プランが見つかることもあります。

また、ネット銀行はなんといっても全国どこからでも利用できるのが強みですし、金利も他の民間住宅ローンよりも低めの場合があるので、借入先として選択肢のひとつに入れておいてください。

「フラット35」は、最長35年の長期固定金利ローンで、住宅金融支援機構が取り扱っていますが、利用者の窓口は銀行などの民間金融機関となります。国の政策で税金を使った金利割引が行なわれる場合があるので、半分公的なローンといえます。その時の政策によってメリットやデメリットが変わります。

公的ローンである「財形住宅融資」は、勤務先で財形貯蓄を1年以上続けていて、残高50万円以上の人が利用できます。金利タイプは5年に一度金利が変わる「5年固定金利型」ですが、公的ローンなので金利水準は低く抑えられています。融資額は財形貯蓄残高の10倍かつ4000万円以内で、物件価格の8~9割となっています。

また、先に述べたように自治体によっては、その自治体による融資や、「住宅資金利子補給制度」のあるところもあります。これは、ローンの一部を対象に一定の利子補給を受けられる(利子の一部を負担してもらえる)制度で、その自治体に居住する若者を増やすことを目的にしたものです。購入する予定の物件がある自治体には制度があるかどうか、金融機関の指定があるかどうかなども確認しましょう。

「財形住宅融資」や自治体融資が受けられる場合、または自分の職場に社内貸付制度がある場合には、こうした制度は民間住宅ローンよりも金利や審査条件、諸費用などの面で有利なことが多いので、まずは公的ローンの利用を考えるのがおすすめです。

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この記事を書いた人

ファイナンシャルプランナー(日本FP協会認定)、相続診断士

1970年生まれ。神奈川県海老名市出身。 早稲田大学商学部を卒業後、93年、「海賊とよばれた男」の出光興産株式会社に入社。特約店経営改善計画からマーケティング・SS現場の増客増販まで一連のガソリンスタンド事業に携わる。福島県山間部での集客イベントでは3日間でガソリン10万ℓを売上、全国優秀店表彰へ導く。 その後、2000年にヘッドハンティングされソニー生命に入社。社内表彰やMDRTに連続入会、営業職最高位エグゼクティブライフプランナーに認定される。 現在は、金融機関に属さない独立系FP会社:ライフワーク株式会社の代表として、リスクマネジメントコンサルティングを中心に、各種セミナー講師として活躍中。

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