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火災保険の賢い活用法

「破損汚損」で生活のなかで起こる事故をカバーする

平野 敦之平野 敦之

2019/11/28

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火災保険は火災以外にも台風や水災、盗難などさまざまな補償がありますが、その中に破損汚損という補償があります。旧来の各社共通商品である住宅総合保険などにはなかった補償ですが、各社の独自商品の火災保険にはこの補償を選んで付帯できるものが中心です。

最近は自然災害が増えているとはいえ、火災なども含めて自宅に住めなくなるような損害が発生することは頻繁に起きるものではありません。しかし、破損汚損は発生頻度が多いことが特徴です。

火災保険の破損汚損(不測かつ突発的な事故)の補償とは?

火災保険の破損汚損の補償は、不測かつ突発的な事故によって発生した損害をカバーするものです。損害保険会社によって「破損汚損」あるいは「不足かつ突発的な事故」という名称になっています。

例えば、部屋の模様替えをしているときに、誤ってテーブルを壁や窓にぶつけて壊してしまった場合などに対象になります。専用住宅であれば建物か家財などを火災保険の目的とするため、どちらに火災保険をつけているかで補償される対象が異なります。

最近の火災保険は補償を自分で選ぶ、補償内容の異なるプランを自分で選択するものが中心です。破損汚損の補償についてはほとんどのケースで付帯するかどうか自分で決められるものが主流です。具体的には、小な子どもがいて、物を壊す心配などがあるようなら一考の余地のある補償です。

火災保険には他に外部からの飛来・落下・衝突という補償があります。外からいたずらで投石された、車が飛び込んできたような場合の補償です。保険会社によってこの補償を破損汚損の補償に組み入れていることがあります。

不測かつ突発的な事故といっても、例えば火災や台風、漏水、盗難なども不測かつ突発的な事故ですが、火災保険にはこれらをカバーする補償が別にあるので、破損汚損の範囲からは除外されています。一般的には偶然、誤って何かを壊してしまったなどのケースが多いと考えてください。

破損汚損の補償で保険金が支払われる例

破損汚損の補償といってもイメージしにくい面もあるので、いくつか具体例でどのようなケースで補償されるのかをみておきましょう。

<保険金が支払われる主な例>
・子どもがプラズマテレビを倒して壊してしまった。
・外壁にスプレーやペンキでイタズラされた。
・掃除機を階段から落として壊してしまった。
・ペットの猫が高価な花瓶を割ってしまった。 など

破損汚損の保険金の支払い
一般的に物が壊れた場合の保険金の支払いは契約金額を上限に、修理可能なら修理、修理不能なら再購入費用になります。

現在の損害保険金の支払いは破損汚損に限らず一般的に次の式によって計算します。

損害額-免責金額(自己負担額)=損害保険金

いまの火災保険では、損害額は新価(再調達価額)を基準に算出しますが、そこから免責金額(自己負担額)が設定されている場合にはこれを差し引いて損害保険金を計算します。

免責金額の設定は損害保険会社によってパターンは違いますが、設定せずに免責金額をゼロにできることがあります。注意が必要なのは破損汚損の補償では、他の補償が共通して免責金額0円でも、破損汚損だけには多くのケースで免責設定がされている点です。

火災や自然災害なら、被害を受けた後に罹災証明を取ります。盗難であれば被害届です。漏水でも水が漏れて被害がでているのは調べればわかります。しかし、破損という単に物が破損した事故は、証明するものが曖昧です。

破損汚損の免責が1万円ついていて、損害額がこの範囲内であれば損害保険金は支払われません。火災保険にすべての補償に共通した免責金額が設定されている際でも、破損汚損は取扱いが違うことが多いので覚えておきましょう。

破損汚損の補償の注意点とポイント

火災保険の商品も各社同じような補償であるにもかかわらず、細かい規定は必ずしても統一されているわけではありません。

破損汚損の場合でもジュースをこぼしてパソコンを壊したというのが支払い事例に載っているものがある一方、ノートパソコンや携帯式通信機器(スマホやタブレットなど)やその付属品を対象外としているケースもあります。

壊れたら何でも補償されると思っていると当てが外れることがあります。
住宅の場合には保険の目的として主に建物や家財といいましたが、家財には一部例外があります。それが明記物件と呼ばれるものです。

明記物件とは、1個または1組の価額が30万円を超える貴金属、宝石、書画、骨董、彫刻物、その他の美術品などといいます。広義の意味ではこれらも家財ですが、いずれも金額の評価が難しいものです。保険会社によっては30万円超の金額を広げている場合もあります。

高額なプラズマテレビなどは家電製品なのでこの中には入りませんが、明記物件に該当するものがあるようならどこまで補償するのかよく検討するようにしてください。

破損汚損のリスクで、住まいが全壊になることは少ないかもしれません。代わりに物の破損や汚損が対象なので、発生頻度が多いのも特徴です。家族や住まいの周囲の状況なども考慮して設定を検討するといいでしょう。

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この記事を書いた人

平野FP事務所 代表 CFP ®認定者、1級FP技能士、宅地建物取引士、住宅ローンアドバイザー

東京都出身。証券会社、損害保険会社を経て実務経験を積んだ後に1998年から独立して活動をはじめてFP歴20年以上。また相談業務を受けながら、中小企業の支援にも力を入れている。行政機関や大学での非常勤講師、企業研修などセミナーや講演も多数。メディアでの執筆記事も多く、WEBに公開されているマネー記事は550本以上。2016年にお金の情報メディア「Mylife Money Online」の運営を開始。主な著書に「いまから始める確定拠出年金投資(自由国民社)」がある。誰もが自分らしい人生を安心して豊かに過ごすため、「お金の当たり前を、当たり前に。」をモットーに活動中。「Mylife Money Online」のURLはコチラ→ http://mylifemoney.jp

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