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今さら聞けない自動車保険の基礎知識――補償の仕組みと見直しのポイント

平野 敦之平野 敦之

2020/10/02

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©︎miya227・123RF

自動車保険は多くの人が加入する保険ですが、意外と補償内容やその仕組みについて理解していない人も珍しくありません。万が一事故があったときに困らないように、その制度について知っておきましょう。

自動車保険は強制保険と任意保険の2種類

自動車保険は、法律で加入が強制されている強制保険(自賠責保険)と任意加入の任意の自動車保険に分かれます。自賠責保険は未加入だと罰則があります。1年以下の懲役または50万円以下の罰金、さらに自賠責保険の証明書を所持していないだけでも30万円以下の罰金が科せられます。無保険で運転すると違反点数6点で即免許停止です。

自賠責保険の補償は対人賠償責任保険のみで、各社一律の補償内容・保険料です。相手に対する対物賠償事故や搭乗者の怪我、契約車両の損害は補償されません。

これに対して任意の自動車保険は、各損保とも大まかな補償は似ていますが、細かい補償内容や保険料は異なります。一般的にテレビCMや自動車保険の比較やランキングなどで言っているのは、任意の自動車保険のことと考えてください。

なお、自動車の補償は保険だけでなく共済もあります。自賠責共済、自動車共済などと言いますが、自賠責については保険も共済も同じです。自動車共済については損保とは少し内容などが異なることがあります。

自動車保険の補償

自動車保険の補償は主に次の4つの補償で構成されています。

・第三者に対する損害賠償(対人賠償責任保険、対物賠償責任保険)
・傷害(人身傷害保険、搭乗者傷害保険など)
・車両(車両保険)
・その他特約(弁護士費用特約、代車費用特約など)

対人賠償事故が起きると、先に強制保険である自賠責保険から保険金の支払いをして、これを超えるところから(死亡3,000万円、後遺障害最高4,000万円、傷害120万円)、任意の自動車保険の対人賠償責任保険で支払います。

それ以外の補償は自賠責保険では補償されませんので、はじめから任意の自動車保険で支払われます。

次ページ ▶︎ | 自動車保険の保険料の仕組み

自動車保険の保険料の仕組み

個人分野の自動車保険は、リスク細分型と言われる商品が主流です。また所有している車の種類や契約車両を主に運転する人の属性なども自動車保険料に大きな影響を与えます。

<保険料の影響を与える主な項目>
運転する人の属性 運転者の年齢、記名被保険者の年齢
運転する人の範囲(本人だけ、夫婦だけ、限定なし)
免許証の色
契約車両の属性 車種、年式、グレード
その他 使用目的(日常・レジャー、通勤・通学、業務)
走行距離
地域
※記名被保険者:主に契約車両を運転して、補償の中心になる人

一般的に年齢が若い人(10~20代半ばくらいまで)は、自動車保険料は高くなりがちです。その後保険料は年齢とともに下がっていきますが、高齢になると再び上昇していきます。

任意の自動車保険では、運転する人の年齢を設定することができます。保険会社によって多少違いはありますが、例えば以下のように3~4くらいの区分に分かれています。

・全年齢補償
・21歳以上補償
・26歳以上補償
・35(または30歳)以上補償

車種は年式、グレードによって保険料が異なり、事故率の高い車は保険料が高くなります。同じメーカーの車種でもグレードによって異なる保険料が設定されていることもあります。地域や走行距離などは保険料に反映する会社とそうでない会社があります。また自動車保険には独自の割引割増の制度があり、無事故であるほど割引が進む仕組みになっています。

自動車保険の割引制度の仕組み

個人が加入する自動車保険は、ノンフリート等級という割引(割増)の制度が使われています。この割引や割増のランクのことを等級といい、一般的に1等級(最も割増)から20等級(最も割引)まであります。

通常はじめて自動車保険に加入する場合は6等級からはじまり、1年間無事故だと1つ割引が進んで翌年は7等級になり、20等級まで進みます。事故があった場合は原則3等級ダウンしますが(3等級ダウン事故)、事故内容によって1等級ダウン事故やノーカウント扱いの事故もあります。

このノンフリート等級制度は、損保各社は仕組みがデータでリンクしています。そのため契約を他社に切り替えるときは、無事故で進めた割引(割増)は他社に引き継ぐことになります。なお、共済については引き継ぐことができる共済とそうでない共済があります。

次ページ ▶︎ | 自動車保険の主な加入先 

自動車保険の主な加入先

自動車保険の主な加入先は、保険の専業代理店や自動車ディーラー、ネット通販、勤務先の団体扱いなどです。保険料の違いはもちろんですが、補償内容も細かいところで色々違いがあります。ダイレクト系のネット割引なども損保によって割引条件などが異なります。ネットも意外と契約の引き受けには様々な要件があり、誰でもいつでも加入できるわけではないことも覚えておいてください。

自動車保険は毎年契約をしていくケースが大半ですが、それ故に前年と同じ内容で何となく継続していくことも珍しくありません。主に運転する人が変わった、子どもが結婚などで家を出る(あるいは戻る)際などは注意が必要です。実態に合わない内容になっていないかしっかり確認するようにしましょう。

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この記事を書いた人

平野FP事務所 代表 CFP ®認定者、1級FP技能士、宅地建物取引士、住宅ローンアドバイザー

東京都出身。証券会社、損害保険会社を経て実務経験を積んだ後に1998年から独立して活動をはじめてFP歴20年以上。また相談業務を受けながら、中小企業の支援にも力を入れている。行政機関や大学での非常勤講師、企業研修などセミナーや講演も多数。メディアでの執筆記事も多く、WEBに公開されているマネー記事は550本以上。2016年にお金の情報メディア「Mylife Money Online」の運営を開始。主な著書に「いまから始める確定拠出年金投資(自由国民社)」がある。誰もが自分らしい人生を安心して豊かに過ごすため、「お金の当たり前を、当たり前に。」をモットーに活動中。「Mylife Money Online」のURLはコチラ→ http://mylifemoney.jp

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