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元夫と関わりたくないあなたへ! 自分のためにもなる面会交流のコツ 〜共同養育コンサルタントしばはし 聡子コラム〜

しばはし聡子しばはし聡子

2018/08/28

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イメージ/123RF

離婚してやっと相手と関わらなくてよくなった!と開放感にひたるのも束の間。みなさん、面会交流ってどうされていますか。公正証書で回数や時間などをきちんと決めたものの、いざ始めるとなると、元夫と連絡をとることにストレスを感じついつい後回しに…、なんてこともあるのではないでしょうか。

面会交流に前向きになれない場合、どのような心得でのぞむとよいのか、ひとつの考え方としてみていきましょう。

◼️「面会交流」は子どもの権利

民法第766条第1項に、「父母が協議上の離婚をするときは、子の監護をすべき者、父又は母と子との面会及びその他の交流、子の監護に要する費用の分担その他の子の監護について必要な事項は、その協議で定める。この場合においては、子の利益を最も優先して考慮しなければならない」と書かれています。

この「「父又は母と子との面会及びその他の交流」というのが「面会交流」のことで、離れて暮らす親と会うための「子どものための権利」なのです。

親の感情で左右してしまいがちですが、子どもにとっては離婚しても両親であることは変わりませんから、あくまで子どもの視点に立って取り組まないといけないことなのですね。

◼️別居・離婚後の子どもの気持ち

突然の別居や離婚で、子どもたちはどんな気持ちでいるのでしょうか。引越しや転校などで環境が一変し、ただでさえ不安定な気持ちになっていることでしょう。

それに加え、一番甘えたい母親もピリピリしていて頼ることもできず、母親の機嫌を伺いながら過ごしている子どもも少なくありません。

この先どうなるのか、父親とはいつ会えるのか、父親に会いたいと思っても会いたいって言ったらお母さんがかわいそうだから言えない…、そんな思いを抱きながらも誰にも相談できずにひとりで悩み苦しんでいる子どもたち。もし自分が子どもの立場だったらどんな気持ちになるかと考えてみれば容易に想像ができますね。

◆「子どものため」はわかっているけど…

「親の都合で別居や離婚をしたのだから、子どもには迷惑かけてはいけない」。愛するわが子を苦しめたい母親などいませんから、誰しも頭では理解できること。にもかかわらず、父親を会わせることに後ろ向きになってしまうのは、元夫との関係がこじれ関わることが困難だからだという人も多いでしょう。

または元夫へ信頼がないので子どもを会わせるのが心配と思う方もいるでしょう。もちろん、子どの心身に危害を加える父親であれば適切な対応が必要ですし、父親側の更生も必須です。

「子どものために面会交流をさせるべき」ということは、頭の片隅ではわかっていても、それができないから苦しんでいて、「子どものため」と頭ごなしに正論を言われることで、その言葉に潰されていってしまうこともあるかもしれません。

◼️面会交流に前向きになれるコツ

「子どものため」に苦しくなってしまう場合は、「自分のため」と発想を変えてみてはいかがでしょうか。自分にとってメリットがあると思えることであれば、一歩踏み出しせることもあるかもしれません。この「自分のため」とは、どのようなことなのか挙げていってみましょう。

◆乗り越え感

そもそも元夫という存在と関わることがストレスな人も多いはず。離婚後、関わりたくないがあまりに面会交流を行わずに逃げ続けてしまいがち。ところが、逃げ続けてもストレスがなくなるわけではなく、常に怯えていないといけない状況になってしまいます。

その状況を打破するには、そのストレスの根源である元夫と向き合って乗り越えてしまうこと。そうすることによって、面会交流や元夫へのストレスが軽減され自分自身が楽になれることもあるかもしれません。

もちろん、元夫側も穏やかに接することなど努力は必須ですが、この先ずっと逃げ続けるよりも、一度勇気を出して向き合った方がご自身の気持ちの負担が減るのではないでしょうか。

◆お得感

ベビーシッターに預けると費用がかかりますが、面会交流で元夫に預けるのであればいつでも無料です。しかも、延長しても延長料はなし。さらには、面会交流中に子どもがほしいものを買ってもらったり、美味しいものを食べさせてもらったりすれば、一石三鳥です。

預けている間は、ひとりの時間を過ごすことができますから、ゆっくり休むもよし、美容院に行ったり友人と食事に行ったり、自己実現に時間を使ったり有効に時間を活用できますね。

元夫を「頼る」と思うとなかなか踏み出せませんが、早い段階で、心の中で「活用する」と割り切ることもコツといえます。

◼️結果して子どものためになる

頭の中では「自分のため」と思いながら面会交流を進めていくことでも、子どもは父親と会える機会が増え、元夫も子育てをもっとサポートしたいという気持ちが強くなり、結果して「子どものため」になるのです。

最初から無理して、「子どものために面会交流を頑張らなくてはいけない」と優等生ママになることを意気込んだり、逆に「会わせたくないから会わせない」と頑なに拒絶したりするよりは、まずは自分にメリットを感じながら進めていくことで徐々に子どものためにと思えるようになればよいのではないでしょうか。

◼️さいごに

離婚して夫婦は破綻しても親子関係は続きますし親同士として元夫との関係も続きます。元夫も努力や改善が必須ですが、ご自身もまずは自分へのメリットを感じながら面会交流を進めていけるよう、一歩踏み出してみてはいかがでしょうか。

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この記事を書いた人

一般社団法人りむすび 共同養育コンサルタント

1974年生まれ。慶應義塾大学法学部卒。自身の子連れ離婚経験を生かし当事者支援として「一般社団法人りむすび」を設立。「離婚しても親はふたり」共同養育普及に向けて離婚相談・面会交流支援やコミュニティ運営および講演・執筆活動中。 *りむすび公式サイト:http://www.rimusubi.com/ *別居パパママ相互理解のオンラインサロン「りむすびコミュニティ」 http://www.rimusubi.com/community *著書「離婚の新常識! 別れてもふたりで子育て 知っておきたい共同養育のコツ」️

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