素朴な美しさが魅力の街、デブレツェンを歩く
パップ英子
2016/04/17
筆者の暮らすハンガリーですが、世界遺産都市として有名な首都、ブダペストをご存知の方は多いと思います。ですが、ハンガリーにあるほかの都市についてはあまりご存知ない方がほとんどではないでしょうか? そこで今回から数回にわたり、ハンガリー第二の都市と呼ばれる“デブレツェン”の街並を写真とともにお伝えしたいと思います。
最近、日本ではフィギュアスケートの本田真凜選手が世界ジュニア選手権で優勝したという嬉しいニュースがありましたが、その舞台となったのがこのデブレツェンという街です。
写真に映るクリーム色の建物は、この都市の中心地にある改革派(カルヴァン派)の大教会です。マイケル・オーブンという建築家によって設計され、1805年〜1822年にかけて建設された同教会は、デブレツェンのシンボルといわれるほど、この街で一番の観光名所として知られています。
教会一階の受付で入館料を払うと、その内部に入って礼拝堂の中や、さまざまな展示品の見学が可能で、さらに建物の一番上の場所まで足を運ぶことができるのです。筆者も先月、カルヴァン派大教会の一番頂上まで上ってみたので、その様子については次回のコラムで詳しくご紹介したいと思います。
ハンガリー最大のプロテスタント教会は元々、ゴシック様式で建設されましたが、1821年に建てられた現在の教会はネオクラシック様式(*)となっています。
(*)ネオクラシック様式とは、8~19世紀にフランスを中心に流行した建築様式のこと。それ以前のバロック様式、ロココ様式傾倒への反動もあり、古典的な建築様式への再評価を図ったのがネオクラシック様式。特徴として優美なデザインが多く、別名は“新古典主義”。
街の中心エリアでは、壁色がピンクの建物が多い!?
(c)FinoMagazin ( http://www.finomagazin.com/ )
この大通りは、カルヴァン派大教会の写真手前(中央右)に写っていたストリート。先の写真で線路が見えていましたが、この車道にはトラムも走っています。
大通りを散策していると、ピンク色と屋根のレンガの色がとてもマッチした大きなアパートが視界に飛び込んできて、とても綺麗だったので、思わずシャッターを切っていました。日本国内で見かけるマンションと同じように、ハンガリーでも通りに面したアパートはその一階に店舗(テナント)が入っているケースが多いですね。
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同じ大通りの反対側にあったバーも、壁色がピンク系で統一され、女性が好みそうなキュートな外観♪
この日の夕方、そのバーに入ってみると、クラシックかつレトロな雰囲気の店内で、可愛らしくフェミニンな外観とのギャップを感じて、とても興味深かったです。
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裏路地に何気なく置かれたベンチも、おめかし上手
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大通りから少し裏路地に入った際に、道路の端にいくつもベンチが置かれていましたが、いずれも座面や背面の部分にそれぞれ、素敵な絵柄が施されていたのがとっても印象的でした。花柄のベンチ、とっても可愛らしかったです。
同じく、こちらも通りに面したアパートですが、ブダペストの街並を散策していて、気がついたのは、それぞれのアパートの壁色の特徴です。先ほどのバーの外観写真を見ても、こちらの建物を見ても、一階二階とでそれぞれ同系色ではあるものの色を変えています。
上の写真のアパートは一階の淡いペパーミントグリーンと、二階の淡いモスグリーンの壁色が絶妙にマッチしていて、グラデーションがとても美しいです。
デブレツェンの街並が美しく感じるのは、パステル系カラーの外観をした建物が多く、自分の視界に入ってきても、それらの色合いに心地よさを覚えるためだと感じました。
先ほどの大通りから徒歩で15分ほど先の場所には、とてもこじんまりとしたショッピングモールがありました。外からの風景は、日本国内にあるアウトレットモールと似ているように感じます。
ショッピングモールに入って最初に見える建物に入っていた雑貨屋さん。そちらの店内には、花柄の素敵な雑貨がたくさんディスプレイされていましたが、筆者が気になったのは、写真中央に見える陶磁器製のエッグスタンド。
陶磁器ブランドではヘレンドが有名なハンガリーですが、デブレツェンの街中で見つけた無印の陶磁器たちも、ブランド品に負けないほどの魅力を放っていたのです。あまりの可愛さに、エッグスタンドをはじめ、小さな手鏡、小さなプレートなど、こまごまとした雑貨を色々と購入してしまいました。
ハンガリーといえばブダペストの観光名所はたくさん、ガイド本、雑誌、ネットでも紹介されていますが、その他の都市についてはあまり詳しくは載っていないことが多いと思います。
こちらのコラムをご覧いただいている皆様にも、デブレツェンの街を実際にお散歩している気分となっていただきたいので、次回もまたハンガリー第二の都市の風景を、インテリアの視点を交えながらレポートしたいと思います。
次回は、カルヴァン派大教会の頂上からの美しい眺めもご覧いただけますよ。
ぜひ、お楽しみに。
この記事を書いた人
“FinoMagazin”(フィノマガジン)主宰(編集長)
ハンガリー在住コラムニスト。 食品会社でワインインポーター業務に従事した後、都内の広告代理店に転職。コピーライター、ディレクターとして勤務。百貨店やデパート、航空会社、ベビー・ブランド等のクリエイティブ広告で、インテリア製品のコピーライティング、ディレクション等を数多く手がける。 2013年、夫の国ハンガリーに移住後も育児に奮闘しながら執筆業に邁進。日本の雑誌(出版社)でハンガリー紹介記事(取材・撮影・文)を担当。また、自身とハンガリー人クリエイターとで運営するブダペスト発ウェブメディア“FinoMagazin”でもインテリアを含めたライフスタイル全般コラムを連載。美容メディアにてビューティ・コラム連載、その他、企業のWEBサイトや企画書制作、日本のTV局、広告代理店、メーカーからの依頼でハンガリー現地ロケ・コーディネート等、多岐に渡る業務をこなしている。 自身主宰のハンガリー情報WEBメディア “フィノマガジン” http://www.finomagazin.com/