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〜この国の明日に想いを馳せる不動産屋のエセー〜

『無題』——日常のモヤモヤに梅雨の晴れ間の太陽光線(2/3ページ)

南村 忠敬南村 忠敬

2022/06/16

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【常時ハイビームは違法です】

最近ずっと気になっていることがある。それは、街中や対向車の有無に関係なく、ハイビーム(上向き前照灯)の車がとても多いことだ。自分の車の存在を周囲に知らせることを目的に、警察庁はハイビームを奨励しているが、その中身を正しく理解しているのかと疑いたくなるほど、迷惑ハイビーム車が横行していると感じているのは拙者だけだろうか。

もし、「法律が改正されて、ハイビームを使用することが義務化された」と仰る方がおられるなら、それは、「高齢者ドライバー用ステッカーの掲示は義務ではない!」という認識と同じ間違いだ。

道路交通法第71条の5第3項は、「前略、普通自動車を運転することができる免許…を受けた者で75歳以上のものは…普通自動車の前面及び後面に内閣府令で定める様式の標識を付けないで普通自動車を運転してはならない。」と規定されており、75歳以上の高齢ドライバーにおいては所謂『高齢者マーク』の表示は必須なのである。因みに、同条第4項に70歳以上75歳未満の高齢ドライバーについての同表示の努力義務が定められているが、それと混同してはいないか?

ハイビームの法規制についても、交通の方法に関する教則の一部改正(※)で、夜間の灯火の方法(平成28年10月28日告示、平成29年3月12日施行)が明文化されたが、これは法律ではないし、これをもってハイビーム走行が義務化された、なんてことはない。

※交通の方法に関する教則 (一部抜粋)

第6章 危険な場所などでの運転

前照灯は、交通量の多い市街地などを通行しているときを除き、上向きにして、歩行者などを少しでも早く発見するようにしましょう。ただし、対向車と行き違うときや、ほかの車の直後を通行しているときは、前照灯を減光するか、下向きに切り替えなければなりません

交通量の多い市街地などでは、前照灯を下向きに切り替えて運転しましょう。また、対向車のライトがまぶしいときは、視点をやや左前方に移して、目がくらまないようにしましょう。

第7章 高速道路での走行 

夜間は、対向車と行き違うときやほかの車の直後を通行しているときを除き、前照灯を上向きにして、落下物や交通事故などにより停止した車を少しでも早く発見するようにしましょう。

それどころか、道路交通法第52条第2項は、「車両等が、夜間(前項後段の場合を含む。)、他の車両等と行き違う場合又は他の車両等の直後を進行する場合において、他の車両等の交通を妨げるおそれがあるときは、車両等の運転者は、政令で定めるところにより、灯火を消し、灯火の光度を減ずる等灯火を操作しなければならない。」と規定されている。こちらは列記とした法律で、違反者には罰則が適用される。

こういう個々の思い込みや早合点によって、周囲に及ぼす影響がトラブルを引き起こす元となることも少なくなく、「眩しいやろ!!」と激怒した運転者の“あおり運転”につながる恐れだって否めない。拙者が免許を取った頃の時代は、教習所に通うよりも運転免許試験場での“飛び込み”受験がステータスという気運があって、自身も教習所には行かなかった口だ。だから、試験に受かるためだけの勉強と、運転技術を上げることに専念し、仮免突破の平均受験回数11回のところ、7回目で合格!なんて自慢したものだった。だから、試験が教習みたいなもので、まともに交通法規を教わることもなかったがため、免許を取ってから知る交通ルールは、反則金と切符の枚数分で身に付いていったように思う。

他方、教習所で学科をクリアして免許を取られたにも係わらず、法規とルールが身に付いていないドライバーの多いことは、日本の教育実態に通ずるところがあるのだろうか(何年英語を習っても実践力はゼロというように)。


イメージ/©︎osazecuomo・123RF

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この記事を書いた人

第一住建株式会社 代表取締役社長/宅地建物取引士(公益財団法人不動産流通推進センター認定宅建マイスター)/公益社団法人不動産保証協会理事

大学卒業後、大手不動産会社勤務。営業として年間売上高230億円のトップセールスを記録。1991年第一住建株式会社を設立し代表取締役に就任。1997年から我が国不動産流通システムの根幹を成す指定流通機構(レインズ)のシステム構築や不動産業の高度情報化に関する事業を担当。また、所属協会の国際交流部門の担当として、全米リアルター協会(NAR)や中華民国不動産商業同業公会全国聯合会をはじめ、各国の不動産関連団体との渉外責任者を歴任。国土交通省不動産総合データベース構築検討委員会委員、神戸市空家等対策計画作成協議会委員、神戸市空家活用中古住宅市場活性化プロジェクトメンバー、神戸市すまいまちづくり公社空家空地専門相談員、宅地建物取引士法定講習認定講師、不動産保証協会法定研修会講師の他、民間企業からの不動産情報関連における講演依頼も多数手がけている。2017年兵庫県知事まちづくり功労表彰、2018年国土交通大臣表彰受賞・2020年秋の黄綬褒章受章。

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