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いまや日本の生活ノルマ? 猛暑の前に「エアコンの試運転」を! エアコンが火災を起こすことも(2/2ページ)

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エアコンが火事を起こすこともある

もうひとつ、エアコンに関する注意を呼びかけておこう。あまりイメージが湧かないが、実は、エアコンは火災原因となることがある。

NITE(ナイト)・独立行政法人 製品評価技術基盤機構によると、「2016年度から2020年度の5年間にNITEに通知された製品事故情報において、エアコンの事故は268件(内火災事故247件)。そのうち5件が死亡事故」となっている。(NITE 2021年6月24日付ニュースリリース

すると、どんなケースでエアコンによる火災事故は発生するのだろう。もともと製品に不具合等があった場合を除いた、使用する人がぜひ知っておくべき例をいくつか挙げていこう。

1.内部洗浄

エアコンが火災を起こす原因のひとつとなるのが「内部洗浄」だ。十分な知識を持たない素人などがこれを行うことで、かかってはいけない部分に洗浄液がかかってしまい、それがトラッキング現象を引き起こすことで火災につながることがある。

同様に、薬剤による配線や金属部品の腐食、劣化も起こりうる。つまり、エアコンの洗浄というのはプロの仕事なのだ。一般の人は手を出すべきではない旨、しっかりと心得ておこう。 

なおトラッキング現象とは、液体やホコリの付着により、電気を使う機器の内部や配線等に余計な電気の通り道が形成され、そこで異常な発熱や発火が起こる現象のことをいう。

2.素人の配線修理、専用コンセントに関する無知など

エアコンに限らないが、知識のない一般人が電源コードの破損を修理したり、別々のコードを継ぎ足そうと銅線を一旦剥き出しにし、「ねじり接続」を行ったりするのは大変危険な行為だ。発火事故の原因となりかねない。

ましてやエアコンは始動時、一時的に大電流が生じるなど配線等の負担がとても大きい。そのためエアコンの設置場所には必ず専用コンセントが設けられている。室内の他のコンセントとは、位置も内部の回路も明確に別けることで安全が保たれているかたちだ。 

なので室内機周りにしても、室外機周りにしても、素人によるコード・配線の補修や延長は絶対にご法度だ。コネクターや延長コード、テーブルタップの使用も同様。いずれも発火の恐れがあるためだ。

知識がないと、エアコン専用のコンセントを何らかの理由で別の機器に使用、エアコンの電源の方は延長コードにつなげてそのまま一般のコンセントに接続……などといった危険なことをしてしまいやすいので、ぜひ気を付けたい。

3.虫の侵入

完全防御は難しいが、エアコン内部に虫が侵入しての「回路がショート~発火」といった事故も実際に起きているので注意したい。つまり、虫がさきほどのトラッキング現象を引き起こすかたちだ。

そのうえでエアコンの場合、ほかの家電と違って室外機と室内機に構造が分かれている。なおかつ、両者はパイプでつながれているため、外部からの虫の侵入が起きやすい。なので、できる限りの予防策としては、室外機の周りに虫が集まらない手当てが肝心だ。

室外機が置かれたベランダでのゴミの放置や、室外機に近い場所に植木やダンボールを置くといった行為を避けることで、少しでも事故を予防したい。

今後ますますエアコン頼みとなりそうな日本の夏

以上、「猛暑の季節が来る前にエアコンの試運転を行うことのススメ」、「エアコンが火災原因となることがある事実」――、エアコンに関する2つの注意を採り上げてみた。エアコンが大活躍する夏の快適と安全のため、ぜひ参考にしてほしい。

ある資料を紹介しよう。気象庁が公表しているひとつに、「日最高気温35℃以上の年間日数における観測史上の1~10位」というランキングデータがある。最高気温が35℃以上に上がった日の数を年ごとに数え、比べたもので、対象期間は1875年から現在までと大変長くなっている。

しかしながら、そんな前提でありつつも、例えば観測地点を東京に置くと、なんとTOP10のうちの6つを2010年代以降が占めてしまう(1位2010年のほか3~7位)。過去に比べて猛暑が激しくなったといわれる近年の夏を如実に示す結果といっていいだろう。

われわれの夏の生活は、今後もますますエアコン頼みとなる予感が濃くなっている。

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この記事を書いた人

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賃貸住宅に住む人、賃貸住宅を経営するオーナー、どちらの視点にも立ちながら、それぞれの幸せを考える研究室

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