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知っておきたい 賃貸マンションやアパートで「大騒ぎ・周りに迷惑」 実は法律違反(1/2ページ)

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イメージ/©︎dolgachov・123RF

管理会社やオーナーに叱られた

ある会社員の思い出話だ。

「若気の至り。学生時代に住んでいたアパートで、夜中に友達を集めて酒を飲んで大騒ぎ。周りの部屋やご近所の方が怒って、警察まで呼ばれたばかりか、そのあと管理会社の人にしこたま叱られたよ」

これを聞いて、後輩社員が……

「先輩、それ、先週のオレです。以前も注意されたことがあったんで、次に騒いだら退去を考えてもらうって、大家さんからクギ刺されちゃいました」

後輩社員は、今後は2度と同じことをしないよう、ぜひとも注意しておきたいところだ。

ところで、基本的には生活マナーの問題、あるいは個人の常識・意識の問題だと思われがちな、こうした賃貸住宅での騒音などの迷惑行為。実は、「やってはダメ」とちゃんと法律に書かれていることはご存じだろうか。

もしも知らないのであれば、この機会に覚えておこう。そのことは、日本国民の生活を支える基本的な法律である「民法」に書かれてある。

民法594条1項とそれを補完する616条

賃貸住宅での、騒音など周りを困らせる迷惑行為……「やってはダメ!」の法律的根拠、それはこれだ。

(民法第594条第1項)
「借主は、契約又はその目的物の性質によって定まった用法に従い、その物の使用及び収益をしなければならない。」

(同 第616条)
「第594条第1項の規定は、賃貸借について準用する。」

なお、上段の594条1項と、あとの616条は、この場合ワンセットで運用されることになる。なぜなら、前者は実は使用貸借についての規定なのだ。使用貸借とは、無償の貸し借りのことをいう。そのため616条がそれを補完するかたちで、この規定は、有償での契約にもとづく賃貸住宅にも適用されることになっている。

そこで、注目してほしいのは、594条1項に記された「契約又はその目的物の性質によって定まった用法」の部分だ。借主は、これに従って「その物の使用及び収益をしなければならない」とある。

このうち、まずは契約によって定まった用法についてだ。通常、住宅における賃貸借契約では、「用法」が数カ条にわたって定められている。

例えば、基本となる「居住のみを目的として本物件を使用しなければならない」旨の条文をはじめとして、「貸主の承諾を得ることなく物件の増築、改築等を行ってはならない」、同じく「承諾なく共用部分に物品を置いてはならない」、同じく「承諾なく動物を飼ってはならない」等、こうした約束ごとが、通常はいくつも契約書の中に並べられているはずだ。

つまり、民法は「こうした契約上の約束ごとを守ってその物件に住みなさい」と、まずは示していることになる。

よって、これら用法の中に、「物件内に人を呼び、騒音を立て、近隣に迷惑をかけてはならない」といった内容の定めがあれば、当然のこと、入居者はそれに従って暮らさなければならないことになるわけだ。

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この記事を書いた人

編集者・ライター

賃貸住宅に住む人、賃貸住宅を経営するオーナー、どちらの視点にも立ちながら、それぞれの幸せを考える研究室

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