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あの家は私の学費の20倍はする――プライベートカウンセリングで相続トラブルをうやむやに(1/4ページ)

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イメージ/©︎dmitryag・123RF

一般の心療内科などでは、診察に訪れるのは、ご本人ということがほとんどです。しかし、プライベートカウンセリングでは、本人ではなく家族が先に相談にいらっしゃることは珍しくありません。

コロナ禍のなかで、上京して東京の大学に通うあるいは卒業して社会人になったばかりで、地元を離れたという若い方は、友人や同僚とも会えず、実家に帰ることができず、ひとりで過ごす不安から、真夜中に突然、息が止まりそうなほど動悸がしたり、誰かと話したい衝動に襲われ、手当たり次第にLINEを送信するといったことは、誰の身にも起こりうることなのです。実際、そんな相談が増えています。

ご家族からご連絡をいただいたときは、このご相談もそうしたものかと思っていのですが……。

真夜中のLINEにたまりかねて

相談に訪れたのは都心から車で2時間くらいの温泉地として有名な町で、築80年の民家をリフォームしながら暮らすご夫婦でした。

ご夫婦ともに働いておられ、週3日の在宅勤務で、週末はキノコや野菜を育てながら、海外で暮らす長男家族と、Zoomをつないで夕食を食べたり、という充実ぶりです。ところが、そんなご夫婦がカウンセリングに訪れたのは意外な理由からでした。

夫の叔母のひとり娘、つまり従妹から、毎晩のようにLINEがくるといいます。

「非常識というか、衝動的というか、うちの妻にLINEで『つらい』って絵文字を送ってきて、今からでもそっちに行ってもいいかって聞いてくるんです。こんな時期ですからね、分からないでもないですが、ちょっとおかしいんじゃないかと……」

そう話す夫は、白ワイシャツの公務員風の風貌。その横で付き添う妻は、紺色のニットのアンサンブルといった控えめな女性です。

お話を聞いているとこのご夫婦は、その従妹に発達障害やパーソナリティ障害があるかもしれないというのです。

その従妹の方の母親、相談者の叔母、男性の母親ともに他界。従妹の周囲には頼れる親族が誰もおらず、従妹とは親子ほど年が離れこのご夫妻を頼るようになっているといいます。しかし、あまりに頻繁に連絡してくるため、正直、困っているというのが本音のようでした。

そんな深夜のLINEのこともあって、従妹にカウンセリングのことを切り出すと、「本人も『ぜひ、受けたい』とい言っているので、よろしくお願いします」と最後に言い残して、ご夫婦は早々とカウンセリングルームを出ていきました。

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この記事を書いた人

公認心理師 博士(医学)

大手不動産会社で産業保健活動を行う一方、都内で親子や夫婦の関係改善のためのプライベートカウンセリングを実践している。また、最近は、Webカウンセリングも行い、関東甲信越や東北地方の人たちとのセッションにも力を入れている。

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