賃貸経営・不動産・住まいのWEBマガジン

ウチコミ!タイムズ

ネットカフェ+保護猫カフェ――利用者のニーズが重なる新しい複合カフェ

山本葉子

2020/07/02

  • Facebook
  • Twitter
  • LINE
  • Hatebu

毎月開いている猫カフェセミナーで持ち込まれた新しい複合カフェ

自粛要請が解除されたとはいえ、新型コロナの影響が続いている中、飲食店の経営は本当に大変だと思います。その中でも消毒の徹底やソーシャルディスタンスな運用体制を構築して、再開し始めている「複合カフェ」もあります。

私が代表をしている猫の保護団体「NPO法人東京キャットガーディアン」では、毎月「猫カフェスクール」というセミナーを開いています。文字通り猫カフェや保護猫カフェの開業を考えている方に向けた、かなり内容の濃い2時間のセミナーです。ある日のご参加者さんの中に、某ネットカフェ(&漫画喫茶)の大手の代表取締役さんがいらっしゃいました。

「猫カフェを始められたいんですか?」
「猫カフェ自体というより、うちとコラボできないかと思って」

おっとりと話す社長さんは、複合カフェ事業の中に保護猫カフェを取り入れられないかと考えてるようです。

実は以前からネットカフェの業態の中で猫カフェを設けているところがありました。そこで、「あそこのようなことをご希望ですか?」と尋ねると、「いや、あれはちょっと可哀想なので」とおっしゃいます。お話をうかがうと、猫カフェに専任の担当がいない、ルールがきちんと決まっていない、ゲーム機器もあって騒音が気になる、そして、猫たちの状態が悪い……などつらいお話でした。

「それとは違うものができないかと思ってね」
「興味があります。別日にお話の機会を作っていただけますか?」

そうしたやり取りをしたあと、後日、先方の本社でのミーティングとなりました。

写真/©︎NPO法人東京キャットガーディアン

ハードの組み合わせには問題なし 利用者のニーズは?

オフィスからは元気なワンちゃんの鳴き声が聞こえます。「猫の飼育経験はなくて」とおっしゃっていましたが、動物はお好きなようです。漫画喫茶もネットカフェも、初期投資は他のFCに比べてかなり高額です。社長さんの説明では「投資はそれなりに必要だが回収は早い」とのことでした。早速「保護猫カフェを複合カフェの中に入れる」の検討を始めます。

テナントの一角を空けてもらって、そこに防音の保護猫カフェスペースを設ける。もちろん空調も1箇所以上必要。独立した部屋ですから、消防法的には煙感知器などの設置が義務付けられます。入り口は猫の脱走防止のために二重扉。一旦人が入って後ろのドアを閉めた後に、次のドアを開ける作りです。できれば中に水回りを設けて猫達の飼育に必要な備品(シンク・ミニ冷蔵庫・ダストボックス)などを完備したほうがよいなど、ハード面でのお話をしていきました。
 
次に猫たちの健康やメンタルをいい状態に保ったままで、当初の目的の“猫がいる複合カフェ”を成功させるには、どのような運用が必要か。また、店舗は現在も稼働中なので休むわけにはいきません。そのうえで相乗効果のあるものにするには……。

そこで利用者を想定しながら、どういった施設なら受け入れられるかを考えました。

・「猫好きさん」は相当数いる
・男性単身の利用客が多いけれど、家で飼っていないからこそ憧れがあるのではないか
・基本静かに過ごす場所なので、猫たちにも向いている
・事業としては行き場のない猫達の受け入れ場所になるので、社会貢献事業としても展開できる

利用者のニーズもあり事業としてもよいものになりそうです。でも、利用者がルールを守ってくれない場合はどうしたらよいか、その対策を考えておく必要があります。

課題は猫の専用の飼育係

社長のお話をうかがうと、「複合カフェのスタッフ業務」は、受付や清掃、ドリンクなどの備品補充が主なものだということでした。そうした業務に加えて保護猫カフェの担当を置くことは難しそうです。やはり「適切な飼育者(管理者)」の不在がネックになります。

スタッフの増員なしで保護猫カフェを設置運営できないかを考えることになりました。既存スタッフさんの兼任業務として施設に目が届くように受付から状況が見えるような監視カメラの使用という手段も検討しました。

住宅向けに開発されている双方向のセキュリティーカメラは、映像はクリアですし声かけもできます。もちろん、向こうからの音声も聞けます。これなら必要な機能はほとんど揃います。
もし不適切なご利用があれば、スタッフがカメラを通じて声かけする、あるいは保護猫カフェスペースに行って注意することも可能です。

とはいっても、通常の業務に猫たちの世話や監視業務が加わるスタッフの教育は必要です。これが大変なものになりそうだというところで、この企画はストップしています。

また、複合カフェの中の保護猫カフェにいる猫たちは、利用者から里親希望が出た際には譲渡の検討もできれば、保護施設のような役割も担えるかもしれません。魅力的な企画ですが、実現まではまだまだやらなければならないことがあります。次のステップは新型コロナの影響がおさまってからとなりますが、なんとか実現できればと思っています。猫の保護団体とパートナー組みをを検討して下さる企業さんがいらっしゃれば、ぜひお声かけください。

  • Facebook
  • Twitter
  • LINE
  • Hatebu

この記事を書いた人

NPO 法人東京キャットガーディアン 代表

東京都生まれ。2008年猫カフェスペースを設けた開放型シェルター(保護猫カフェ)を立ち上げ、2019年末までに7000頭以上の猫を里親に譲渡。住民が猫の預かりボランティアをする「猫付きマンション」「猫付きシェアハウス」を考案。「足りないのは愛情ではなくシステム」をモットーに保護猫活動を行っている。

ページのトップへ

ウチコミ!