パリのアパートの厄介なお掃除事情
桑田 唯
2016/01/04
水垢がつきやすくて厄介
国が違えば、お部屋の掃除のしかたも違います。私は前の住人が退去した日に入居したので、部屋についてまずやらなきゃいけなかったのはお掃除でした。今回はパリのお部屋のお掃除のしかたやメンテナンスについて、日本と違って厄介だなと思ったポイントをお伝えしたいと思います。
まず最大の厄介なポイントが、ヨーロッパの水道水が硬水であることです! 硬水とは、マグネシウムやカルシウムなどのミネラル成分がたくさん含まれた水のこと。このミネラル成分があまり含まれない水は軟水と呼ばれていて、日本のお水は軟水です。
硬水は飲み水としては、味の癖が強めなので好き嫌いが分かれるのですが、ミネラルが豊富で健康的だったり、便秘が解消されたり、メリットもたくさんあります。しかし、それ以外の面ではとても扱いにくいと思います。なぜなら、ミネラル成分が多いせいで、水垢がとってもつきやすいから!
私も最初のお掃除でシンク周りの水垢や、シャワーブースのガラスについた水垢を落とすのが大変でした。今でも、キッチンで水がはねたり水が流れた場所はすぐに水垢がつきますし、鍋で硬水を湧かしたら少し白っぽくなります。
これだけ水垢がつきやすい状況なので、フランスでは水垢用の洗剤もたくさん売っているのが唯一の救いでしょうか。お酢を水で薄めてスプレーする、というのも効果的だそうです。
穴が詰まりやすくて厄介
こちらも硬水による厄介ポイントなのですが、硬水のミネラル成分で穴が詰まりやすいです。たとえばシャワーヘッドの穴とか、霧吹きのスプレーの穴とか。私も最初シャワーヘッドがフジツボのような状態になっていて、ゾッとしました…。今でも定期的にメンテナンスをしています。
また、洗濯機や食器洗浄機に関しても、使っているうちにミネラル分の結晶がパイプにこびりついて詰まってしまうので、その対策の石灰中和剤(カルゴンというものが有名です)を入れて使用しないといけないようです。
土足文化が厄介
私の住んでいるアパートは築100年以上経っているのですが、床が日本のようなフローリング調のビニールクロスではなく、本物の木の板で敷き詰められています。見た目は味があって好きなのですが、隙間が空いている部分が多く、埃やチリが入り込みやすいのが厄介です。さらに、基本的にはヨーロッパの人は土足で生活をするので、砂なども隙間に入り込んでいました。
私は部屋では土足ではなくスリッパで生活をしたかったので、最初のお掃除では一通り掃除機をかけた後、拭き掃除をしたのですが、ぞうきんがすぐに真っ黒になってしまいました。
壁・天井がしっくいなのが厄介
私の部屋の壁はしっくいで塗り固められており、これも雰囲気があっていいのですが、ポロポロとはがれてくることがあります。特に私の部屋は、窓のまわりのしっくいがはがれやすくなっていて、窓を開け閉めした衝撃で必ず白い粉が落ちてきます。
また、私が入居したタイミングで、大家さんが天井の照明を付け替えてくれたのですが、照明器具を天井に設置する際にネジ穴を開けなければならず、天井もしっくいなので電動ドリルで穴をあけるのが大変そうでした。
日本の照明だと、配線器具にワンタッチではめられるタイプのものが多いので、私でもひとりで設置できますが、こちらでの照明の設置は難易度が高そうだな、と思いました(もちろん部屋のタイプによるとは思いますが…)。
パイプがむき出しで厄介
こちらも古い建物ならではだと思いますが、水の配管のパイプがむき出しになっています。このパイプは凸凹が多く、埃が積もり積もっていました。しかも前の住人が入居するはるか前から積み重なっているような、分厚い埃がある部分もありました!!!
日本だと、住人が退去するときは業者さんに部屋を掃除してもらうことが多いと思いますが、この物件では大家さんたちが自分でやっているのかな?と思いました。それとも業者さんが入っていても、そこはスルーされてしまったのでしょうか?
パイプが入り組んでいるところには雑巾も入りにくく、埃を取るのが大変でしたが、掃除後はとてもスッキリしました。
やはり、硬水と建物の古さによる厄介な点が多いですね。硬水に関しては、浄水器を使っってミネラル分を少なくしたり、水垢対策のお掃除グッズをうまく使えば、楽にメンテナンスできると思います!
この記事を書いた人
インテリアコーディネーター
大学時代に建築を学び、雑貨バイヤーなどを経てインテリアコーディネーターの資格を取得。海外のインテリアや家具、その国ごとのライフスタイルや歴史に興味を持ち探求中。ワーキングホリデーでパリに滞在する。理想の住まいは、木や石などの自然な素材で作られた、秘密基地のような家。