壁紙の基本の張り方 ☆誰でもTRYできる簡単バージョン☆
内村恵梨
2018/11/27
壁紙張り換えの巻④ではクロス張り前の下地調整についてお伝えしましたが、今回はいよいよ実際のクロス張り作業に移っていきます!
今回は、作業の中での道具の使い方と、施工の手順を解説していきます。
■張る前に:壁紙と施工方法を決める
一口にクロス張りと言っても、壁紙の種類、施工方法によって難易度がかわります。
まずは自分がどんなクロス張りに挑戦するのか決めましょう。
量産クロスで価格が安く、エンボス加工があり厚めに作られているものが、初心者向きです。賃貸のアパートやマンションでよく使われています。ただ、あまりカラーバリエーションはありません。
1000番台と呼ばれるクロスは、量産品よりも価格が上がり、カラーバリエーションや柄物も豊富です。消臭や抗菌などの機能を持つものもあります。
ただ、量産と比べ厚みがなく、下地の凹凸を拾いやすいなど、施工の難易度は上がります。
でも、「リフォーム用」と書いてあるものなら厚めに作られているので、1000番台のクロスを使いたい場合は、これを目印にするのがおすすめ。
また、無地にするのか、柄物にするのかで、選べる施工法が変わります。
無地の場合は「突き付け」と「相裁ち」という2通りの施工法のどちらでも可能。
無地の壁紙の場合は、ネットサイトなどで買う際に耳部分を切り落として糊付けをしているものも購入できるので、そのまま突きつけで貼っていけます。
(図① 相裁ちと突き付け)
柄物の場合は、柄を合わせる作業がある関係で、「相裁ち」という方法で施工をする必要があります。図①の左の写真のように1枚目の左端に2枚目の右端を重ね、重ねた間を2枚いっぺんに切る方法です。
ただ力加減や柄合わせがやや難しいのが難点。
(写真②)
今回は、無地の壁紙を「突き付け」施工で張っていく方法をお伝えします。
■手順1:張る面の壁の寸法を測る
まずは、壁紙を貼ろうとしている部分の寸法を測ります。
今回はこの写真②の一面を貼るので、
1.ドアの上から天井までの高さ
2.床から天井までの高さ
3.約90㎝の幅の壁紙が横に何本必要か
を測っていきます。
1.ドアの上から天井までの高さ
この壁の場合、天井との境目部分に「廻り縁(まわりぶち)」と呼ばれる木材がついているので、その下からドア枠の上のところまでを測ります。
このドア上を実際に測ってみると37.5㎝あったので、さらにそれに切りしろ5㎝を足します。そうすると、ここの寸法は42.5㎝必要ということになります。
2.床から天井までの高さ
こちらも同様に、天井との境目には廻り縁、床との境目には巾木(はばき)と呼ばれる木材が入っています。その間を測り、切りしろ5㎝プラスします。
3.約90㎝の幅の壁紙が何本必要か
国産のビニールクロスは横幅が約90㎝なので、90㎝を横に何本必要か、ということを確認します。
メジャーを90㎝分出し、ざっくりと壁の端から1枚、2枚、と数えればOK! こうすれば、壁の横幅はわざわざ測る必要はありません。
ただ、ここで考える必要があるのは、ドアの上はドアの上で一区切りつけること。このドアは実際80㎝程の幅ですが、残り10㎝は切り落としてしまい、ドア横のキリの良いところから2枚目を貼ります。
これは、窓の上などでも同じことが言えます。切りのよいところで割り付けた方が、見栄えもきれいに仕上がります。
手順2:1枚目をまっすぐに貼るための印をつける
(写真③ 左:手順2 右:手順3)
右利きの場合、壁の右から左へとクロスを貼っていくので、1番右が1枚目となります。
最初が曲がってしまうと、2枚目、3枚目と全部が曲がってしまうので、最初は「墨だし」(=印づけ)を行います。
この壁では、今回右から75㎝のところを1枚目の左端にしようと思うので、そこに印をつけていきます。
前回の壁紙がジョイントされていた部分は避けて墨を出します。ジョイント部分の開きの原因になるためです。
(写真④ 手順4の①~④)
■手順3:寸法に合わせて壁紙をカット
今回は糊付きクロスをネットで入手したので、写真③の右のように生糊の上にフィルムが付いています。
とった寸法分をカットし、このフィルムを剥がして折りたたんで準備をしておいてもいいですが、今回はそのまま剥がさずに作業に移りました。
■手順4:1枚目を張る
① 張るときに上になる方のフィルムを半分くらい剥がします。右側の色のついたテープが付いていれば、それもとってしまいます。
② 墨出しした部分に左端を合わせ、上は2㎝程余分にはみ出させて張り付けます。
③ なでバケで密着させていきます。下半分のフィルムも剥がしてしまいます。
④ スムーサーで空気を抜きながら、角も出していきます。
(写真⑤ 手順4の⑤~⑧)
⑤ 左端は糊が乾かないうちにローラーで密着させておきます。
⑥ 角ベラで全部の角をしっかりと入れ込みます。写真5の⑥のような部分は、折り返してその上から角ベラでなぞります。
⑦ 地ベラを角にしっかりと沿わせ、カッターで余分の壁紙をカットしていきます。角の部分(写真5の⑥)は、折り返したところに上から地ベラをあて、そのまま切ります。
⑧ 切った後、廻り縁などについた糊をスポンジで拭き取ります。クロスにつかないように地ベラで押さえながら行います。
(写⑥ 上:2枚目を突きつけで貼るところ 左下:ドア枠の部分 右下:スイッチ部分)
■手順5:2枚目を張る
① 2枚目も基本は先ほどと同様に進めていきますが、右側を1枚目の左側に突き付けて合わせていくところから始めます。クロスは伸びやすいので力を入れて引っ張らないように気を付けながら、そっと合わせていくのがポイントです。この時左側は左手で浮かせて持ったままです。
② ジョイント部分を合わせたら、なでバケで右側を密着させ剥がれないようにしてから、全体のフィルムを貼がしながら張っていきます。
③ ドア枠などがある場合は、写真⑥の下のように切込みを入れます。コンセントやスイッチのある部分も切込みを入れ、くりぬきます。
(写真⑦ 完成図)
いかがでしたか?写真だけではわかりにくいと思うので、壁紙を売っているネットショップなどの貼り方動画も参考にしてみてくださいね!
この記事を書いた人
匠アカデミージャパン 事務局長 (運営:株式会社イマジンネクスト)
匠アカデミージャパンは2016年に開校した内装リノベーションのスクール。 単にDIYのノウハウを教えるスクールではなく「人生100年時代の大人の学び直し」の場として、副業やセカンドキャリア、定年後の生き生きとしたライフスタイルに生かせる技術を身につけることを提唱している。 講習内容は、クロスや床材の張り替えや、賃貸住宅大家さん向けワンルームの原状回復コースなど、まったくの経験のない方に対してDIYを超えた職人の技を伝授。照明プランニングや内装コーディネートのセミナーなども開催中。 http://www.takumi-ac.jp/