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火を噴くエアコン、扇風機! 異臭や異音に要注意 熱中症も火災もなく夏を乗り切ろう

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7、8月にグンと増えるエアコン、扇風機の事故

7月に入り、今年もいよいよ夏本番だ。

以下は、独立行政法人 製品評価技術基盤機構「NITE」が公表しているデータとなる。「2018年度から22年度に発生したエアコン・扇風機の月別事故発生件数」ということで、同法人が通知を受けた事故情報の件数をまとめたものだ。

「2018年度から22年度に発生したエアコン・扇風機の月別事故発生件数」
エアコン 扇風機 合計
1月 31件 0件 31件
2月 24件 2件 26件
3月 18件 2件 20件
4月 9件 1件 10件
5月 22件 0件 22件
6月 27件 12件 39件
7月 58件 19件 77件 …(エアコンの最高値)
8月 50件 20件 70件 …(扇風機の最高値)
9月 34件 6件 40件
10月 18件 3件 21件
11月 17件 1件 18件
12月 35件 0件 35件
合計 343件 66件 409件

見てのとおり、7月と8月の数字が突出したかたちとなっている。その上で、エアコンの事故件数がもっとも多いのが7月(2番目が8月)、扇風機の事故件数がもっとも多いのが8月(2番目が7月)だ。

エアコンも扇風機も、事故のほとんどは火災

そこで、これらの事故だが、具体的にはどんな事例が多いのだろう。内容は以下のデータでわかる。

「2018年度から22年度に発生したエアコン・扇風機の事故の状況」
  火災事故 非火災事故
エアコン 320件 23件
扇風機 63件 3件

このとおり、計409件中、383件が火災事故となっている。つまり9割超だ(約94%)。エアコン、扇風機が事故を起こした場合、そのほとんどが発火――火災につながっていることがわかる。

事故発生原因にはそれぞれに「特徴」アリ

続けて、エアコン、扇風機で事故が発生した原因を挙げてみたい。見ると、それぞれに特徴が分かれている。

「エアコンの事故343件のうち、調査が完了している296件の原因別件数・割合」
製品の不具合 60件(20.3%)
製品の不具合以外による事故 142件(48.0%)…最多
経年劣化によるもの 7件(2.3%)
経年劣化が疑われるもの 10件(3.4%)
原因不明 77件(26.0%)

 

「扇風機の事故66件のうち、調査が完了している57件の原因別件数・割合」
製品の不具合 12件(21.1%)
製品の不具合以外による事故 6件(10.5%)
経年劣化によるもの 20件(35.1%)…最多
経年劣化が疑われるもの 6件(10.5%)
原因不明 13件(22.8%)

見てのとおり、まずは「製品の不具合」が2割ほどを占める点は、エアコン、扇風機ともに変わりがない。

一方、大きく異なるのが、「製品の不具合以外による事故」および「経年劣化が絡むケース」での数字となる。

エアコンの場合、「製品の不具合以外による事故」がもっとも多い。約半数を占めている。具体例として、「洗浄液が付着したことによる事故」「配線・電源コードの途中接続による事故」など――とNITEは記しているが、とどのつまり、ポイントはこうなるだろう。

「エアコンの配線や中身に素人は手を出すな!」――だ。

エアコンに専用コンセントがある理由

われわれ専門知識のない一般人は、ついつい「エアコンも手軽なほかの製品と同じような一般家電」と、思いがちだ。

だが、実はそうではない。エアコンは始動時、一時的に大電流が生じるなど、内部や配線への負担がとても大きな機械なのだ。そのため、設置場所には必ず専用コンセントが設けられている(なので別のコンセントに繋げてはならない)。ほかのコンセントとは、位置も、中の回路も明確に別けることで、安全が保たれるかたちになっているわけだ。

そのうえで、プロではないいわゆる素人が、知らずにコードや配線を継ぎ足したり、内部を洗浄したり、勝手な修理をしたりして、それが事故につながることが多い。

つまり、エアコンは原則「一般人は線や中身にさわるな!」の機械なのだ。では原則外は何かといえば、それは定期的にフィルターを外し、マメに掃除をするくらいになるだろう。

経年劣化によるリスクの増加が怖い扇風機

一方、扇風機だ。さきほど数字を示したとおり、「経年劣化によるもの(35.1%)」と「経年劣化が疑われるもの(10.5%)」を合わせると45%を超えてくる。

つまり、扇風機の事故の半分近くは、製品が長年使われ、古くなったことで生じていると見ていい。さらに、事故発生となれば、そのほとんどが火災に結びついていることは、さきほど挙げたデータのとおりだ。

よって、古い扇風機を動かしたまま部屋を空けたり、眠ってしまったりといったことは絶対に避けた方がいい。

すると、気になるのは「古い扇風機とはいつ造られたものがそう言えるのか」だが、目安となるのが、本体や取扱説明書に書かれている「製造年」と「設計上の標準使用期間」だ。

これらは、2009年4月以降に製造された製品であればセットで表示されているはずだが、扇風機自体異常なく動いてはいても、一応これに従い、期間を過ぎた場合は使用をやめておくのが無難だろう。

なお、設計上の標準使用期間の表示が無い場合、その扇風機は09年3月以前の製造と表示されているはずだ。あるいは、それが推定されることになる。「10年」くらいまでが一般的な各社・各製品の設計上の標準使用期間に照らすとかなり古いものになるので、「使用しない」が、やはり安全となる。

エアコンや扇風機の不具合をどう感知するか

大きな事故にもつながりかねない、エアコン、扇風機の不具合をどう感知するか? NITEが掲げているポイントを抜粋しよう。

「エアコンでのポイント」
・室内機から水漏れする
・普段とは違った異音・異臭がする(室内機および室外機)
・エラー表示が出る、運転が意図せず停止する

「扇風機でのポイント」
・スイッチを入れても羽が回転しない
・電源コードに触れると急に羽が回転する/回転が止まる
・羽の回転が異常に遅い/不規則で安定しない
・羽の回転時に異音/振動がある
・首振り動作が不規則/異音がする
・モーター部分が異常に熱くなる/焦げ臭いにおいがする

エアコンは精密な機械だけに、エラーメッセージの表示や自動停止など、自らが異常を報せてくれる可能性も高いということだ。そんなときは「たまたまだ」「大丈夫だろう」などと高をくくらず、迅速に対応することをぜひ心掛けたい。さらに、上記についてはエアコンを使うシーズン=本番前の試運転で確認しておくことも、つよくお勧めしておきたい。

一方、扇風機では、われわれの目や耳、鼻による普段からの観察がより重要になってくる。特に、発火の予兆となる可能性が高い異臭や発熱には細心の注意を注ぎたい。

夏の目立たぬリスクに注意

以上、7、8月にグッと増えるエアコン、扇風機の事故について、NITEの公表データをもとにまとめてみた。

ストーブなど冬の暖房器具に比べ、発火・火災のイメージがなかなか湧きにくいエアコン、扇風機だが、掲げたとおり、いざ事故が起きた場合はそのほとんどが火災につながっている。

夏の悲劇といえば、大きなところでは水害、身近なところでは熱中症や水難事故というのがわれわれの普段高く意識するところだが、実は目立たないリスクが家の中にも存在しているということだ。

今回紹介したNITEの公表データは、下記ですべてご確認いただける。

NITEニュースリリース「夏に急増するのは熱中症だけではありません!~エアコン・扇風機の火災事故に注意~

(文/賃貸幸せラボラトリー)

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この記事を書いた人

編集者・ライター

賃貸住宅に住む人、賃貸住宅を経営するオーナー、どちらの視点にも立ちながら、それぞれの幸せを考える研究室

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