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2026年「地価公示」―――東京都心はバブル? 白馬村、佐賀市が沸騰のわけ

朝倉 継道朝倉 継道

2026/04/02

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冬の白馬村

バブル崩壊以来の上昇率を更新

3月17日、国土交通省が「令和8年(2026)地価公示」の内容を公表している。いわゆる公示地価の発表となる。

「全用途の全国平均が前年比で2.8%上昇」
「上昇は5年連続」
「バブル崩壊後の92年以降、最高だった昨年の2.7%を0.1ポイント上回る数字」

などと、なっている。

そこで、いま出た92年とその前のバブル期の数字を挙げると、以下のとおりとなる。

全用途全国平均における対前年変動率(バブル景気――崩壊まで)
変動率 備考
1985年 2.4% バブル景気の発端ともされるプラザ合意の年
1986年 2.6% バブル景気の始まりとされる年
1987年 7.7%  
1988年 21.7%  
1989年 8.3%  
1990年 16.6%  
1991年 11.3% バブル崩壊の本格的な始まりとされる年
1992年 ▲4.6% バブル崩壊が地価に波及

一方、コロナ禍の影響があって以降、現在までの状況が以下のとおりだ。

全用途全国平均における対前年変動率(コロナ禍の影響――回復――現在)
変動率 備考
2021年 ▲0.5% コロナ禍が地価に影響
2022年 0.6%  
2023年 1.6%  
2024年 2.3% 92年以来最高の上昇率かつ33年ぶりの2%超えとなる
2025年 2.7% 2024年を更新
2026年 2.8% 今回

地価高騰が叫ばれているこんにちだが、バブルの時代はそれに比べてもケタが違っていたことがよくわかる。

上昇率の上がった東京圏・大阪圏、下がったその他の大都市圏

3大都市圏それぞれと地方四市―――すなわち、各大都市圏の対前年上昇率を見ていこう。

東京圏
用途 上昇率 前年
全用途 5.7% 5.2%
住宅地 4.5% 4.2%
商業地 9.3% 8.2%

(3カテゴリー全てで上昇率が拡大)

大阪圏
用途 上昇率 前年
全用途 3.8% 3.3%
住宅地 2.5% 2.1%
商業地 7.3% 6.7%

(3カテゴリー全てで上昇率が拡大)

名古屋圏
用途 上昇率 前年
全用途 2.3% 2.8%
住宅地 1.9% 2.3%
商業地 3.3% 3.8%

(3カテゴリー全てで上昇率が縮小)

地方四市(札幌・仙台・広島・福岡)
用途 上昇率 前年
全用途 4.5% 5.8%
住宅地 3.5% 4.9%
商業地 6.4% 7.4%

(3カテゴリー全てで上昇率が縮小)

このとおり、東京圏と大阪圏では3カテゴリー全てで上昇率が拡大している。対して、名古屋圏と地方四市では縮小している。両者におけるコントラストが見られる状況となっている。

さらに絞って、東京23区と大阪市の様子を見てみよう。それぞれの住宅地と商業地におけるここ5年の推移だ。(▲は下落率)

東京23区(住宅地)
上昇率
2022年 1.5%
2023年 3.4%
2024年 5.4%
2025年 7.9%
2026年 9.0%

 

東京23区(商業地)
上昇率
2022年 0.7%
2023年 3.6%
2024年 7.0%
2025年 11.8%
2026年 13.8%

 

大阪市(住宅地)
上昇率
2022年 0.6%
2023年 1.6%
2024年 3.7%
2025年 5.8%
2026年 6.5%

 

大阪市(商業地)
上昇率
2022年 ▲1.1%
2023年 3.3%
2024年 9.4%
2025年 11.6%
2026年 12.7%

 

このとおり、いずれにおいても地価上昇が加速気味の状態となっている。とりわけ、東京23区の住宅地および商業地と、大阪市の商業地の数字は顕著といえるだろう。

東京都心部は局地的バブルの状態?

上記のような実態、とりわけ東京でのそれを受けて、今回の地価公示に関わる各報道の中には、東京都心に「局地的バブル」が生じている旨、見出しに掲げるものも現れている。

そこで、東京都区部における消費者物価指数(生鮮食品を除く総合・前年比上昇率)の推移を掲げてみる。

上昇率
2022年 2.2%
2023年 3.0%
2024年 2.1%
2025年 2.7%

このとおり上昇が続いているが、地価公示のような派手な伸びは無い。よって、この差をもってバブル―――実体と乖離した取引価格の高騰―――とするならば、たしかに否定しにくいとはいえるだろう。(他方、現状はバブルと呼ぶべきものとは違うとする意見もある)

ちなみに、この2月には、不動産管理会社の社員ら6人が地上げ目的で住宅に放火し、逮捕されるという、まさにバブル時代を彷彿とさせるニュースが飛び込んでいる。場所は品川区小山。武蔵小山駅に近い都内・地価沸騰エリアのひとつだ。

そのうえで、一部報道によれば、これら容疑者の年齢は20代後半から30代初めまでとのこと。バブルを知らない若者たちとなる。

五輪の舞台、HAKUBAの知名度

地方に目を転じてみよう。

今回の地価公示における変動率上位順位表を見ると、長野県白馬村の標準地が住宅地での全国1位、商業地での3位に挙がっている。

それぞれ、前年比変動率がプラス33.0%、プラス35.2%と大幅な上昇を示している。国内を代表するスノーリゾートのひとつとして、インバウンド需要とそれに伴っての投資が集中しているエリアだ。

ちなみに、海外には白馬村―――HAKUBAの名を知る人がもともと多いとのこと。98年の長野オリンピックの影響がおそらく大きい。白馬村は、アルペンスキー、ジャンプ、クロスカントリーの舞台となった。以後、四半世紀あまりを経て、培われた知名度が輝き出しているともいえるだろう。(もちろん地元には弊害を訴える人もいる)

ほかにも、インバウンドに沸く長野県のリゾートエリアとしては、野沢温泉村の標準地が、上記ランキング(住宅地)の3位と5位に挙がっている。

福岡市を凌駕する全国3番目の数字

都道府県庁所在地別の変動率を見ると、商業地でひときわ目立った数字を示しているところがある。佐賀県佐賀市だ。九州で最も高い、前年比10.9%の上昇となっている。他と比べてみよう。

地域 変動率
佐賀市 10.9%
福岡市 9.0%
熊本市 5.0%
大分市 4.9%
宮崎市 2.1%
長崎市 2.1%
鹿児島市 1.4%

このとおり、佐賀市は福岡市をも凌駕している。その勢いのまま、全国での順位は東京23区、大阪市に次いでなんと3位だ。

佐賀市の地価が急上昇している理由はいくつかあるが、いま名前の挙がった福岡市の存在が特に大きいといわれている。地価高騰が続く福岡市から佐賀市へ、波及するかたちで不動産需要が伸び、投資も伸びて来ている状況だ。

首都圏など遠方からはイメージされにくいが、佐賀市は福岡市の広域通勤圏に含まれる。頻繁に行き来する特急は、佐賀~博多駅間を約40分で結んでおり、この利便性がさきほどの需要と投資を呼ぶ大きな力となっている。

ちなみに、佐賀~博多といえば、全線開通のめどが立たない九州新幹線西九州ルートの東側部分に当たっている。この点、佐賀県側は、新幹線は現状の佐賀市の利便性を損なう可能性をもたらすと見ているようだ。

新幹線の開通により在来線特急が減便となり、福岡とのつながりが弱まった上、財政負担までさせられるといった展望につき、地元がこれを不安視している旨が伝わっている。

以上、3月17日に公表された、国土交通省「令和8年(2026)地価公示」から話題をいくつかひろってみた。さらに詳しくは下記にて内容を確かめられたい。

国土交通省 令和8年地価公示
国土交通省 令和8年地価公示の概要

(文/朝倉継道)

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この記事を書いた人

コミュニティみらい研究所 代表

小樽商業高校卒。国土交通省(旧運輸省)を経て、株式会社リクルート住宅情報事業部(現SUUMO)へ。在社中より執筆活動を開始。独立後、リクルート住宅総合研究所客員研究員など。2017年まで自ら宅建業も経営。戦前築のアパートの住み込み管理人の息子として育った。「賃貸住宅に暮らす人の幸せを増やすことは、国全体の幸福につながる」と信じている。令和改元を期に、憧れの街だった埼玉県川越市に転居。

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