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地価LOOKレポート2025年第4四半期 「全地区上昇」が2年に到達

朝倉 継道朝倉 継道

2026/03/11

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今期も80地区全てが上昇地区

2月20日、国土交通省が令和7年(2025)第4四半期分(25年10月1日~26年1月1日)の「地価LOOKレポート」を公表している。

前期に続き、今期も80地区全てが地価上昇地区となった。これで8期連続となる。住宅系地区は15期連続、商業系地区は8期連続。以下、国交省のコメントだ。

  • 住宅系地区
    「主に利便性や住環境の優れた地区におけるマンション需要に引き続き堅調さが認められたことから、上昇傾向が継続した」
  • 商業系地区
    「再開発事業の進展や国内外からの観光客の増加もあり、店舗・ホテル需要が堅調であったこと、また、オフィス需要も底堅く推移したことなどから、上昇傾向が継続した」

前期とほぼ同じ内容になっている。「マンション」「再開発」「インバウンド」が、いまの日本の大都市部地価を支える3つの柱ということだ。

なお、地価LOOKレポートの正式名称は「主要都市の高度利用地地価動向報告」という。日本の大都市部地価の動きと方向性を示す国の報告書となる。あらましについては、当記事の最後であらためて紹介したい。

上昇率上位の顔ぶれに若干の変化

地価LOOKレポートにおける地価上昇地区には、率で表す3つの評価レベルがある。「上昇(6%以上)」「同(3%以上6%未満)」「同(0%超3%未満)」となる。今期のそれぞれにおける数は以下のとおりとなっている。

  地区数 前期
上昇(6%以上) 0 0
上昇(3%以上6%未満) 6 5
上昇(0%超3%未満) 74 75

「6%以上」は見てのとおりゼロだが、それに次ぐ「3%以上6%未満」の地区は6つある。

東京都 中央区 銀座中央(商業系地区)
新宿区 歌舞伎町(商業系地区)
豊島区 池袋駅東口周辺(商業系地区)
港区 品川駅港南口周辺(商業系地区)
中野区 中野駅周辺(商業系地区)
京都市 下京区 京都駅周辺(商業系地区)

このうち、池袋駅東口周辺と品川駅港南口周辺は、前期の「0%超3%未満」から今期は評価が上がったものだ。6地区それぞれにおける不動産鑑定士のコメントを覗いてみよう。(抜粋・補足)

  • 銀座中央
    「訪日外国人観光客による消費が活発な状況」
    「好立地の路面店については空室が極めて少ない一方、賃料水準も上昇基調」
    「物件供給が少ないなかで当地区の不動産に対する取得需要は強い状況」
  • 歌舞伎町
    「多数の国内若年世代や外国人観光客が当地区を来訪し、活況」
    「需要の高さから、取引利回りは低下傾向、取引価格は上昇傾向」
    「今後もインバウンドをターゲットとした店舗需要を中心に、より活況を呈すことが見込まれる」
  • 池袋駅東口周辺
    「(再開発により)池袋エリア一帯の都市機能等の拡充が進んでいる」
    「取引利回りは引き続き低下傾向」
    「地域経済の回復と良好な商況の回復傾向も続き、当期の市況が当面続くと見込まれる」
  • 品川駅港南口周辺
    「駅至近にグレードの高い大規模オフィスビルが建ち並ぶ利便性の高い商業地域」
    「複数の大規模な再開発やその他交通網の強化による将来性から投資家等の取得意欲は比較的安定」
    「投資需要は安定した状態が継続すると見込まれる」
  • 中野駅周辺
    「複数の大規模再開発事業等が進行、予定」
    「市況回復や再開発事業等への期待感の強まりから、足元の取引価格も上昇傾向」
    「稀少性の高い土地を中心に商業地の需要は安定的に推移すると予想」
  • 京都駅周辺
    「当地区は観光客の集散拠点」
    「売り物件があれば需要が競合する等、旺盛な取得需要が確認できる」
    「今後予定されている各種開発による波及効果等への期待感から不動産市場は活況」

このとおり、今期評価の上がった池袋駅東口周辺と品川駅港南口周辺については、都心ターミナル駅を擁する街としてのポテンシャルに加え、再開発への期待が大きいことがその主な理由となっている。

大濠「鈍化傾向」のわけは?

一方、前期の「3%以上6%未満」から、今期は「0%超3%未満」に評価が下がったのが下記となる。

福岡市 中央区 大濠(住宅系地区)

こちらも、不動産鑑定士のコメントを覗いてみよう。(抜粋・補足)

  • 「福岡市内でも最上位の居住環境」
  • 「(マンション用)素地が市場に出された場合には、激しい取得競争が予測される」
  • 「一方、建築費等の高騰により、開発計画を断念したケースが見られる等、当該要因の不動産市場への影響から、土地価格の上昇率においても全般的な鈍化傾向が確認」

このとおり、目下わが国不動産・建設市場を覆っている建設費高騰の波が、需要好調な当エリアにも押し寄せる格好となっている。

インバウンドの「異変」は続くか?

先ほどの「銀座中央」や「歌舞伎町」での鑑定士コメントにもあるとおり、現在のわが国大都市部地価の上昇を牽引するひとつとして、インバウンド需要の存在は大きい。

現状を見てみよう。日本政府観光局(JNTO)による、最近公表されている数字だ。(推計値を含む―――のちに微修正されているものも有)

訪日外客数 対前年伸率
2025年 4268万3600人(過去最多) +15.8%
2024年 3687万148人  

25年における、国・地域別で人数の多いTOP5は以下のとおりとなる。

訪日外客数 対前年伸率
1位 韓国 945万9600人 +7.3%
2位 中国 909万6300人 +30.3%
3位 台湾 676万3400人 +11.9%
4位 アメリカ 330万6800人 +21.4%
5位 香港 251万7300人 -6.2%

そのうえで、2位の中国に関しては、下記のとおり直近において急な減少が生じている。

訪日外客数・中国
年月 対前年伸率
26年1月 -60.7%
25年12月 -45.3%

この理由は、多くが知るとおり、主に政治面での関係悪化によって中国政府が日本への渡航を避けるよう、国民に呼びかけたことが主に影響したものだ。これがいつまで続くかについては、現状判断がしづらい状況となっている。

一方で、2025年全体での訪日外客数・対前年伸率において、マイナスの国・地域は香港(数字は上記)を除いて1つもない。

なおかつ、その中にはロシアのように+96.3%というすごい数字を示す国もあれば、人口世界一のインドが+35.2%、4位のインドネシアが+23.8%、中東地域も+54.7%と、こちらも激増だ。今後のインバウンドの伸びに関しては、中国・香港を除き、堅調が期待できると見ていいだろう。(オーバーツーリズムの心配はもちろんある)

よって、中国マター(?)がしばらく続く場合、他国の伸びがそれをどこまでカバーしてくれるのかが、今後の注目点のひとつになりそうだ。

アリーナと「駅近キャンパス」による街の賑わい

今期の地価LOOKレポートにおける「0%超3%未満」74地区の中に「高松丸亀町」地区がある(商業系地区)。香川県高松市の中心市街地だ。

「JR予讃線高松駅からの徒歩圏。専門店、百貨店、店舗兼事務所ビル等が建ち並び、再開発区域に隣接する中心的商業地区」と、紹介されている。

不動産鑑定士のコメントを覗いてみよう。(抜粋・補足等)

「25年2月には県立アリーナ(あなぶきアリーナ香川)がオープンし、また4月には徳島文理大学の高松駅キャンパスが高松駅前に開校、人通りが増え、高松駅周辺は一層の賑わいの創出がなされている」

「(上記)駅周辺の活性化の影響を受けて当該地域及び周辺地域は、多様な需要が重層的に存在する状況」

高松市は、人口約40万7千人の中規模の都市だが、隣接する坂出市などとともに四国最大の都市圏を形成している。さらには、瀬戸大橋を渡った先、瀬戸内海対岸の岡山都市圏、福山都市圏とともに広域経済圏(東瀬戸経済圏などと呼ばれる)もかたちづくるなど、ユニークな立ち位置にあることが知られている。

そんな街の中心ほど近くに、昨年、中・四国最大級といわれる1万人収容可能なアリーナがオープンした。駅に隣接する大学キャンパスも生まれている。

これらにより、鉄道利用者数が伸びるなど波及効果がいくつか確認されており、現在、西日本を中心に街づくりに関するホットな話題のひとつとなっている。

地価LOOKレポートとは?

最後に、地価LOOKレポートとは何か? について添えておこう。

国交省が四半期ごとに公表する「地価LOOKレポート」は、公示地価・路線価・基準地価のいわゆる3大公的地価調査に次ぐ第4の指標として、他の3者にはない頻繁な更新をもって、われわれに日本の土地の価値にかかわる方向性を指し示してくれるものだ。

特徴としては、地価の動向を表す9種類の矢印や、多用される表や地図により、内容がとても把握しやすい点が挙げられる。ただし、3大公的地価調査とは異なり、土地の価格そのものが示されるわけではない。地価のトレンドを調査し、分析する内容の報告書となっている。

全国80の調査対象地区すべてにつき、不動産鑑定士による具体的なコメントが添えられている。それぞれのエリアの実情を理解するうえでよい助けとなるだろう。

留意すべき点として、地価LOOKレポートは全国の主な大都市部の地価にのみ対象を絞っている。正式名称「主要都市の高度利用地地価動向報告」が示すとおりとなる。

以上、当記事で紹介した今期分の地価LOOKレポートは、下記にてご覧いただける。

地価LOOKレポート 令和7年(2025)第4四半期分(25年10月1日~26年1月1日)

(文/朝倉継道)

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この記事を書いた人

コミュニティみらい研究所 代表

小樽商業高校卒。国土交通省(旧運輸省)を経て、株式会社リクルート住宅情報事業部(現SUUMO)へ。在社中より執筆活動を開始。独立後、リクルート住宅総合研究所客員研究員など。2017年まで自ら宅建業も経営。戦前築のアパートの住み込み管理人の息子として育った。「賃貸住宅に暮らす人の幸せを増やすことは、国全体の幸福につながる」と信じている。令和改元を期に、憧れの街だった埼玉県川越市に転居。

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