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新築マンションはどのくらい外国人に買われている? 国交省が初の調査

朝倉 継道朝倉 継道

2025/12/06

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国交省が初の調査を実施

先般11月25日、国土交通省が、初めて行われた興味深い調査の結果を公表している。「不動産登記情報を活用した新築マンションの取引実態の調査・分析について」と、題されたレポートだ。

昨今、世のなかの関心が高い「新築マンションの短期売買」と、それに絡んで話題になることも多い「外国人による新築マンション購入」について、調べた結果となる。

調査対象は、三大都市圏(東京圏・大阪圏・名古屋圏)および地方四市(札幌・仙台・広島・福岡)の新築マンション約55万戸となっている。「不動産登記情報および民間の価格データ情報を活用し」得られた数字となる。以下、主なところを覗いていこう。

都内での外国人取得割合は3%

まずは、外国人に関する数字から挙げていこう。「中国人が爆買いするため価格が高騰し、日本人がマンションを買えなくなる」など、意見の錯綜が見られる件だ。

「国外に住所がある者による新築マンション取得の状況」について、東京都全体での割合を見てみよう。

東京都(全体)
割合
2025年1~6月 3.0%
2024年 1.5%
2018~2023年での最大値 1.8%(2018年の数字)

このとおり、都全体では、「国外に住所がある者による新築マンションの取得割合」は、直近のデータで3%に留まっている。なおかつ、昨年まではこれを大きく下回ってもいたようだ。

範囲を絞り、東京23区内ではどうだろう。

東京23区
割合 都全体との比較
2025年1~6月 3.5% 0.5ポイントのプラス
2024年 1.6% 0.1ポイントのプラス
2018~2023年での最大値 2.0% 0.2ポイントのプラス・2018年の数字

見てのとおり、都全体よりも数字は増えた。だが、特に大きな差とはいえない程度のものだろう。

さらに、都心6区に範囲を狭めてみる。(千代田区、中央区、港区、新宿区、文京区、渋谷区)

東京都心6区
割合 23区との比較
2025年1~6月 7.5% 4.0ポイントのプラス
2024年 3.2% 1.6ポイントのプラス
2018~2023年での最大値 5.3% 3.3ポイントのプラス・2018年の数字

数字はここで目立った増加を示している。

すなわち、「国外に住所がある者による新築マンションの取得」にあっては、都心ほど、割合の高い傾向が見られるということだ。

そのうえで、昨年に比べての今年の1~6月期における数字の伸びはやや著しい。

2024年 → 2025年1~6月期の推移
東京都(全体) 1.5% → 3.0%
東京23区 1.6% → 3.5%
東京都心6区 3.2% → 7.5%

とはいえ、この数字が「爆買い」といったインパクトを感じさせるほどのものかというと、意見は分かれるにちがいない。

そのほか、主だった都市の数字も挙げておこう。

「2025年1~6月期における『国外に住所がある者による新築マンションの取得』割合が1%を超えている都市」
都市 25年 24年
大阪市 4.3% 5.1%
京都市 2.5% 3.4%
札幌市 2.0% 0.7%
福岡市 1.9% 2.0%
横浜市 1.6% 0.3%

中国よりも割合が高いのは「台湾」の人々

「国外に住所がある者による新築マンションの取得」について、では、どの国に住所がある人の数字(登記件数)が大きいのだろう。今回の調査結果はこうなっている(東京23区での割合)。

「2025年1~6月期の登記件数」(東京23区)
1位 台湾 192件
2位 中国 30件
3位 シンガポール 21件
4位 香港 15件
イギリス 15件
「2024年の登記件数」(東京23区)
1位 台湾 105件
2位 中国 63件
3位 アメリカ 43件
4位 香港 32件
5位 シンガポール 25件

このとおり、両期間とも1位は台湾となっている。加えて、直近での台湾の数字は圧倒的で、2位の中国に香港を足した4倍を超えている。いわゆる「中国人(中華人民共和国の方々)の爆買い」といった様子は、ここからは浮かび上がってこないといってよいだろう。

短期売買も都心ほど増加・直近ほど増加

次に、新築マンションの短期売買に関する数字を見ていこう。

短期売買―――すなわち、自らが住むための購入ではなく、投機的な取引であることが、外面上推測される事例となる。(当調査においては購入後1年以内―――所有権保存登記日と所有権移転登記日の間隔が365日以内―――の売買をいう)

「下記それぞれの期間に保存登記された物件のうち、1年以内に移転登記がされた物件の割合」

東京都(全体)
割合
2024年1~6月 8.5%
2023年 5.2%
2018~2022年での最大値 7.3%(2021年の数字)
東京23区
割合 都全体との比較
2024年1~6月 9.3% 0.8ポイントのプラス
2023年 5.7% 0.5ポイントのプラス
2018~2022年での最大値 8.0% 0.7ポイントのプラス・2021年の数字
東京都心6区(千代田区、中央区、港区、新宿区、文京区、渋谷区)
割合 23区との比較
2024年1~6月 12.2% 2.9ポイントのプラス
2023年 7.1% 1.4ポイントのプラス
2018~2022年での最大値 4.6% 3.4ポイントのマイナス・2021年の数字

このとおり、さきほどの「国外に住所がある者による~」のデータと同様、こちらもエリアが都心に狭まるほど、また時期が下るほど、数字が増していく傾向が見てとれる。

(なお、さきほどのデータでの直近の期間は25年1~6月で、こちらは24年1~6月であることに留意)

短期売買と外国人の関係は?

次に、上記を踏まえた上で、これら短期売買されている物件の具体的な数につき、「国内に住所がある者」による数と「国外に住所がある者」による数、それぞれを見てみよう。なお、エリアは東京23区となる。

「東京23区における新築マンションの短期売買の動向・住所地別」
国内に住所がある者 国外に住所がある者
2024年1~6月 1,273件 17件
2023年 1,029件 11件

このとおり「国外に住所がある者」による短期売買の件数は著しく低い。

さらに、「短期売買が行われた件数/保存登記件数」で導かれる短期売買割合を見ても、国外に住所がある者における数字は、国内に住所がある者のそれを(上記と同期間において)下記のとおり下回っている。

「東京23区における新築マンションの短期売買割合」
国内に住所がある者 国外に住所がある者
2024年1~6月 9.4% 7.0%
2023年 5.7% 3.9%

「登記情報に国籍」の検討―――早急に進めたい

以上、国土交通省が初めて行った興味深い調査から、いくつかの結果を抜き出してみた。

そのうえで、本調査については、国土交通大臣が11月25日の記者会見で次のように発言している。添えておこう。(それぞれ要旨をまとめた)

「本調査の結果をもって、新築マンション取得全体に占める外国人の割合が小さいか否かを申し上げることは困難と考えている。不動産登記情報に国籍が含まれておらず、国内に住所のある外国人による取得の実態は把握できていない」

「不動産登記については、現在、国籍を記載する仕組みにはなっていないが、今月開催された閣僚会議において、総理から法務大臣に対し、仕組みの検討が指示されたところ」

「国土交通省としては、日本人か外国人かを問わず、実需に基づかない投機的取引は好ましくないと考えている」

以下、筆者より。

新築マンションの売買に関することに限らず、外国人、あるいは特定の国の人に対し、間違ったかたちでのイメージを先行させるのはもちろんよいことではない。

一方で、注視すべき現状があって、それを国民が知らずにいるのもよいことではない。

今回、総理から法務大臣に対し「(不動産登記について)国籍を記載する仕組みの検討が指示された」とのこと。

さらなる詳細な実態の把握、および判断のため、当該作業は迅速な対応をもって、早急に進めていくべきと考える。

今回の国交省の公表内容については、下記でご確認いただける。

国土交通省 不動産登記情報を活用した新築マンションの取引の調査結果を公表

国交大臣による記者会見での発言については、記者とのやりとりも含め、下記でご覧いただける。

11月25日 金子大臣会見要旨

(文/朝倉継道)

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この記事を書いた人

コミュニティみらい研究所 代表

小樽商業高校卒。国土交通省(旧運輸省)を経て、株式会社リクルート住宅情報事業部(現SUUMO)へ。在社中より執筆活動を開始。独立後、リクルート住宅総合研究所客員研究員など。2017年まで自ら宅建業も経営。戦前築のアパートの住み込み管理人の息子として育った。「賃貸住宅に暮らす人の幸せを増やすことは、国全体の幸福につながる」と信じている。令和改元を期に、憧れの街だった埼玉県川越市に転居。

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