素人でも不動産投資のプロに負けないただひとつの方法
工藤 崇
2017/01/10
素人はプロの投資家に勝てるのか?
投資の世界では、勝つ・負けるという言葉をよく使います。単純に投資で成功することを「勝つ」、失敗することを「負ける」と言いますが、投資で成功するためには打ち勝たなければいけないものがあるのは事実です。
では、不動産投資を成功させるために、勝たなければいけない相手とは誰でしょうか? 多くの物件を勧めてくる不動産会社でしょうか、空室を埋めるために獲得しなければならない入居者でしょうか、はたまた短期的な数字の上下に揺らいでしまう自分の心でしょうか。
実は、そのどれも正解といえます。
どれも正解なのですが、実は、いちばん戦わなければならない相手とは、同じように利益を狙う不動産投資家です。それも個人投資家ではありません。
「不動産投資を成功させるために勝たなければいけない相手とは?」という問いの回答は、専門的な知識と人脈、判断力を持った「不動産投資のプロ」なのです。
プロと比べると個人投資家は圧倒的に不利
不動産投資のプロというと、収益物件の売買を行なう不動産会社が真っ先に思い浮かぶことと思います。一方、素人とは一般の個人投資家が当たるでしょう。
どんな投資でも同じですが、特に不動産投資では、プロに比べると素人は圧倒的に不利といえます。
たとえば、投資家であれば誰もが目をつける優良物件があったとしましょう。この物件が「売り」に出たという情報をキャッチするスピード、物件の収益力を判断する分析力、そして実際に物件を購入するための資金力。どれをとっても、素人が不動産のプロに勝てないのは必須と言えます。
本当の優良物件は、その情報が個人投資家の間に回る前に、ほとんどプロに買われてしまうのです。
物件を買う力において、一般の個人投資家がプロに勝つことはまず不可能といえるでしょう。
ところが、ただひとつ素人がプロに勝てる要素が存在します。
それが「時間」です。
この時間を味方につけることが、プロに競い勝って不動産投資を成功させる秘訣だといわれています。それでは「時間を味方につける」とは、具体的にどのようなことなのでしょうか。
プロと個人投資家の時間軸はまったく違う
プロと個人投資家の時間軸はまったく違っています。プロは多くの場合、「短期間」で結果を残さなければなりません。具体的にいえば、決算期ごとに利益を残さなければならないのです。
たとえば、不動産ファンドであれば、「いまは結果(利益)が出ていないけれども、長期的に待つことにしよう」という判断をすることは、実質的に不可能でしょう。ほかの投資家からお金を集めて運用しているからです。
また、転売業者の場合、彼らが利用するローンの金利は5〜10%と高めですし、金利分だけを毎月支払って、元金は売却時に一括返済する「元金一括返済」という返済方法が、そもそも長期保有を前提としていないのです。
ですから、収益性の低い物件はどんどん売却して損切りしていかなければなりませんし、景気が悪くなって物件価格が下落すれば、大きな損失を被ることになります。
一方、個人投資家は、投資を長期的な視点で考えることが可能です。景気が悪くなって物件価格が下落しても、すぐに家賃を下げなければいけないわけではありません。家賃収入を得ながら、景気の回復を待つこともできます。
しかも、毎月のローンさえ支払うことができれば、確実にローン残高は減っていき、自分の「資産」になっていくのです。
個人投資家が投資の成功率を高める方法
また、個人投資家の場合、単に物件を長期所有するだけでなく、的確なリフォームやリノベーションなどで資産価値を維持しながら、長期投資の成功率を高めることが可能です。もちろん、リフォームやリノベーションをいつ行なうかも、すべて自分で判断することができます。
余談になりますが、リフォームやリノベーションを成功させるポイントとしてあげられるのは、まず間違いのない業者選びでしょう。リフォームやリノベーションをすれば、入居者を獲得しやすくなる一方で、それにかかる費用を回収しなければならないのも事実です。
ですから、リフォームやリノベーションにおいても、シミュレーションを重ね、資金計画を立てた上で行なうことが大切です。施工技術にすぐれていることはもちろん、そうした資金計画づくりにおいても、安心して相談することのできる実績豊富な専門業者を探しましょう。
そうした業者選びにおいても、「しがらみ」なく自分の目で業者を選ぶことができる個人投資家に強みがあると言えるかもしれません。
「割安で買わなければいけない」わけではない
不動産投資で必ず言われるのが、「割安な物件を買わなければいけない」ということです。簡単に言ってしまえば、その物件の資産価値よりも安い価格で購入することが不動産投資で成功するための秘訣だということです。
これは、プロの転売業者にとっては必須のことといえるでしょう。購入価格よりも高く売らなければ利益が出ないからです。
ですが、個人投資家の場合、割安な価格で買うことは絶対条件ではありません。先ほどもお話ししたように、一定の家賃収入があって、毎月のローンを支払っていければ、景気が回復して物件価格が上昇するのを待って売却することもできます。
買った価格以下で売っても利益は出せる
しかも、「買った価格以下で売っても儲けることができる」のが、もうひとつの個人投資家の強みです。
たとえば、毎月の賃料が20万円入ってくる3000万円の物件を10年間保有したとします。
10年間の家賃収入は、20万円×12カ月×10年=2400万円となります。もちろん、そこから管理維持費など多くの経費を支払わなければなりませんが、10年間でそれだけの収入を得られるのであれば、物件が古くなって売却価格が下がったとしても、トータルで利益を出すことは決して無理なことではありません。
少し乱暴な言い方かもしれませんが、物件購入のために金融機関から借り入れたローンの返済を賄える家賃が入ってくれば、その物件は『投資的価値がある』と言えるでしょう
多少高値で物件を買ってしまったとしても大丈夫
個人投資家は、物件を買う力でプロに勝つことはできません。
ですが、個人投資家は、そこでプロと勝負をする必要はないのです。なぜなら、多少高値で物件を買ってしまったとしても、時間という武器を利用することができるからです。
繰り返しになりますが、ローン返済を続けていければ、時間の経過とともにローン残高は確実に減って、購入した物件はご自身の資産となります。時間は、個人投資家にとって強い味方なのです。
ただし、大前提として、購入する物件には「資産価値」がなければなりません。「資産価値」がある物件とは、どういうものなのか。また、「資産価値」がある物件を入手するにはどうしたらいいのかといったことについては、また機会を改めてお話したいと思います。
(参考記事)
「頭金ゼロで不動産投資を始めた人の末路」
「いま不動産投資を始めるのは得か損か? 投資時期を判断するポイントは?」
この記事を書いた人
株式会社FP-MYS代表取締役社長兼CEO
1982年北海道生まれ。北海学園大学法学部卒業後に上京し、資格試験予備校、不動産会社、建築会社を経て、2016年6月にFintechインキュベーション「FINOLAB」入居。翌月に株式会社FP-MYSを設立。 ファイナンシャルプランニング(FP)を通じて、Fintech領域のリテラシーを上げたいと考える個人、FP領域を活用して、Fintechビジネスを開始、発展させたいとする法人のアドバイザーやプロダクトの受注を請け負っている。執筆実績多数。