先輩投資家たちに学ぶ、空き家投資のボロ物件に客付けする方法
高橋 洋子
2016/08/18
不動産会社に客付けを依頼するときのコツ
前回は空き家投資には3つの大きなリスクがあることをお伝えしましたが、それらのリスクにはどうやって対応していけばいいのでしょうか。今回は、「空室リスク」について考えてみましょう。
空き家を再生させたところで、借り手が見つからなければ、お金は一向に入ってきません。借り手を見つけるには、不動産会社、つまり仲介業社に客付けを依頼します。仲介には、複数の業者に依頼できる「一般媒介」と、1社に任せる「専任媒介」の2パターンがあります。
一般媒介なら、複数の業者が入居者を探してくれるというメリットがありますが、専任媒介で扱っている物件を優先されてしまうデメリットもあります。まずは一般媒介でよさそうな業者を見つけ、そのなかで期待に応える働きをしてくれた業者に、次から専任媒介で依頼するのがいいでしょう。
仲介業社にも得意分野がある
仲介業者のなかには、築年数のたった中古物件をリノベーションしたものを専門に仲介しているところがあります。私が取材した投資家のうちの何人かが、こうしたリノベーション物件の仲介を得意としている業者に自分の物件を任せていて、「1組目で決めてくれた」「1カ月もたたずに決めてくれた」と話していました。ぜひこのような仲介業者を見つけて、いい関係を築いていきたいものです。
また、借り手を早く決めるために、家賃を相場よりも下げたり、入居者にプレゼントとしてお米や自転車を付けたり、仲介業者にキックバックとしてお礼を渡したりといった工夫を凝らしている投資家もいます。
のんびりしていたら、「半年たっても空室のままで焦った」ということにもなりかねません。これらの工夫はマネしたいものです。
常識破りの客付け方法を試してみる
仲介業者を通しても、なかなか入居者が見つからない場合は、自分で探してもいいのです。ここでは、本書に登場する空き家投資家の方々のプロとしての客付け方法を紹介しましょう。
(1)手づくりのチラシや物件情報をポスティング
手づくりのチラシを、各戸の郵便受けに直接投函します。狙い目は自分が所有している物件より、ややランクが落ちる家です。「家賃○万円、○○付き、駅から徒歩○分、間取り○㎡、ペット可、駐車場あり」と、投函先の家にはなさそうな興味を誘う魅力的なポイントを書き、物件の写真や間取り図を入れたチラシにします。
チラシのつくり方については、コピー用紙に手書きでチラシをつくってコピーしたり、パソコンで詳しい物件情報をつくって印刷したりといろいろな方法が考えられます。つくり方もそれぞれで、これらを何千部、何万部と用意して配布するわけです。
また、物件ごとに名刺やチラシを作成して、会う人ごとに配ったり、街の掲示板にA4サイズのチラシを掲示したりといったケースもありました。たとえば「犬の里親を探しています」というチラシの下を選んで、「戸建て、ペット可」というチラシを張っておくと、問い合わせが結構あるそうです。これには、「なるほど、そんな手があったのか」と感心しました。
もちろん、街の掲示板には、自治体ごとに規約がありますから、それを守って掲示しなければなりません。
(2)インターネットで入居者を探す
若い学生や社会人の単身者、ファミリーなど、入居者になりそうな人の多くは、インターネットを駆使して物件を探していますから、こちらもインターネットを活用したいものです。
利用できるサイトには、次のようなものがあります。
・ジモティー( http://jmty.jp/ )
この掲示板サイトでは、地元の人に向けて貸したい物件の情報を掲載できます。広告費は無料です。ジモティーに掲載したら、3時間後に入居希望者から連絡があったというケースがありました。
・ミクシィ( https://mixi.jp/ )
このコミュニティサイトに書き込んで、入居希望者から連絡を直接もらった人もいます。遠隔地のため内覧に立ち会えなくても、メールや電話で連絡を取り合って、物件を見てもらい、先方が気に入ったら契約書を郵送して、1部返送してもらいます。
物件ごとにブログを立ちあげて直接募集
所有する空き家ごとに、物件ブログを立ち上げている投資家もいます。ブログに地名と家賃、間取りなどの詳細を明記しておくことで、掲載した物件へのアクセス数を増やしています。
たとえば「吉祥寺、駅から徒歩15分、家賃○万円、ペット可、○○ハウス」と書いておきます。すると、吉祥寺でペットと一緒に住みたいと思っている人の多くが、このうちのどれかの言葉を使ってネット検索をしているため、所有する物件にヒットする可能性が高くなるというわけです。
入居者が見つかっても、ほかにも住みたいという希望者がいれば、連絡先を聞いて「ウェイティングリスト」を作成しておきます。最初の入居者が退去すれば、次の順番の人に連絡をすればよく、新しい入居者を探す手間を省けます。
ぜひみなさんも、さまざまな方法を試してみてください。
この記事を書いた人
暮らし研究所エメラルド・ホーム代表
暮らしのジャーナリスト・ファイナンシャルプランナー 1979年岐阜県生まれ。 情報誌の編集、フリーライターを経て現職。空き家をリノベーションし、安くマイホームを購入した経験から、お得なマネー情報の研究に目覚め、ファイナンシャルプランナーの資格を取得。講演・執筆・FP相談を通じて、家探しの基本から中古住宅の価値向上とリノベーションの魅力を伝えている。空き家活用に関するセミナーは3年でのべ2000名が参加し、「わかりやすくて、おもしろい。勇気がもらえる」と幅広い世代から好評を得ている。著書に『家を買う前に考えたい! リノベーション』(すばる舎)、『100万円からの空き家投資術』(WAVE出版)など。