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満室スターチャートで考える! 空室対策を成功に導く5本の柱

尾嶋健信尾嶋健信

2016/08/03

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賃貸経営には「空室対策」と「満室対策」が必要

前回、賃貸経営には「空室対策」と「満室対策」というふたつの対策が必要だとお話ししました。簡単におさらいしておきましょう。

空室対策とは、空室になっている賃貸物件に新規客を入居させる対策のこと。満室対策とは、満室になっている賃貸物件から継続客を退去させない対策のことです。

私は、賃貸事業者さん向けの賃貸経営セミナーで、「満室スターチャート」という図を使って空室対策を説明しています。ここでもこの図をお見せしながら、私が推奨している空室対策について解説していきましょう。

空室対策は5つの柱で成り立っている


(図1)満室スターチャート

私が推奨する空室対策は、次の5つの柱で成り立っています。

(1)ハード
 部屋の間取り、造り、材質、付帯設備、共用部など、賃貸物件のハードウェアに関する対策。
(2)ソフト
募集対象や募集条件、ネーミング、賃料、敷金、礼金など、賃貸物件のソフトウェアに関する対策。
(3)マーケティング
 広告宣伝、賃貸情報サイト、ライバル物件、不動産仲介業者とのリレーションなど、マーケティング全般に関する対策。
(4)チーム力
 仲介業者営業マン、管理会社担当、リフォーム業者、オーナー(大家さん)という、賃貸物件に関わる人々のチーム力に関する対策。
(5)大家力(おおやりょく)
 時間管理、ITリテラシー、塾・セミナー・勉強会、ソーシャルネットワーク、情報収集など、賃貸経営事業者であるオーナー自身の力量に関する対策。

これら5つの柱のうち、(4)チーム力と(4)大家力は、空室対策としての即効性はないものの、賃貸経営ビジネスを継続していくうえで欠かすことのできない、ベースとなるもの。日々の努力と積み重ねこそが大切です。そこで、私の賃貸経営セミナーでは、受講生の皆さんに「日々、ご自身のなかで継続して高めていってください」とお話ししています。

即効性のある3つの対策

一方、空室対策として即効性があるのが、(1)ハード、(2)ソフト、(3)マーケティングという3つの対策です。

まず、(1)のハード。部屋そのものをきちんとリフォームして、「売れる商品」に仕上げなければいけません。

賃料を抑えるために、必要最低限のリフォームを行なうのか。あるいは、付加価値を高めるために、リノベーションに近いレベルにまで大幅に改装するのか。リフォームの方向性は、物件のロケーションやターゲットとなる顧客層によって違ってきますが、いずれにしても、賃貸物件としての魅力を十分アピールできるような、商品価値の高い部屋に仕上げる必要があります。中途半端なリフォームがいちばんいけません。

次に、(2)のソフト。売れる商品をつくったら、今度は「売れる値づけ」をしなければなりません。部屋をどんなに素敵にリフォームしたとしても、賃料や敷金・礼金といった値づけが適正でなければ、入居者を見つけるのはむずかしいでしょう。その地域の家賃相場や不動産取引の動向を勘案しながら、適正な値づけを行なわなければいけません。

売れる商品をつくり、売れる値づけをしたら、今度はそれを賃貸住宅市場で広くアピールして、家を借りたいと思っている人に情報として伝えなければなりません。すなわち、(3)のマーケティングがきちんと機能していることが重要になるわけです。

こうして、自分の所有するそれぞれの賃貸物件について、(1)ハード、(2)ソフト、(3)マーケティングという3つの対策が正しく行なわれているのかどうか、オーナーは常にチェックしておかなければなりません。

空室が埋まらない物件には「内見」がない

3つの対策が適切に行なわれているかどうか、簡単に確認する方法があります。それは、その物件に対して、内見があるかどうか。専門用語でいえば、「内見が取れているか」です。

内見とは、改めていうまでもありませんが、入居希望者が建物内部を見学して、いろいろな部分を自分の目でチェックすること。実際に部屋を見ないまま賃貸契約する人はほとんどいませんから、空室が入居者で埋まる前段階として、必ず内見が発生することになります。逆に内見がなければ、空室が埋まるはずはありません。

私は、長年空室対策に取り組んでいますが、私の見る限り、空室が埋まらない最大の要因は、内見が取れないことです。内見がないのは、いってみれば、賃貸住宅市場に商品が出ていないのと同じこと。市場に出回っていない商品に、買い手がつくはずはありません。先ほどの(1)(2)(3)でいえば、(3)のマーケティングに大きな穴があるわけです(ほかのふたつにも問題がある可能性はありますが…)。

ところが、賃貸物件オーナーの多くは、内見の有無をきちんとチェックしないまま、空室の埋まらない理由が別のところにあると考えがちです。その結果、「部屋(ハード)に問題がある」と考えて過剰なリフォームを行なったり、「賃料(ソフト)が不適切である」と考えていたずらに賃料を下げるなどして、かえって経営状態を悪化させてしまうケースが少なくありません。

では、自分の物件でまず内見を取るには、どうすればいいのか。そのテーマについては、次回で考えてみたいと思います。

 

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この記事を書いた人

満室経営株式会社 代表取締役

1970年、神奈川県逗子市生まれ。青山学院大学経営学部卒業。 大学卒業後、カメラマン修行を経て、実家の写真館を継ぐ。その後、不動産管理会社に勤務。試行錯誤の末、独自の空室対策のノウハウを確立する。 2014年時点で、500人以上の大家さんと4000戸以上の空室を埋めた実績を持つ。著書に「満室革命プログラム」(ソフトバンククリエイティブ)、「満室スターNO1養成講座」(税務経理協会)がある。 現在、「月刊満室経営新聞(一般社団法人 日本賃貸経営業協会)、「賃貸ライフ(株式会社 ビジネスプレス出版社)」にコラム連載中。 大前研一BTT大学不動産投資講座講師。

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