ウチコミ!タイムズ
賃貸経営・不動産・住まいのWEBマガジン
「事故物件ロンダリング」が行なわれることも

事故物件の告知義務ルールを悪用したケースに要注意!(1/2ページ)

尾嶋健信尾嶋健信

2016/05/25

  • Facebook
  • Twitter
  • LINE
  • Hatebu

非常にあいまいな告知義務のルール

宅地建物取引業法(宅建業法)の規定により、宅地建物取引業者は売り主(借り主)に対して、重要事項の告知義務があります。ですから、前回お伝えしたように、不動産業者が事故物件を販売・賃貸する場合、本来であれば、事故物件であることを買い主(借り主)に告知しなければなりません。

「その物件で過去に人が異状死した」という事実は、過去の判例においても心理的瑕疵と認定されていますから、宅建業者としては当然、重要事項として売り主(借り主)に告知しなければなりません。

とはいえ、人が亡くなった事故や事件について、「過去」にどのくらいまでさかのぼって告知すればいいのか、明確なガイドラインは決まっていません。また、どこからどこまでを「異状死」と見なすかについても、明確な線引きがあるわけではありません。

どこからが「異状死」に当たるのか

ここまでは、前回お話した通りです。では、たとえば、どこまでを異状死と見るかについてですが…。

仮に、あるアパートの一室で、持病のあるお年寄りが孤独死して、それを3日後にホームヘルパーが発見したとしましょう。こうした場合であれば、おそらく異状死とは扱われません。法医学的にはさておき、不動産業界的には、あくまでも病死(自然死)と見なされ、この件に関する告知義務はないと判断されるはずです。

不動産業界で長年生きてきた私の感覚でいえば、死後1週間から10日以内に発見された老人の孤独死は、おそらく異状死とは見なされないはず。死後2週間以上経っていて、しかも死体が腐乱していたり、ミイラ化していたりしたときにはじめて、その部屋は「事故物件」と呼ばれるのです。

マンションのある部屋の住人が室内で首を吊って自殺した場合、その部屋はもちろん、事故物件になります。しかし、そのマンション全体については、事故物件とは見なされません。また、地上8階の部屋から住人が投身自殺した場合、その部屋を事故物件として扱うかどうかは、業者によって対応が異なります。

もちろん、宅建業法の建前からいえば、買い主や借り主にきちんと告知するべきでしょう。しかし、「その部屋で人が死んだわけではないから」と、あえて口をつぐんでしまう業者がいるのも事実です。

さらにいえば、その人がその部屋から直接飛び降りたのではなく、屋上まで上がってから飛び降りたのだとのだすれば、自殺の事実を告知する業者はずっと少なくなるような気がします。そもそも、マンション共用部分については告知義務がないとの意見もあります。

事故物件に対する告知義務をどう判断するかは、このようにグレーゾーンがきわめて大きいのです。

次ページ ▶︎ | 事故物件もロンダリングされる?

  • Facebook
  • Twitter
  • LINE
  • Hatebu

この記事を書いた人

満室経営株式会社 代表取締役

1970年、神奈川県逗子市生まれ。青山学院大学経営学部卒業。 大学卒業後、カメラマン修行を経て、実家の写真館を継ぐ。その後、不動産管理会社に勤務。試行錯誤の末、独自の空室対策のノウハウを確立する。 2014年時点で、500人以上の大家さんと4000戸以上の空室を埋めた実績を持つ。著書に「満室革命プログラム」(ソフトバンククリエイティブ)、「満室スターNO1養成講座」(税務経理協会)がある。 現在、「月刊満室経営新聞(一般社団法人 日本賃貸経営業協会)、「賃貸ライフ(株式会社 ビジネスプレス出版社)」にコラム連載中。 大前研一BTT大学不動産投資講座講師。

ページのトップへ