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失敗しない物件選びの基礎知識(10)

融資条件や間取り、築年数はどこまで妥協できるのか

枦山 剛

2016/03/14

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融資条件はどこまで譲歩できるのか

 投資用物件を探す上で、100パーセント満足のいくものが見つかることはありません。それでも投資をするのであれば、何かしらの譲歩、妥協が必要になってきます。とはいえ、間違った妥協は失敗を招きます。ここでは、多少の譲歩が許されるとすればどんなポイントなのか、また譲歩する際にはどんなことに注意すればいいのか考えてみましょう。

 まずは融資についてです。豊富な自己資金がない場合は、どうしても融資に頼らざるを得ません。融資を組みやすい金融機関を探すことは重要ですが、条件面で多少の妥協をすれば、借り入れ先の選択肢は多くなります。融資を受けられるならどんな条件でもいいというわけにはいきませんが、妥協をすることで「融資が受けられない」という事態を避けられる確率は高くなります。

 たとえば、低金利や返済期間の長さなどにこだわりすぎると、買い手にとっていい条件になることが多い売り急ぎ物件 (*)などは、ほかの投資者に先取りされてしまいます。かといって、条件のいい物件だからと融資条件を無視して、とにかく買ってしまうという判断は避けるべきです。それをすると投資は必ずといっていいほど失敗するからです。

(*)売り急ぎ物件:急に現金が必要になったなど何らかの事情で、持ち主が売り急いでいる物件

 融資条件については、多少の譲歩が許されるところではありますが、短期所有か長期保有かインカムゲイン狙いなのかキャピタルゲイン狙いなのか、投資の方針を明確に決めることが大切です。その上で収支シミュレーションを行なって、投資の収支についてしっかり見きめた上で、物件の購入を優先するのか、融資条件を優先するのかバランスの取れた判断をしてください。

 また、融資条件については返済途中で借り換えを検討したり、社会情勢により金利交渉をして借り入れ金利を下げたり、借り入れしたときだけではなく、フレキシブルに策を講じましょう。

間取りは将来の変更が可能

  次に、物件の間取りについてです。間取りのトレンドは年とともに変化するものですから、将来的な間取りの変更も視野に入れておけば、まずは手ごろな賃料設定で賃貸に出し、後々、間取りを変更するという戦略を取ることもできます。

 リフォームやリノベーションによって物件の競争力を高めることができれば、家賃を上げることも可能なので、間取りに関しては固執する必要はありません。しかし、リフォームやリノべーション投資を避けたいのであれば、近年は和室がある部屋やLDKのない物件は空室率が高くなっていますので避けたほうがいいでしょう。

 特に一軒家の場合、物件の工法によってはリフォームに制限があるので、工法について確認をしたうえで投資の可否を判断することをおすすめします。

築年数よりもメンテナンスの状態が大事

 ここから紹介するのは、不動産投資において譲歩しても大きな問題にはならないであろうというポイントです。もちろん、理想に近ければいいのですが、それほど優先すべきではない部分です。

 まずは築年数です。これまでも話は出てきましたが、一般的に新築・築浅と比較して中古物件は利回りが高くなります。築年数そのものよりも、物件の状態がどうか、メンテナンスがしっかりされてきているかどうかをしっかり見きわめましょう。特に機械式の立体駐車場やエレベーターなどは、状態が悪いと高額な修理費用が発生しますので注意が必要です。

 例外としては旧耐震(1981年以前に建てられた物件)のもの。旧耐震に関して融資が厳しくなるので、初心者向きではありません。

 また、古い物件のなかには建物の外観が傷んでしまっているものもあります。建物の構造や強度に問題なければ、改修することで見栄えをよくすることができます。外観工事にコストをかけても、収支計画上は問題がない、または売却時のキャピタルゲインで取り返せる見込みが高い物件であれば、購入タイミングでの外観工事を選択肢のひとつとして考えられます。外観があまりよくないことで価格が下がっている物件を購入し、工事をしてから賃貸に出すのはよくあることです。

 同様に室内の設備についても、購入時に素晴らしいものがついている必要はありません。最近の入居者が好むオートロックやIHクッキングヒーター、トイレのウォシュレットなどはそれほど高価ではないので、後からの取り付けが可能です。

立地によって優先すべきポイントが変わる

 最後に、都市部の物件と郊外の物件について、それぞれの優先すべき点と譲歩できる点についてお話ししましょう。

 まず都市部においては駅からの距離は譲歩できないポイントですが、郊外では譲歩しても大きな問題にはなりません。都市部の物件を探している入居者は、賃貸物件のポータルサイトで「どこどこの駅から徒歩何分以内」という条件で検索するので、そこから漏れるような物件だと埋もれてしまいます。

 逆に郊外の物件で必須になるのが、駐車場です。公共交通機関の便が悪かったとしても、車があれば大丈夫というのが郊外を狙う入居者の特徴のひとつですので、車が足となりそうなエリアでは駐車場のある物件を選びましょう。都市部では駐車場の優先順位は低くなります。ただし、近隣に大型工場や大学などがあり賃貸物件の需要がこのような施設から発生している場合は、施設が撤退になると入居者が激減しますので注意しましょう。

 ここでは、不動産投資を行なう上で、ある程度は譲歩が可能な点についてお話ししました。もちろん、投資者自身の投資についての考え方もあるので一概にはいえませんが、ここでお伝えしたポイントをひとつの目安として、物件の状況と照らし合わせて購入を検討してみてください。

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この記事を書いた人

建創パートナーズ株式会社 代表取締役

1973年、横浜生まれ。中学卒業後に大工、建設業、鉄工業などを経て、97年、若干23歳の時に鉄工業で創業する。大手ゼネコン5次下請けからスタートし、最終的には総合建設業者として大手ゼネコン5社の内2社、準大手ゼネコン5社、財閥系商社、建材メーカー、設計事務所、他数百を超える顧客と直取引するまでになり職人100人前後を抱える。同じころ飲食店、建設業専門経営コンサルタント業などを行なう関連会社3社も経営し、事業の多角化を行なう。 その間、約24年で多くの大型開発工事、投資用マンションとアパート建築、高層ビル建設、公共施設工事、メーカーの建材開発に携わり新施工法や新製品の商品化に貢献し徹底した品質管理と原価構造を学ぶ。しかし、拡大路線が裏目に出て廃業に至る。これを契機に経営者としての人生を徹底的に見つめ直し、顧客と社員と自身の相互利益を探求し学ぶ。 その後、不動産コンサルティングの業務に魅了され転身。 業界の活性化や顧客満足度の向上を阻む建設業界や不動産業界の古い慣習と収益構造に疑問を持ち、既成概念にとらわれない顧客サービスを模索し経営方針を固める。 総合建設業、不動産コンサルタント業、経営コンサルタント業を行なう建創パートナーズ株式会社の創業に参画し、代表取締役に就任する。 現在、「経済活動を通し社会の不満、不便、不安を解消する」を経営方針に掲げ、顧客と企業の相互利益がかなうビジネスモデルを手掛け、建設と不動産に関わるすべての業界に変革を呼びかける。 (保有資格) 不動産系 1. 宅地建物取引士 2. 管理業務主任者 不動産コンサル系 1. 不動産コンサルティングマスター (合格後未登録) 2. 住宅建築コーディネーター 3.賃貸不動産経営管理士 4. 既存住宅アドバイザー 建築系 1. 一級建築施工管理技士 2. 監理技術者資格者証 3. 監理技術者講習修了証 4. 建築物石綿含有建材調査者 5. 特殊建築物調査資格者 6 マンション健康診断技術者 7. ブロック塀診断士 8. 建築仕上診断技術者 金融系 1. 貸金業取扱主任者 2. 住宅ローンアドバイザー ほか、損害保険募集人資格4種保有 その他 1. 相続診断士 2. 上級個人情報保護士 ほか、労働安全衛生法による資格16種保有

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