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失敗しない物件選びの基礎知識(9)

不動産投資で儲けたいなら妥協してはいけないこと

枦山 剛枦山 剛

2016/03/14

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絶対に妥協できない「不動産会社選び」

不動産投資をするにあたり、最も妥協してはいけないのは、不動産の仲介をしてくれる不動産会社(担当者)です。物件探しだけではなく、投資の方法などさまざまな相談の窓口となってくれる不動産会社選びを妥協してしまうと、投資自体の成功率も低くなってしまいます。投資初心者にとって、信頼できるブレーンを見つけることは何よりも大切なことです。

不動産会社のなかでも投資物件を専門に扱っている会社か、投資物件の専門担当者を置いている会社を選びましょう。投資物件を片手間に扱っている会社のなかには、利回り計算やキャッシュフロー計算ができない、物件を所有している間にかかる諸経費のことを理解していない、といった会社もあります。また、それだけでなく物件の隠れた瑕疵を見抜くスキルも経験も不足しているので、投資者への適切なアドバイスができないにもかかわらず物件購入だけをすすめてくる会社も多いのです。

そもそも、このような会社から物件を購入するのはおすすめできませんが、もし購入するとしても、初心者ではなく、何棟か所有して物件の選別やリスクを見抜く経験や能力のある経験者でないと購入後に後悔するような結果を招きます。

投資物件で大事なのは「積算価格・実勢価格」

次に妥協できないポイントは、不動産の評価です。まず積算価格(土地と建物を分けて現在の価値を評価し、それを合わせた評価額のこと。土地は路線価や工事価格から評価、建物は残存期間などから評価します)は融資額に大きく影響してきます。

この積算価格が高いと実勢価格よりも銀行評価が高くなることもあり、フルローンで物件を購入できる確率が高まります。借り入れ購入が前提であれば、特に土地は値崩れを起こしづらいので、土地の積算価格ができるだけ売買価格に近い物件を選ぶようにしましょう。

もちろん、実勢価格(売買価格)も重要です。実勢価格が高いと、利回りが小さくなってしまいます。利回りについては、表面利回りではなく諸経費も含めて割り出したキャッシュフローが大切になります。

不動産投資の目的は、投資を通して少しでも多くの利益を出すことです。その利益の目安となるのがキャッシュフロー、手元にどれだけのお金が残っているかです。融資の条件次第で、同じ実勢価格の不動産でもキャッシュフローにおいては大きな違いが出ることがありますので、注意が必要です。

たとえば、全額借り入れ購入の場合、利回りが9パーセントだとしても金利が2.5パーセントであれば利ザヤは6.5パーセントですが、利回りが10パーセントあっても金利が4パーセントだと利ザヤは6パーセントになってしまいます。とはいえ、これはインカムゲインを重視している場合です。キャピタルゲイン狙いや、そもそも資金が豊富な場合はキャッシュフローについては優先順位が低くなります。

意外に妥協できない「道路付け」

意外かもしれませんが、建物そのものよりも妥協したくないのが、建物(土地)と道路の接地部分である「道路付け」です。敷地と前面道路の関係性により、建物の面積・条件などが決まってくるので、この「道路付け」が不利ですと将来的にさまざまな問題が出てきます。

再建築不可物件はほかの記事でもご紹介したように、まず初心者が手を出すべきものではありません。そして、土地の形状・道路と敷地の関係については、後々解体して新たな建物を建てる場合や増築する場合に大きな影響が出てくるので、しっかり下調べをしておきたいところです。

入居者にとっては大きな問題ではないので、間取りや駅からの距離を優先すべきというケースもありますが、売却の可能性や、買い替え、建て替え、さらに将来的に大きな投資を狙うのであれば、道路付けは妥協すべきではないポイントになります。

キャピタルゲインを狙うのであれば…

初心者がある程度、投資をして売却するときの利益(キャピタルゲイン)を狙うのであれば、5000万円超の不動産は避けるべきかもしれません。というのも、この価格帯は融資が組み立てにくいこともあり、投資プレーヤーが減り、売却がむずしいといわれているからです。ただし、利回りの低い人気のエリアやフルローンのつく物件、都心の高層タワー等の流通性が高い物件は除いての考えです。

もし自分が購入者だったとしたら「どれくらいの利回りの物件にどれくらいの購入資金をつぎ込めるか」を考えるはずです。それを自分が購入しようとしている物件の5年後・10年後に当てはめて検討すると、売却が狙えそうな不動産かどうかがわかってきます。つまり、物件を購入する時点で、「5年後、10年後にこの物件を自分が買いたいと思うかどうか」を考えておくとが、将来のスムーズな売却と損をしない投資につながるといえます。

購入価格については何年後にいくらなら売却できるのかを査定して、手にしたい利ザヤを差し引いた金額で購入する必要があります。予想売却価格から利ザヤを差し引くということです。

 

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この記事を書いた人

中学卒業後に大工、建設業、鉄工業などを経て、97年、若干23歳の時に鉄工業で創業する。大手ゼネコン5次下請けからスタートし、最終的には総合建設業者として大手ゼネコン5社の内2社、準大手ゼネコン5社、財閥系商社、建材メーカー、設計事務所、他数百を超える顧客と直取引するまでになり職人100人前後を抱える。同じころ飲食店、建設業専門経営コンサルタント業などを行なう関連会社3社も経営し、事業の多角化を行なう。 その間、約24年で多くの大型開発工事、投資用マンションとアパート建築、高層ビル建設、公共施設工事、メーカーの建材開発に携わり新施工法や新製品の商品化に貢献し徹底した品質管理と原価構造を学ぶ。しかし、拡大路線が裏目に出て廃業に至る。これを契機に経営者としての人生を徹底的に見つめ直し、顧客と社員と自身の相互利益を探求し学ぶ。 その後、不動産コンサルティングの業務に魅了され転身。 業界の活性化や顧客満足度の向上を阻む建設業界や不動産業界の古い慣習と収益構造に疑問を持ち、既成概念にとらわれない顧客サービスを模索し経営方針を固める。 現在、「経済活動を通し社会の不満、不便、不安を解消する」を経営方針に掲げ、顧客と企業の相互利益がかなうビジネスモデルを手掛け、建設と不動産に関わるすべての業界に変革を呼びかける。 (保有資格) 不動産系 1. 宅地建物取引士 2. 管理業務主任者 不動産コンサル系 1. 不動産コンサルティングマスター (合格後未登録) 2. 住宅建築コーディネーター 3.賃貸不動産経営管理士 4. 既存住宅アドバイザー 建築系 1. 一級建築施工管理技士 2. 監理技術者資格者証 3. 監理技術者講習修了証 4. 建築物石綿含有建材調査者 5. 特殊建築物調査資格者 6 マンション健康診断技術者 7. ブロック塀診断士 8. 建築仕上診断技術者 金融系 1. 貸金業取扱主任者 2. 住宅ローンアドバイザー ほか、損害保険募集人資格4種保有 その他 1. 相続診断士 2. 上級個人情報保護士 ほか、労働安全衛生法による資格16種保有

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