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いまさら聞けない融資と資金の基本(3/11)

不動産投資ローンの申し込み手続きはこうする

赤石崇士赤石崇士

2016/02/24

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金融機関との交渉はどう進めればいいのか

現金で不動産を購入できればローンのお世話にはならないのですが、不動産は高額であり、ローンを組んで不動産投資をスタートする人がほとんどです。

また、融資を受けることで、手持ちの資金が少なくても効率よく資産形成することも可能になります。ですから、不動産投資を考える上では、ローンとどのようにつきあっていくかはとても大事なことです。

金融機関との融資に関する交渉をどう進めればよいのかということは、不動産投資初心者にとって大きな関心事ではないでしょうか。

事前審査や契約など、直接、金融機関とやりとりしなければならないことは当然ありますし、必要書類を揃えるなど、実際に手を動かさなければならないことはありますが、基本的には不動産会社が間に入ってくれるので心配はいりません。必要な書類の確認や提出といった多くの部分は、不動産会社が窓口になってくれる場合がほとんどです。

すべての不動産会社がベストな提案をしてくれるわけではない

また、特に投資用の不動産に特化している不動産会社であれば、不動産投資用ローンの窓口となる金融機関と提携しているはずです。また、そうした不動産会社の(優秀な)担当者であれば、「この物件で、この属性であれば、この金融機関ならローンが通るだろう」という目利きが利くはずですから、気に入った物件が見つかったけれど、結局、融資が通らなかったということになるリスクを軽減することができます。

もちろん、最終的な融資の可否の判断は金融機関が行ないますが、融資が受けられそうかどうか、金利や借入期間はどれくらいになるかといったことは、(優秀な)不動産会社の営業マンであれば、ある程度は見込みをつけられるはずなので、ブレーンになってくれる融資に強い不動産会社や営業担当者を見つけることができれば心強いのではないでしょうか。

ただし、不動産会社によって提案してくれる金融機関の選択肢の幅が異なります。どの不動産会社でも自分にとってベストな提案をしてくれるとは限らないことには注意が必要です。

不動産投資用ローンは専門性が高いことから、「不動産ローンの審査」の項目でも紹介した通り、専門家の協力があったほうがスムーズに進みます。不動産会社だけでなく、不動産の融資に強いファイナンシャルプランナー(FP)や税理士などの専門家に相談してみるのもおすすめです。

不動産会社のいいなりになってはいけない

収益性の高い物件というのは当然、購入希望者も多く、早い者勝ちの世界です。長く不動産投資をやっている人のなかには、信頼している営業担当者に、すべての書類(源泉徴収票もしくは確定申告書、現在抱えているほかのローンの残高証明書や通帳の写しなど)を渡してしまい、優良物件が出た瞬間にすぐ押さえてしまうという人もいます。

しかし、そうしたやり方は、特に初心者にはおすすめできません。不動産会社のいいなりになって物件を買い急いでしまうと失敗する可能性が高くなるからです。残念なことですが、業者のなかには「売れればいい」とばかりに、たとえ収益性の低い物件であても、属性の高い人を狙い撃ちにして言葉巧みに売り込もうとするところもあるのです。

前述したように、不動産投資の世界は早い者勝ちという側面が確かにあるのですが、不動産投資初心者のところに、すぐさま押さえなければいけないような超優良案件の情報が回ってくることはまずありません。ですから、繰り返しになりますが、くれぐれも買い急ぐことのないようにしてください。

気になる物件があったときには、物件を早く押さえることよりも、金利、借り入れ期間などの融資条件を加味した収支のシミュレーションを行なってみるなど、じっくりと吟味することをおすすめします。

その上で、ご自身で金融機関にアプローチしてみたり、融資に強いファイナンシャルプランナー(FP)などの専門家に相談してみたりすることは、不動産投資家としての大きな成長につながるのではないでしょうか。

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この記事を書いた人

公認会計士、税理士

1994年、大阪大学経済学部卒業後、東証1部上場の印刷会社に入社、営業部、経理部に所属。2004年に公認会計士2次試験合格後、監査法人および併設税理士事務所に勤務。09年9月に赤石会計事務所を開業。宅地建物取引士(試験合格)の知識や資産税の知識等を活かし、不動産関連の顧客を多数有する。 近畿税理士会下京支部研修委員を務めるほか、講演、研修も多数行なっている。

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