不動産投資にはほかの投資にはない特有のリスクがある
大倉修治
2016/01/28
ほかの投資商品にはない特有のリスクがある
投資商品を選ぶときは、その投資商品が持ついろいろなリスク(収益のブレ=不確実性があること)を事前に押さえておくことが大事です。
不動産投資には、ほかの投資商品にはない特有のリスクがあります。事前にどんなリスクがあるかを把握し、それを見込んだ上で投資するかどうかの判断をしていく必要があります。
リスク1 市場リスク
不動産投資の収益の源泉となる賃料や不動産の価格は、不動産を取り巻くマーケットの環境(市況)の変化などによって変動することがあります。その結果、場合によっては収益(リターン)が悪化することがあります。
具体的には、景気の悪化などに伴い、投資対象となる住宅に対する需要が減り、価格や賃料が下落したり、空室率が上昇したりすることがあります(もちろん、これとは逆のことも起こり得ます)。事前の収支計画において、潜在賃料(現在の相場であればいくらで貸せるかといった前提での賃料)をよく確認しておくとよいでしょう。
借り手(入居者)がいなくなり、家賃収入がなくなることを「空室リスク」といいます。空室が出た際には、不動産会社を上手に活用し、なるべくその当該物件を見にきてもらう人の数(内見者数)を増やし、成約率を高めることに注力するといった対策が求められます。中長期的には、入居者の満足度を高めるために住環境を改善するなどの対策も必要です。
この空室リスクを避けるために、主にマンションへの投資では、「一括借上」といったシステムがあります。入居中・空室に関わらず家賃収入を保証(家賃保証)したり、入居者の募集やトラブルの解決や家賃を滞納している人への対応などの管理業務を行なうといったものです。一般的には、家賃収入のうちの一定割合を支払うことで利用することができます。ただ、その分、手元に残る収入は少なくなってしまいます。
不動産投資はほかの投資と比べて、投資家自身の裁量を働かせる余地が大きいことがメリットのひとつです。不動産投資に期待する収益、投資した物件に家賃保証してもらう必要があるかどうか、保証契約の内容などをよくふまえた上で、このシステムを利用するかどうかを決めたほうがよいでしょう。
リスク2 修繕リスク
建物そのものや設備の老朽化等に伴い修繕費用が発生するリスクがあります。特に築年数の進んだ中古物件などでは、給排水関係など想定外の修繕費用が発生することもあります。
一定の収益性を保つには、管理・運営の状況がポイントになるのはいうまでもありません。中長期的な修繕計画を立て、修繕に必要な資金を積み立てていくとよいでしょう。
築年数の進んだ中古物件などでは、給排水関係など想定外の修繕費用が発生することもあります。予期できないような修繕に対しては、損害保険を活用してリスクを転嫁するといった対策も検討したいところです。
次回(「金利変動等のリスクのほか保有コストも知っておこう」 http://sumai-u.com/?p=3504 )は残りのリスクについてご説明します。
(参考記事)
金利変動等のリスクのほか保有コストも知っておこう
http://sumai-u.com/?p=3504
この記事を書いた人
CFP、1級ファイナンシャルプラニンング技能士
DCマイスター、宅地建物取引士 1972年生まれ。立教大学卒業。学生時代はラグビー部に所属。 大手住宅メーカー、 住宅・マンションディベロッパー、外資系生命保険会社を経る過程で、お客様にとって「偏りのない納得性の高いアドバイス」を提供したいという思いから、20世紀末より、ファイナンシャルプランナー(FP)としての業務を始める。