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「ペット可」物件だからこそ、ペットに絡んだトラブルは起こる(2/2ページ)

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原状回復費用が100万円単位に!

ペット可物件では、ペットを飼う場合「敷金」が上乗せされるケースが多い。加えて「償却」が設定されることもある。例えば、敷金=上乗せ含め家賃3カ月分のうち、2カ月分はどんな場合も返還されないといった「敷引き」とも呼ばれるルールだ。

ただし、それによって「敷金を超える原状回復費用が発生してもそれからは逃れられる」と思ったら大間違い。敷金で賄えないレベルの損耗・毀損があれば、それは通常、追加の請求対象となる。国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」にも、「ペットにより柱、クロス等にキズが付いたり臭いが付着している場合は、賃借人負担と判断される場合が多いと考えられる」と、明記されているとおりだ。

猫を複数匹飼い、好き放題に壁や柱や天井(猫はエアコンにも乗っていた)で爪とぎをさせていた飼い主が、そのほかの汚損や破損も合わせて百数十万円もの請求を受けた例もある。

ベランダはトイレじゃない!

「犬にベランダで排泄させている飼い主がいる」——ペット可のマンションやアパートで時折聞く話だ。そのたび悪臭が発生するだけでなく、おしっこやフンのあとが床・壁にこびりつき、常時臭うようになったりもする。周りの住人が気付けば当然クレームにもなる。犬を毎日散歩に連れていけない人が、無理に犬を飼ってはいけないということだ。

「でもベランダには排水口があるから、とりあえずおしっこの場合は毎回念入りに水を流しておけばいいのでは」という人もいるが、それはNG。ベランダの排水口も、そこつながる排水管もトイレ用に作られたものではないのだ。管を通して建物内の広い範囲に迷惑が及んでいくこともある。

意外によくあるトラブル「実はペット可じゃなかった!」

入居者募集広告には「ペット相談」の文字がハッキリと。不動産会社(仲介会社)に聞くと、「おたくのワンちゃんは大丈夫です」と明言。ところが、入居したあとになって管理会社やオーナー(大家)から「いや、うちはペット不可です」——信じられないが、時折ある話だ。

原因の多くは意思疎通の不備だ。オーナー~管理会社~仲介会社と情報が行き渡るなかでミスがあったり、誤解が生じたりするとこうした事故が発生する。さらには、オーナー自身の決断がそもそも曖昧だったり、コロコロ気が変わったりといったこともある。 

同様に、「犬はいいけど猫はダメ(あるいはその逆)」や「小型犬はOKだけど中型犬以上はダメ」、「数は何頭まで」といった細かい部分でも行き違いは生じやすい。ペットを飼いたい人は、自分が飼っている(飼おうとしている)ペットがそこで本当に飼えるのか、間違いないのか、念入りに確認しておくことが重要だ。

これもよくあるトラブル「ペット可になったなんて聞いてないよ!」

オーナーや管理会社の手際の悪さが原因で、その物件が「以前はペット可じゃなかった」ことによるトラブルが発生することもある。ペット不可物件をペット可に変更したのに、以前からの入居者にそれが周知徹底されていなかったり、変更に納得していない入居者がいるのに見切り発車されていたりするのだ。ペットを連れて新たに入居した人が文句を言われたり、争いに巻き込まれたりすることがある。

実際に物件がそういった状況にある場合、住んでしまうとトラブルを避けるのはなかなか難しい。例えばペット可であっても、リードフックや犬の足洗い場の設置がないといった「条件だけがペット可」の場合、あとで嫌な思いをしないで済むよう、状況確認は入念にしておきたい。なお、同じ理由で、飼えるペットの種類や数などに行き違いが生じていることもある。

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この記事を書いた人

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賃貸住宅に住む人、賃貸住宅を経営するオーナー、どちらの視点にも立ちながら、それぞれの幸せを考える研究室

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