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賃貸住宅の入居者が「認知症」になったら――オーナーが頼るべき相談先(2/3ページ)

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知っておきたい「地域包括支援センター」の存在

賃貸住宅の入居者が認知症を患っていることは、クレームで表面化することがある。あるいは、いきなりの事故で発覚する。

部屋がゴミ屋敷化して臭いが漏れ出したり、キッチンからボヤが出たり、排水管にいろいろなものを流して詰まらせたりといったケースが、たびたび耳に入ってくる。あるいは、本人自身がクレーマーになることもある。

私の知る例では、「〇号室に夜間ガラの悪い人が出入りしている。怖いのでなんとかしてくれ」というものがあった。

しかし、それはまったくのあらぬ疑いで、実は本人の妄想に過ぎなかった。一方、その方の部屋はといえば、足の踏み場もない、すさまじいゴミ屋敷となっていた。

こういった場合、オーナーや管理会社は、まずは入居者の親族など、保証人や緊急連絡先に状況を知らせ、対応を考えてもらうことになるだろう。

ところが、ここでいきなり話が行き詰ってしまうこともある。

「家賃は滞りなく引き落とされているんですよね。だったらオーナーさん側で対応して」など、思わぬ非協力的な態度をとられることがある。

あるいは、「協力したいが、こちらもすっかり高齢で動きようにも動けない」といったケースもないわけではない。

そうした場合、どこが相談先になるのかを知らないというオーナーは意外に多い。どうすればいいか? 「地域包括支援センター」が頼りになるだろう。

同センターは、市町村および特別区(東京)の責任のもと、それらか、またはそれらから委託を受けた社会福祉法人や医療法人、公益法人などが主体となり、保健師、社会福祉士、主任介護支援専門員等、必要な人員を配置したうえで、高齢者への総合的支援を行っている。

連絡先は、自治体のウェブサイトを開き、高齢者福祉に関する窓口を探せば大抵すぐに見つかる。

ただし、自治体によっては組織に独自のネーミングがされていて、地域包括支援センターとは一瞬判らないケースもある。若干、注意してほしい。

なお、同センターといえば、もっぱら家族の介護を相談する窓口と理解している人も多いが、そうではない。相談はどの立場の人でもできる。費用もかからない。

例えば、オーナーや管理会社が、「当方の物件で一人暮らししている高齢者が認知症になっている可能性がある」などと相談した場合、

1.オーナーなど、相談者への詳しいヒアリング
2.地域包括支援センターのスタッフが当該高齢者のもとを訪問、状況を把握
3.各支援につなげていく

といったプロセスで対応が進んでいくはずだ。管理会社のなかには、すでにこうした流れを幾度か経験し、勝手を知っているというところも少なくないだろう。

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賃貸住宅に住む人、賃貸住宅を経営するオーナー、どちらの視点にも立ちながら、それぞれの幸せを考える研究室

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