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賃貸経営における永遠のテーマ「空室対策」――効果的な空室対策を進めるために

廣田 裕司廣田 裕司

2021/06/17

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イメージ/imagemax・123RF

皆さん、こんにちは。オーナー兼不動産屋の廣田裕司です。私はオーナー業も行いながら、サラリーマン時代やオーナーとしての経験、不動産業者としての経験を生かし、オーナーの賃貸経営をサポートする会社「合同会社アップ」を設立しサポート活動しております。こちらの連載コラムでは、賃貸経営のことを中心にさまざまな情報をお伝えしていきたいと思っています。

なぜ「空室対策」が大切か

空室が発生する原因は、ずばり「退去」です。当たり前のことですよね。

それでは、入居者はどのような理由で退去するのでしょうか? いろいろの理由が考えられますが、次の2つに分類できると思います。

・入居者さんのライフステージの変化
・物件への不満

就職・転勤・結婚・出産というようなライフステージの変化に伴う退去は、賃貸住宅オーナーが防止することはできません。一方、物件に対する不満については、オーナーの努力で退去を防止できる可能性はあると思います。入居者の満足度を向上させ、できるだけ長く住んでいただくことも、空室対策の一つの側面です。

賃貸住宅のメリットの一つに「いつでも引っ越しができる」ということがあります。理由はどうあれ、オーナーにとって賃貸経営を続ける以上、入居者の退去は避けて通れないものだと思います。つまり賃貸経営では、空室対策が重要になります。

今回は、効果的な空室対策を進めるうえでの考え方についてお伝えいたします。

空室に入居者が決まらない理由

空室に入居者が決まらない理由はどんなことが考えられるのでしょうか。いくつか挙げてみると、

・日当たりが悪い
・共用部が汚い
・駅から遠い
・バス、トイレが同室(いわゆる3点ユニット)
・家賃が周辺の物件に比べて高い
・築古
・設備が古い
・初期費用(敷金、礼金)が高い

などなど……。このようにいろいろな理由が考えられます。


入居者が決まらない理由は「日当たりの悪さ」や「3点ユニット」などが考えられる

こちらにまとめたものは、「物件の価値」に関する理由に集約できると思います。物件の価値は、設備・建物といったハード面だけではなく、管理状況や入居条件といったソフト面を含め総合的なものです。

それでは、お部屋を探している人(入居希望者)の求める価値に見合うように、物件の価値をアップするだけで入居者は決まるのでしょうか?

答えは、ノーです。

価値のある物件であっても、入居者募集の情報が入居希望者に届かなければ、その物件の存在を知ることができず入居にはつながりません。物件の募集情報が入居希望者に伝わらないことも、空室に入居者が決まらない理由として考えられます。

つまり、空室に入居者が決まらない理由を大別すると、

・物件の価値に関する理由
・募集情報の広告・宣伝(プロモーション)に関する理由

の2つの要因に集約されると思います。

空室に入居者が決まらない要因が2つに分類されることを理解したうえで、自分の物件の決まらない理由を明確にすることが、効果的な空室対策を進めるための第一歩です。

決まらない理由を見極める

自分の物件の空室が埋まらない理由が、物件の価値に問題があるからなのか、募集情報の広告・宣伝に問題あるからなのかを判断する方法として、入居希望者が物件を内見した回数で判断します。

入居者募集をしているにもかかわらず、内見がない場合は、募集情報の広告・宣伝に問題がある可能性が高いと思います。物件の価値の問題がないとは言い切れませんが、広告宣伝について見直してみる必要があると思います。対策としては、インターネットの広告のチェックや、不動産会社への営業活動などが考えられます。 

募集情報の広告・宣伝に問題がないにもかかわらず、内見につながらない場合は、物件の価値に問題があるということになります。

一方、内見が概ね5回以上あっても入居申込みに至らない場合は、募集情報の広告・宣伝よりも、物件の価値に問題があると考えられます。特に、競合する物件と自分の物件を比較しその違いを把握する必要があります。

物件の価値と家賃のバランス

物件の価値とは、入居者が感じる価値です。それに対して、家賃はオーナーが決めます。入居希望者は、自分が感じる物件の価値と家賃を比較して、物件の価値の方が家賃より高いと判断したときに入居申込みをします。

部屋の価値 ≧ 家賃 → 入居申込み

物件の価値を考えるときは、家賃との関係が重要になります。

入居者を絞り込んで考える

物件の価値とは、入居者が求めているものをどれだけ満足させられるかです。入居者の求めているものは千差万別です。

例えば、多額の費用をかけてキッチンをリフォームし素晴らしいシステムキッチンを導入しても、ほとんど料理をしない人からみると、あまり価値を感じないと思います。このように、同じ物件でも入居者が求めているものによって、その物件の価値の感じ方は変化します。

それでは、万人に評価される価値を提供する物件を作ればいいと考えられますが、現実的には難しいと思います。募集する物件にふさわしい入居者を想定して、物件の価値を考えた方が効果的です。

また募集情報の広告を考えるうえでも、入居者像を絞り込んだ方が、セールスポイントが明確になり効果的な広告ができると思います。

空室対策を考えるときは、入居者像を絞り込んで考えた方がいいと思います。

まとめ

効果的な空室対策を進めるために、

・入居者が決まらない理由を、「物件の価値の問題」「募集情報の広告・宣伝の問題」に分けて把握する
・物件の価値と家賃のバランスを考える
・入居者像を絞って考える

この3点が大切です。意識して効果的な空室対策を進めましょう!

今回は、空室対策の考え方をお伝えしました。具体的な空室対策は、別の機会に紹介したいと思います。次回のコラムは、7月下旬頃公開予定です。

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この記事を書いた人

「合同会社アップ」代表 「行動する大家さんの会」代表

妻の実家の賃貸事業を引き継ぎ、賃貸経営に関わるようになる。サラリーマン時代の経験を活かし、原状回復費の低減、稼働率アップに成功。賃貸経営での経験をベースにセミナー講師としても活動。2014年大家仲間と一緒に、管理会社「みまもルーム」設立に参加。大家さんとしての経験、不動産業者としての経験を活かし、大家さんの賃貸経営をサポートする会社「合同会社アップ」を設立。大家さんのサポート活動を展開中。

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