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アパートの外階段崩落による死亡事故 善意のオーナーが身を守るには(1/2ページ)

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文/朝倉 継道 イメージ(本文とは関係ありません)/©︎melenaslavina・123RF

原因は階段踊り場に使われていた木材の腐食か

4月17日、東京都八王子市でアパートの外階段が崩落、入居者が転落死するという痛ましい事故が発生した。

原因は、階段踊り場に使われていた木材の腐食と見られている。これにより、階段との接合部が重さに耐えられなくなり、ついには分離、落下したようだ。建物はまだ新しく、築8年。通常はありえない話だが、その後、これを建てた施工会社による人身を顧みないずさんな仕事ぶりが、現場での調査や元社員の証言などにより、次々と明らかになってきている。

【参考記事】八王子・アパート外階段崩落事件のその後 尊い命と引き換えに制度は一歩前進

防水加工がされていなかった

国土交通省が急遽集計したところによれば、この会社が手掛けた同様の外階段付き集合住宅は、2010年4月以降に完成した分で、東京都内および神奈川県内に166棟存在する。そのうちのいくつかには、やはり八王子の物件同様、外階段まわりの腐食などが見つかっている。加えて、一部報道によれば、八王子の物件の階段踊り場については、設計上、腐食を防ぐために防水加工されるはずがされておらず、現場従業員がそれを指摘したところ、会社は無視したという。

なぜ、そうした判断が押し通され、人命を奪うほどの危険が潜むアパートが建てられ、運用に至ったのか。今後、この事件は、各物件のオーナーや入居者、管理会社、設計者、工事監理者、さらには指定確認検査機関をも広く巻き込んだ、大型の騒動に発展していきそうな気配だ。

当の施工会社は早々に破産申請

そんな中、当の施工会社は、5月13日、横浜地裁にあてて早々に破産を申請している。信用調査会社の速報によれば、負債総額は4億418万円。近年、同社は資金繰りを悪化させており、20年には、取引先への報酬未払などで訴訟も抱えていたという。すると、この間、ずさんな仕事ぶりがますますエスカレートしていなかったか、築2~3年を下回るような新品物件のオーナーも、いまや気が気ではないだろう。

今回漏れてきている証言の中には、会社側が、「どうせいい加減な建物を建てても、賃貸では建築主(オーナー)はそこに住まないのだから分からない」というものもある。これが事実であるとすれば、入居者、オーナーにとってはとんでもない話だ。

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