「地上げ屋さん」の仕事の話し
ウチコミ!タイムズ編集部
2013/01/31
前回からの続きになります。このブログを読まれる方は、前回から読んで頂くほうが、よくわかりますよ。
■「地上げ屋さん」の仕事の進め方~
まず、仕事の進め方の計画を立てます。どんな計画かと言うと、対象の土地をいくつかのブロックに分けます。
1.絶対に買わないといけない土地(場所)
2.上記1.以外の計画の土地
3.買えない場合、あきらめてもいい土地
交渉に入る前に、全体像を明確にしておきます。次に、事前に登記簿謄本や現地調査で調べた各戸に、郵送で 「地上げに入る趣旨を記載した」 手紙を送ります。その手紙が到着してから、挨拶に行き 交渉が始まります。
ちなみに、バブル期の頃に暗躍していた「かたぎではない」方々は、現在では ほぼ壊滅しました。平成20年3月に施行された 「犯罪収益移転防止法」 と言う新しい法律により、その筋の方々が不動産の取引そのものにかかわる事自体が、不可能になっています。
実際、現在は 「トラックが家に突っ込んだ」 とかニュースでも聞かなくなりましたでしょう。(純粋な交通事故ではなく)景気の後退で、「地上げ屋さん」 の活躍の場も減っていますが昔ほど、緩い法律ではなくなりましたので、安心ください。
ここで、「地上げ屋さんのノウハウ」 のお話をします。まず、初回を含めて訪問初期段階では、女性営業や若い男性営業マンが多いです。 女性営業や若い営業は、会社の決済権を持っていない部員で、情報収集や人間関係の構築にあたります。女性営業と言っても、20代の女性は極めて少ないです。どちらかと言えば、30代以上の主婦スキルを持っている方が大半ですね。 細かい事に気かきいて、なにしろ相手に警戒心を持たれにくいメリットがあります。
若い男性の営業は、元気よく人間性や会社のイメージを良くする事が第一で、どんな対応をされても 「懲りずに挨拶に行く」 を続ける事で、相手の警戒心などを解くことができます。また、会社が考える金額交渉なども、安易に進めずに済みます。何しろ両者とも、決済権など持たない方がやりやすいのです。舐められているぐらいが、ちょうどいい感じですね。それと、手土産なども良く使います。
受け取る、受け取らない で関係性も観測できます。
ただ、持っていくものは 「菓子折り」 なんて物は使いません。朝早く 近くの市場へ行って 「最高級のたらこ」 などを大した包装もなしに買ってきて、用事で行ったついでくらいの感じでわたします。 生ものだと 受取ってもらい易いです。もちろん、そんなに高級な物ともわかりません。食べてびっくり...。が効果的です。受け取ってもらう事が目的ですから、いろいろ考えますね。そういった物を、受け取ってもらえる事で関係も1段階UPと言うところです。
それから、地上げの対象地の権利者で「初期調査」 の中から売りたい方から先に、交渉をどんどん進めて 「移転した土地」等はどんどん更地(建物を解体して空き地にしてしまう)にして
周りの権利者にプレッシャーをかけていきます。これは、体験していない方には想像しにくいと思いますがかなりのプレッシャーに成るようです。
※現在の 「地上げのシステム」 は、基本的に協力していただく地権者の代替地や代替物件が整い、決済を済ませて引越しを完了させる。と言うような流れで行われますので、昔の一部の乱暴な話とは別です。 ご安心ください。
次回は、「地上げ屋さん」 に、どう対応するか...を書いてこのお話をまとめたいと思います。
【地上げ屋さんの記事まとめリンク】
「不動産業にもいろいろあります」のお話し
「地上げ屋さん」の仕事について まとめ
「地上げ屋さんの件の実際にあった事」
「地上げ屋さん」の事件についての検証
バブル期の六本木と今の地上げ屋の方法・違い
この記事を書いた人
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