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大家はペット可物件に対してネガティブなイメージがある?

空室対策になるはずの「ペット可賃貸住宅」が増えない理由(2/2ページ)

山本 葉子山本 葉子

2020/01/25

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管理業務の見直しでペットトラブルを未然に防止


管理業務側が変われば、リスクを抑えてペット可住宅の運営ができる 写真/東京キャットガーディアン

しかし、これらの問題解決は可能です。その結論を言ってしまうと「管理業務側が変われば、リスクを抑えてペット可運営ができる」ということです。

これまで管理会社さんなどから団体に寄せられた相談の電話やメールのほとんどが「猫の多頭飼育にどう対処したらよいか……」「住人が犬を放置して出て行ってしまった……」といった内容でした。

現在のペット飼育数から考えると、こうした問題は充分に想定できるのですが、対応できる担当者がいないのでは無理もないと痛感することがしばしばあります。それでもたまに担当者が猫好きだったり、犬をご自身が飼っていたりする方がいて、会社業務とは別に個人的に行き場に困った猫や犬の不適正飼育の住人問題にあたっているケースがありますが、その対応には大変な労力と費用、そして心労がかかっています。その一番の対策方法は、管理会社が動物の管理に慣れた会社であることです。

もっと言ってしまえば、「管理会社が保護団体」だったら……。

想像してみてください。「管理会社が保護団体」であれば、ペットトラブルは早期発見・早期解決が可能になります。また、室内で多大なダメージが出る前に、あるいは賃借人の居住者が見かねて外猫を拾ったときなど、最初に相談できる相手が管理会社である保護団体だったら、動物の特性に添ったアドバイスを受けられ、場合によっては行き場のない子たちを託すことも可能です。

しかし、現在の不動産管理業務の状況では賃借人が犬や猫の相談を管理会社や大家さんになかなか相談することも難しく、場合によってはそんな相談をしたら「退去してください」と言われかねません。

私たち東京キャットガーディアンでは、数年前から(ささやかな数ですが)賃貸物件の巡回管理業務を行い、同時に飼育に関してのご相談や保護した猫の行き先探しなどに協力しています。そして、充分業務としてやっていけると感じています。この結果を大家さんや管理会社さんに広め、また、直接不動産管理を団体の業務として請け負い、人と動物の共生が持続できる賃貸物件の普及に努めています。

・既存の不動産管理部門に保護団体を活用する
・管理事業そのものを仕事として保護団体に委託する

新しい年に新しいシステムで、持続可能・拡大可能な住まいのあり方を、東京キャットガーディアンでは提案しています。

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この記事を書いた人

NPO法人東京キャットガーディアン 代表

東京都生まれ。2008年猫カフェスペースを設けた開放型シェルター(保護猫カフェ)を立ち上げ、2019年末までに7000頭以上の猫を里親に譲渡。住民が猫の預かりボランティアをする「猫付きマンション」「猫付きシェアハウス」を考案。「足りないのは愛情ではなくシステム」をモットーに保護猫活動を行っている。

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