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不動産投資オーナーとガス会社

森田雅也森田雅也

2019/02/19

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今回は、投資物件におけるガス会社とりわけプロパンガス会社とオーナーの関係についてご説明いたします。 不動産投資をするにあたって、ガス会社を選定することになります。ここで重要になるのが、プロパンガス会社の選定です。

なぜ都市ガスではなくプロパンガスがオーナーにとって重要になるのか。 それは、プロパンガス会社がオーナーと契約を取るために様々な特典を打ち出しているところにあります。

プロパンガス会社は、料金が自由化されているので他社との競合も激しく、顧客獲得のために他者との差別化を図ることになります。 本来、リフォーム費用や新築時の設備はオーナー負担になります。

しかし、この負担費用を削減するために、プロパンガスを導入することを条件とした設備の無償貸与という契約内容が交わされることがあります。もともとは、ガス給湯器の無償貸与だったものが、今ではエアコンやインターフォン、バスタブなどにまで広がりオーナーの投資費用はかなり削減されるといえます。

例えば、10室ある投資物件の給湯器・浴室などのリフォーム費用が各30万円だった場合300万円をプロパンガス会社が負担することになり、オーナーにとってはかなりのリフォーム代の削減になります。また、無償貸与の内容などは各会社によって異なるので、契約内容を吟味しニーズにあったところと契約するのがよいでしょう。

プロパンガス会社は利益がでるのか
プロパンガス会社は、オーナーの代わりに費用を捻出してはたして利益をだすことができるのでしょうか。 それは、リフォーム代や無償貸与費用を、オーナーではなく入居者に転嫁してガス料金と一緒に支払ってもらっているのです。このような手法によってプロパンガス会社は、継続的なガス料金と設備費用を入居者から支払ってもらうことにより利益を得ることになります。

また、オーナーはプロパンガス会社との契約により初期費用を抑えることができ、利回りがよくなるというメリットがあるので、都市ガスよりもプロパンガスを導入する投資物件が多いというのも現状です。

まとめ

こうした料金形態は設備費用とガス本来の料金が不透明ゆえ、入居者は高額なガス料金を請求されるまま支払っているという現状がありました。 この問題に対し、国は法令(液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律)を改正し、書面にて内訳を記載するよう取り決めました。この法改正により入居者は毎月支払っているガス料金のうち、設備費用の内訳を知ることができます。
ただし、この法令改正により変更した点は、書面による料金の透明化です。入居者にとっては、ガス会社を選択することもできないですし、料金を支払うことには変わりはないです。 あまりにもプロパンガスの無償貸与に頼りすぎて入居者の支払い額が高額だと、そもそも入居者が決まらない、せっかくの入居者が退去してしまうこともあり、結局のところ利回りが悪化し、本末転倒になってしまうのでよく調べて、入居者の負担になりすぎないよう考慮する必要もあるでしょう。

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この記事を書いた人

弁護士

弁護士法人Authense法律事務所 弁護士(東京弁護士会所属)。 上智大学法科大学院卒業後、中央総合法律事務所を経て、弁護士法人法律事務所オーセンスに入所。入所後は不動産法務部門の立ち上げに尽力し、不動産オーナーの弁護士として、主に様々な不動産問題を取り扱い、年間解決実績1,500件超と業界トップクラスの実績を残す。不動産業界の顧問も多く抱えている。一方、近年では不動産と関係が強い相続部門を立ち上げ、年1,000件を超える相続問題を取り扱い、多数のトラブル事案を解決。 不動産×相続という多面的法律視点で、相続・遺言セミナー、執筆活動なども多数行っている。 [著書]「自分でできる家賃滞納対策 自主管理型一般家主の賃貸経営バイブル」(中央経済社)。 [担当]契約書作成 森田雅也は個人間直接売買において契約書の作成を行います。

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