住宅診断の内容
皆川聡
2016/07/04
前回は、住宅診断の必要性について、記載させていただきました。
今回は、住宅診断の内容(「①住宅診断のメリット」と「②住宅診断の調査項目」)のうち、「①住宅診断のメリット」の中の「a.中古建物価値の維持・向上」について記載いたします。
住宅診断はそもそもいつ行われるの?
さて、住宅診断はどのようなタイミングで一番行われると思われますか? それは、不動産売買のときです。ですが、その売買のときのみで、本当によろしいのでしょうか?
住宅診断のメリットは?
住宅診断のメリットは、以下の2つです。
a. 中古建物価値の維持・向上へ!
家の劣化状況の定期的な住宅診断 ➡ 定期的なメンテナンスが必要 ➡ 定期的なメンテナンスのためその費用負担軽減 ➡ しかも家の健康寿命を延ばす ➡ 中古建物価値の維持・向上へ!
b. 安心できる中古住宅売買市場の実現へ!
既存住宅売買瑕疵保険を付保 ➡ 売買後予期せぬ費用拠出を抑える ➡ 安心できる中古住宅売買市場の実現へ!
上記のメリットからすれば、一番大切なのは、定期的な住宅診断とそれに応じた最低限のメンテナンスを定期的に行うことが一番大切です。それは、部分的に劣化が生じても、その周辺資材・部材への影響が最低限に留まり、建物の寿命のトータルでの費用負担が軽減できると言えるからです。売買のタイミングで、手遅れであることが判明しないように。
また、定期的なメンテナンスを施すことにより、家の健康寿命も延び、いざ売買する際に、建物価値を維持することができます。また、高い価格での売却の可能性も高まります。
しかし、もし、劣化部分があるにも拘わらず、知らず知らずに、放ったらかしておくと、いつの間にか私たちの身体と同じように、蝕まれていることがありますし、劣化の程度が激しくなります。そうなると、修繕するのに思わぬ多額の費用がかかってしまったり、場合によっては手遅れとなり、取り壊して売った方がよろしいというケースに陥ることもあり得ます。つまり、住宅診断は、前回も記載しましたが、家の健康診断なのです。
定期的に住宅診断を行うことにより、メンテナンス費用を抑え、家の健康寿命を延ばし、建物価値を維持そして向上することにあります。言い換えますと、「私たちの身体と同じように、定期的に健康診断をしていれば、早期発見、早期治療ができるように、身体にも負担がなく、健康で長生きできる」とも言えるはずです。定期的な健康診断は、まさに、生涯のトータルコストを一番抑えることができるはずです。建物についても同様と言えます。
また、戸建住宅であっても、「マンションの修繕積立金や管理費」と同じように、毎月「定期的なメンテナンスの為の積立」と、「定期的に住宅診断をしてもらうための積立」としてプールしておいた方が得策と言えます。 さらに、思わぬ劣化などで予期せぬ出費がないようにするためにも、悪徳リフォーム業者などに会わないためにも、信頼できる住宅診断士やリフォーム業者を、かかりつけのホームドクターとして見つけられるといいと思います。
修繕履歴は大切に保管!
せっかく修繕したのに、その履歴がないと中古建物価値の向上につなげることが難しくなることもありますので、修繕履歴は、必ず大切に保管しておきましょう!! 「修繕履歴を活用した中古住宅の不動産取引の活性化」を国土交通省は望んでいるため、今後、修繕履歴の重要性は高まるでしょう。やはり、なんでも証拠ですね。 国が言うからには、そのような時代が必ずくることを私は信じています。
まとめ
定期的な住宅診断とメンテナンスが、建物寿命トータルでの費用を削減し、中古建物価値の維持・向上につながることをお分かりいただけたでしょうか。修繕履歴の保管も大切です! 次回は、住宅診断のメリット「b.安心できる中古住宅売買市場の実現」を記載させていただきます。
この記事を書いた人
不動産鑑定士
株式会社あおい不動産コンサルティング。大手不動産鑑定会社、株式会社三友システムアプレイザルに従事し、その後独立。 不動産鑑定業務が主ですが、住宅診断(ホームインスペクション)も対応しております。財務諸表・会社法・税務等についても、スキームに応じた鑑定評価の立ち位置を認識しております。相続・事業承継関係等にも勿論対応させて頂きます。<br> 賃料の評価・査定につきましても、数多くの案件を携わっており、得意にしております。 [担当]物件調査 皆川聡は個人間直接売買において物件調査により権利関係の確認をします。 個人間直接売買における皆川聡の詳しい役割はこちら