建具(ドア、サッシなど)からわかる建物の傾き
皆川聡
2016/08/14
前回は、住宅診断の必要性について記載させていただきました。 今回は住宅診断の項目の中のうち、建物の傾きの発見のポイントを説明させていただきます。
建物の傾きは、建物にずれを生じさせ、そのような建物は新築でも雨漏りを起こしてしまったりしています。 雨漏りは我慢すれば良い、雨漏りを受けるバケツを用意すればいいんじゃない!いろいろなバケツを用意して、いろいろな音を楽しむことができるよ!と思う人もいるかもしれません。昔のドリフじゃないですけれども!
しかし、建物にとって、水は大敵です。単なる湿気から、木造であれば、腐朽菌の原因になったり、シロアリが好む環境が作られ、柱を駆逐したり、カビ・ダニの原因になり、健康を害することにも繋がります。また、鉄骨造や鉄筋コンクリート造の場合には、発錆の原因になったり、錆が原因で溶接が切れたり、鉄筋の場合には、爆裂の恐れがありますので、どちらにしましても耐震性に疑義が生じる可能性が高くなります。
ところで、皆様のお身体の健康寿命を伸ばすために行っていることとして、健康診断がありますね。また、その健康診断の検査方法の一つに血液検査があります。 その血液検査により、いろいろな原因が分かりますので、血液検査はとても優れた検査方法だと思います。 住宅診断についても建物を長寿命化させる方法が、血液検査と同じようにあるのか?と言いますと、血液検査ほど精度は高いものはありません。しかし、そのようなおそれがあるかもしれない!というレベルで発見することができるという点で、その発見方法はあると言えます。 それは、①建具(ドア、サッシなど)の開閉と②床の傾きが挙げられます。
今回は、建具(ドア、サッシなど)の開閉について、記載いたします。
① 建具(ドア、サッシなど)の開閉
皆様、投資物件をご購入されるとき、建具の開け閉めをされると思います。 この行為にもうちょっとプラスすることにより、建物の傾きが、手っ取り早く簡単に確認できる方法となります。 それは、サッシであれば、完全に反対まで動かし、反対側でのサッシ枠との間に隙間が異常に空いてしまう場合には、建物が傾いている可能性があります。この状態を確認することにより、大工さんの仕事ぶりも確認できます。 ですので、サッシの開閉は、ただ単に完全に開くか、滑らかに動くかということのみを見ている訳ではないと言えます。しかし、それでもって100%建物が傾いていると断言はできません。使用頻度等により、建具や戸車自体に劣化が生じて、隙間が空いてしまうこともあります。ですが、いずれにしても、意外にもこのようなことで、手っ取り早く建物の傾きを調べることができる方法がありますので、ご活用されるとよいかもしれません。
まとめ
今回は、建物の傾き発見のポイントのうち、建具(ドア、サッシ)の開閉についてお伝えさせていただきました。次回は、②床の傾きについて、お伝えさせていただきます。今後ともよろしくお願いいたします。
この記事を書いた人
不動産鑑定士
株式会社あおい不動産コンサルティング。大手不動産鑑定会社、株式会社三友システムアプレイザルに従事し、その後独立。 不動産鑑定業務が主ですが、住宅診断(ホームインスペクション)も対応しております。財務諸表・会社法・税務等についても、スキームに応じた鑑定評価の立ち位置を認識しております。相続・事業承継関係等にも勿論対応させて頂きます。<br> 賃料の評価・査定につきましても、数多くの案件を携わっており、得意にしております。 [担当]物件調査 皆川聡は個人間直接売買において物件調査により権利関係の確認をします。 個人間直接売買における皆川聡の詳しい役割はこちら